ご養蚕の主な作業
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/06 04:19 UTC 版)
「カイコ」も参照 ご養蚕は、毎年春から初夏にかけて行われるが、2 - 3月頃に、御養蚕所の主任と助手が準備を始める。 4月の終わりか5月初め、「御養蚕始の儀(ごようさんはじめのぎ)」が執り行われ、養蚕作業が本格的に始まる。御養蚕始の儀では、豊作を祈る神事の後、皇后が孵化したばかりの蟻蚕(ぎさん)を蚕座(さんざ)という蚕を育てる道具の上に羽箒で掃き下ろす「掃立て」を行い、小さく刻んだ桑の葉を与える。 御養蚕始の儀の1週間から10日後に、皇后自ら蚕に桑の葉を与える「御給桑行事(ごきゅうそうぎょうじ)」の1回目が行われ、それから10日後に2回目が行われる。蚕に与える桑は、皇居内の桑園で栽培されている。繭をつくる段階になった熟蚕(じゅくそう)になると「上蔟(じょうぞく)」が行われ、種類に適した蔟(まぶし)という蚕が繭を作る用具に移す。蔟は一般種に使われるボール紙製の回転蔟のほか、体の小さい小石丸には皇后自ら藁を編んで作る藁蔟(わらまぶし)が使用される。上蔟から1週間後から10日後に、「初繭掻(はつまゆかき)」にて収繭が行われる。 その後、製糸材料となる上繭(じょうけん)を蚕糸科学研究所に出荷し、繰糸(そうし)、揚げ返し、仕上げを行い生糸になる。その生糸で織られた絹製品は、宮中儀式や祭祀に用いられるほか、外国元首への贈物(御贈進品)にも用いられている。また、皇室の儀典用衣裳等にも用立てられる。 繭の出荷後も卵を採る採種などの重要な作業が続き、初夏、「御養蚕納の儀(ごようさんおさめのぎ)」で終了する。 皇后は定例とされている前述の行事以外にも、皇居内の桑園での桑摘みや、蚕が繭を吐くための藁蔟作り、繭の毛羽取りなどあらゆる工程に、公務の合間をぬって携わっている。
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