「デモは違法」批判への反論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 09:44 UTC 版)
「バーミングハム刑務所からの手紙」の記事における「「デモは違法」批判への反論」の解説
キング牧師は、デモは違法であるという聖職者たちの主張に対して、市民的不服従は不当な法律に直面したときに正当化されるだけでなく、必要であり、愛国的でさえあると主張した。「答えは、法律には正義と不正義の2種類があるという事実にある。私は真っ先に正義の法律に従うことを提唱する。正義の法律には法的責任だけでなく、道義的責任もある。逆に、不当な法律に従わないという道徳的責任もある。私は聖アウグスティヌスの『不正な法律は法律ではない』という言葉に同意する。」と述べた。 また、上記の主張に対する反論を予期して、彼は再びキリスト教神学者であるトマス・アクィナスを引用して「「永遠の法と自然法」に根ざしていない法は正義ではなく、「人間の人格を高める」法は正義であると言ったのである。隔離は人間の人格を損なうものであり、従って不当である。」と述べ、さらに「私は、良心から不当だと言われた法律を破る個人が、その不当性に対する共同体の良心を呼び起こすために、進んで投獄という刑罰を受け入れることは、現実に法律に対する最高の敬意を表していることになると思う。」と記している。 キング牧師は、マルティン・ブーバーとパウル・ティリッヒの言葉を引用し、何が法律を正しいものとするか、あるいは不正なものとするかについて、「選挙権を持たず、法律の制定や考案に関与しなかった少数派に適用される場合、その法律は不当である」と過去と現在の例を挙げて説明した。そして、法律への服従について「市民には "正当な法律に従う法的責任だけでなく道徳的責任 "があり、また "不当な法律に従わないこと "もある」と述べ、「ある集団と他の集団に異なる形で関わる法律に従わないことは道徳的に間違っていない」とも述べた。 アラバマ州は、黒人から投票権を奪い、不当な法律によって白人至上主義を維持するなど”あらゆる悪賢い方法”を使ってきた。隔離法は不道徳であり、不当である。「なぜなら隔離は魂を歪め、人格を傷つけるからだ。それは隔離する側に誤った優越感を与え、隔離される側に誤った劣等感を与えるからだ」。公共の場で行う行進の許可制のような正当な法律でさえ、不正な制度を支持するために使われる場合は不正であるとしている。
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