じゅんかいせーるすまんもんだいとは? わかりやすく解説

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じゅんかいセールスマン‐もんだい〔ジユンクワイ‐〕【巡回セールスマン問題】

読み方:じゅんかいせーるすまんもんだい

あるセールスマン複数都市一度ずつ訪れるとき、どのような順番巡回すれば総移動時間移動距離または交通費)を最小にできるかを問う問題グラフ理論有名な問題一つであり、都市ノード)の数が大きくなる計算量爆発的に増えることが知られている。同種の問題は、荷物配送集積回路配線などに応用される


巡回セールスマン問題

読み方:じゅんかいせーるすまんもんだい
【英】:traveling salesman problem (TSP)

概要

重み与えたグラフG\,において, すべての点を丁度1度ずつ訪問して元に戻る巡回路(ハミルトン閉路)のうち, 総重み最小にするものを求め問題. グラフが有向であるか無向であるかで大別する. 平面上(あるいは空間内)のn\,点と各点の間の距離が与えられたとき, すべての点を訪問する回路のうち最短のものを求め問題, と定義されることもある. 代表的な組合せ最適化問題1つ.

詳説

 点集合 V\, 集合 A\, から構成されるグラフ G=(V,A)\, , (i,j) \in A\, 上の距離 d_{ij}\, 与えられたとき,点集合 V\, すべての点をちょうど1回ずつ経由する巡回路(ハミルトン閉路)で,の距離の合計最小にするものを求め問題巡回セールスマン問題 (traveling salesman problem) (行商人問題)とよぶ.

 特に,距離の対称性d_{ij}=d_{ji}\, )を満たすものを対称巡回セールスマン問題,三角不等式d_{ij} \leq d_{ik} + d_{kj}\, )を満たすものを三角不等式満たす巡回セールスマン問題,点集合d\, 次元超立方体 [0,1]^d\, 内に分布しており,2\, 点間の距離が点間のユークリッド距離定義されたものをユークリッド巡回セールスマン問題 (Euclidean (Euclidian) traveling salesman problem) とよぶ.

 巡回セールスマン問題に対す応用は,数百点を扱う基盤配線運搬経路計画スケジューリング数万点を扱う基盤穿孔X線結晶構造解析 (タンパク質の構造解析),数百万点を扱うVLSI設計など,さまざまであるまた,次世代VLSI設計においては数千万点問題を解く必要があると言われている.

 巡回セールスマン問題は,NP困難 (NP-hard) であり, 多項式時間厳密解法が絶望視されているばかりでなく,近似比が 一定\alpha (<\infty)\, 抑えられる多項式時間近似解法さえ{\rm P} \neq {\rm NP}\, のもとでは存在しないことが示されている.

 三角不等式満たす対称巡回セールスマン問題に対しては,近似比が 3/2\, 以下の保証をもつ多項式時間近似解法知られている.また,d\, 定数としたときの d\, 次元ユークリッド巡回セールスマン問題に対しては,固定され\epsilon >0\, 与えたときに,近似比が 1+\epsilon\, 以下に抑えられる多項式時間近似解法近似スキーム)が存在する

 実用的な近似解法としては,最近近傍法 (nearest neighbor method) やセービング法 (saving method) によって構築され巡回路をk-opt法 (k\, -opt)で改善する方法一般的である.厳密解法としては,巡回セールスマン問題の多面体構造TSP多面体(TSP polytope))を利用した分枝カット法 (branch and cut method) が有効であり,実務的大規模問題の求解に成功している.



参考文献

[1] 山本芳嗣, 久保幹雄,『巡回セールスマン問題への招待』, 朝倉書店,1997.

[2] D. L. Applegate, R. E. Bixby, V. Chvatal and W. J. Cook, The Traveling Salesman Problem, Princeton, 2006.

[3] アルゴリズムデータベース http://www-or.amp.i.kyoto-u.ac.jp/algo-eng/db/



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