かつて日本で行われていた格付けの特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 17:11 UTC 版)
「競馬の競走格付け」の記事における「かつて日本で行われていた格付けの特徴」の解説
根本的に、国際的なルールのもとでは、競走の格付けは第三者による認証を必要とし、主催者が勝手に決めることはできない。欧米でグループ制・グレード制が創設された際にはそうした基準にしたがって客観的で公平な競走の格付けを確立しようとしていた。しかしJRAでは「グレード」という格付け制度を借用したが、その格付はJRAが独断で行うものであり、本来の格付制度とは全く異なる形で運用された。 このようにかつてJRAが独自に格付け表記していた時代には、もっぱら格付けは興行上の観点から行われ、JRAが意図する競走体系にしたがって自由に格付けすることができた。しかしこれらは「自称グレード」であって、客観的で国際的なルールに則った格付けではなかったため、国際的にはほぼ無視されていた。 本来の格付けは、出走馬の質の高さによって競走の格が担保される。出走馬の質が下がれば格付けも自動的に下がるし、逆に出走馬の質が上がれば格付けも高まる。これに対し、JRAによる格付けは、主催者自らが格付けを定めるため、JRAが定める興行上の都合で格付けを行っており、JRAによる競走体系と格付けは一致していると考えられる。JRAの場合、賞金も自ら提供するため、格付けが賞金と連動しているが、格付けの本来の意義からすると、実際の質の高さと賞金の多寡が一致していないとも見ることができた。 諸外国では、多くの場合、競走の賞金は各競馬場ごとに用意し、それには様々なスポンサーがつく。基本的には賞金が高い競走には質の高い競走馬が集まり、結果として競走の格が高まるという図式になっているが、必ずしも賞金に比例して競走馬の質が揃うとはかぎらないし、スポンサーの改廃によって賞金額は大きく変動する場合があるので、競走の格を維持することは容易ではない。一定期間、出走馬の質が低いままであった場合には、主催者の意図にかかわらず競走の格付けは引き下げられる。また、原則として格付けを受けるには、出走にあたっての制約がないことを求められるため、生産地や生産国、取引形態などの制約がある競走の場合には、賞金の高さや出走馬の質の高さに関わらず、格付けを得られない。 日本も2007年にパート1国となってからは、JRAが独自に格付けを行うことは原則できない(パート1国化した直後には、GIと自称していたヴィクトリアマイルが国際的な勧告にしたがってGIの名称を取り下げ、「JpnI」と称したこともある)。 格付けは、過去のレースレートによって決定されるため、その結果次第では格上げや格下げが発生する。そのため新設競走の場合には、原則的に最初の数年は格付けは無い。
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