『大人のマーケティング』(2013年、近代映画社)
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「畑井貴晶」の記事における「『大人のマーケティング』(2013年、近代映画社)」の解説
マーケティングを「彼我のちがいについての素敵な説明/物語」のことであると定義し、そもそもビジネスは、競合相手と客を奪いあったり成績を競いあったりするものではなく、自分たちの思想や理想を商品やサービスとしてプロダクトし、それをよいとおもって買ってくれる人々との間に「閉じた」納得や感動を期待するものだ、と置いている。 「みんな棲み分けうる」は畑井の思想の根幹であり、ビジネス、経営、マーケティングにおいても、たまたま似たようなことをかんがえている企業とは争うことにはなるが、それは互いが巨大化して一騎打ちになっているような稀な状態であるか、あるいはプレイヤーが多く過当競争に入っている業界であることを示すにすぎないとしている。 「すべての人間は異なる。Facebookのタイムラインのように、全員ちがうパラレルワールドを生きている、といってもなんら過言ではない。同様に、すべての企業、製品はそれぞれ異なるものである。異なるからそのビジネスは存在しうるのである。」これが本書を貫く背骨であり、「マーケティングのセンスというのは、ちがう存在を見つけたときに『お、こいつ、なんかちがうぞ。儲かるかもしれん』ととっさに悟ることである。」とも言っている。 全体を読み渡すと、広告分野ではIT技術よりレジェンド系クリエイティブの肩を持っており、基本的にマーケティングは意図的に成功させることはできないと書いてあるようにも思える、言ってみればある種の遺書のような書である。 Facebookでの連載を元にしており、友人たちのコメントなども多数記述される編集形式をとっているので、読みにくいところがあるが、闊達な議論や鋭いコメントなどを読むと、SNSらしい臨場感がある。 このような編集本はあまり見かけないので、内容はともかく、この単行本自体のあり方は、「彼我とのちがい」になっているとも言える。
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