いしかわじゅんによる批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 20:16 UTC 版)
「虹色のトロツキー」の記事における「いしかわじゅんによる批判」の解説
一方、漫画家のいしかわじゅんは、2004年11月29日放送のNHK・BS2の番組『BSマンガ夜話』において本作が取り上げられた際、川島芳子や李香蘭の登場シーンと、植芝盛平が合気道の技を使って主人公を投げるシーンの2例を挙げ、前者については「ドラマに登場する必然性がない」、後者については「大友克洋的な動きが描けず、既定的な絵にしかなっていない」と批判した。これに対し、安彦は白泉社版の『王道の狗』第4巻のあとがきにおいて、番組の後半部しか観ていないとした上で「そもそも川島と李の2人は中心ではなく客演者に過ぎず、合気道の技についてはプロレス技などと違い、中動作が極めて見えにくい。望むのであれば全ての動作を描いてもいい」と反論した。 こうした論争について、同番組に出演したマンガコラムニストの夏目房之介は、いしかわに世間一般には失礼にあたる発言内容が、安彦には論点の食い違いがあったとしつつ、「大友的な動きを描ける場合のほうが圧倒的に少なく、商業的な要請からしても『決めの動作』で繋げることのほうがはるかに多い。それを例にして『動きを描けない』というのは、ほとんどすべての漫画家にダメ出ししていることになる」「古武術など動作が見えないのは事実」と評した。さらに夏目は(川島や李のような)脇キャラが多く登場する点については「歴史モノ好きのリテラシーみたいなものがあり、ドラマの筋道と関係のない周辺知識の遊びに面白さがあったりする」と評した。 また、評論家の伊藤剛は「大友以前の旧世代の作家という批判は一面では当たらない。大友が革新的であったように安彦も革新的であり、こうした並行性を認めた上で初めて、両者の差異を見出すことができる」と評し、いしかわについては「何を『新しい/優れた』ものとするかという基準が80年代半ばごろの枠組みから更新されていない」という問題点を指摘した。
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