『光点』で描いたもの
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/18 00:59 UTC 版)
デビュー作『光点』は、2018年2月5日、単行本発売となった。執筆期間は初稿が2~3週間で、5回の推敲をして5ヵ月以内だったという。 山岡が『光点』で書きたかったのは、「ひと言では言い表せないもの」であり、「これはよかった」などの感想をすぐには言えず、「ずっと頭に残り続けるような(…)何度も読んでしまうものを意識した」。また、私小説的要素はなく、登場人物にもモデルはなく、舞台も実在の場所ではないと語り、ジャンルに縛られず、カテゴライズできないような作品を今後も書いていきたいと話した。 母娘の描写に関しては「特別、母親と娘の関係をひどく書こうと思ったことはないですね(…)この作品に出てくる人達はみんなどこか不器用です」とし、「忙しく疲弊し(…)境遇を受け入れ」ている主人公や登場人物に魅力を感じるとも語った。 また、「何をどう描くか」の問題に触れ、表に現れる「何を」より「どう描くか」が小説にとっては重要であると、文学表現そのものが主題のひとつであることを明かし、それは「描写や文体へのこだわり」という意味以上に、「(文学的な)描写を使ってシーンを際立たせること」にあったと語った。さらに、「最後のシーンが書きたくて全部書き上げた(…)最後のために、その前の百数十ページの石段を上っていった」と、自身ではエンディングを重視していることを明かしたうえで、「ストーリーとしては終わっていないように見える」が、「小説の言葉としてはあそこで終わっていると思っている」と、解説した。 作品を書く際に今後も注意したいのは、男性読者・女性読者のどちらにも寄らず中性的な立場で、そして、問題を決めつけない中立的な立場で書いて行きたいとした。中立的というのは、例えば「工場で働いている人は不幸でお金がある人は幸せ」とか「20代の女ってこうだ」などと決めつけず、その人物をその人物として探りながら書きたいことだと語った。
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