『プレイタイム』
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長編第4作は、大作『プレイタイム(Playtime)』(1967年)である。このコメディ映画にはプロットがほとんど存在せず、劇中ではユロ氏と一団のアメリカ人観光客が街を彷徨う中、フランスの古き良き伝統を発見する。タチは私財を投げ打ち、ほぼ10年がかりでこの超大作に取り組んだ。近未来のパリを舞台とするために、高層ビルの林立する一つの都市が作り上げられている。当時のフランス映画史上最大の製作費をかけ、しかも高画質にするため70mm磁気6チャンネルのフォーマットを使って壮大な世界が構築された。『プレイタイム』のオリジナルは155分の長尺であったが、タチ自身の手で126分まで短縮され、しかも経理上の問題から次々と短縮され、米国での公開ヴァージョンでは93分モノラルまでカットされ公開された。 公開当時、『プレイタイム』は一部の批評家には絶賛されたが、多くのマスコミからは酷評を受けて興行的にも惨敗し、その失敗は一生タチにまとわりついた。2002年になってようやく、カンヌ国際映画祭の歿後20周年記念上映で126分70mmヴァージョンが復元されている。タチは自らの作品の登場人物一人ひとりの動きをまるでバレーの振付師のように実演して見せたという(女性の場合は女装してまで実演した)。画面構成から俳優の動きまであくまでも完全主義であったのである。 『プレイタイム』製作中に資金難に陥り、製作が一時止まった時、短編『ぼくの伯父さんの授業(Cours du soir)』(1967年)が撮られる。これは、ユロ氏が彼のコメディを出来の悪そうなコメディアン志望者たちに伝授するという内容であった。劇中には郵便配達人フランソワの姿も登場しており、懐かしさを帯びている。
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