《翁》の正しい読み方
「翁」の正しい読み方
「翁」の読み方は「おう」または「おきな」である。「おう」は音読み、「おきな」は訓読みである。ちなみに、漢字の「翁」は常用漢字であるが、常用漢字表に記載されている読み方は音読みだけであり、訓読みの「おきな」は常用漢字表外の読み方(表外読み)である。とはいえ「竹取の翁」のような文物を通じて「翁(おきな)」の読み方は広く知られている。
「翁」に対する語は「嫗」もしくは「媼」。老女のことである。「おきな」に対する語は「おみな」、転じて「おうな」。老夫婦のことを「翁媼(おうおう)」あるいは「翁嫗(おうう)」という。
「翁」の意味解説
翁は「男の老人」を意味する語。年老いた男性を指す言葉である。特に罵りのニュアンスは含まれない。むしろ年長者を敬うニュアンスを含む。実業家の渋沢栄一を指す呼称として「渋沢翁(しぶさわおう)」という言い方が用いられることがしばしばある。
年老いた男性を罵って言う語は「爺(じじい)」である。とはいえ、「じじい」という読み方はともかく、「爺」の字に関していえば、少なくとも今日においては、ことさらに罵りの意味合い含むをとは限らない。たとえば「老爺(ろうや)」や「爺様(じいさま)」のような表現は、罵りよりもむしろ敬意が多分に込められて用いられる。
ごくまれに「お翁さん」と書いて「おじいさん」と読ませるような読み方が採用されることがある。一種の創作的な読み方であるが、これは「爺」の字に否定的な意味合いを見出しているものと推察される。
なぜ「翁」を「おう / おきな」と読むのか・理由
「翁」を音読みで「オウ」と読むのは、もともと「翁」の読み方は「公」の字形に従い「コウ」であり、これが「オウ」に音変化したため、と解釈されている。「翁」を訓読みで「おきな」と読むのは、まず古語において「き」が男性を指す意味があったという要素が挙げられる。女性が「み」である。「おきな(翁)」と「おみな(嫗)」の対比が、「いざなき(伊弉諾)」と「いざなみ(伊弉冉)」の対比にも呼応する。
- 《翁》の正しい読み方のページへのリンク