蔚山広域市 蔚山広域市の概要

蔚山広域市

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/24 05:15 UTC 版)

蔚山広域市
略称: Ulsan, 울산, 蔚山
蔚山市南区達洞の様子
蔚山広域市の旗
蔚山広域市の紋章
位置
地図
各種表記
ハングル: 울산광역시
漢字: 蔚山廣域市
日本語読み仮名: うるさんこういきし[# 1]
片仮名転写: ウルサン=グァンヨクシ
ローマ字転写 (RR): Ulsan-Gwangyeoksi
統計(2023年
面積: 1,060.79 km2
総人口: 1,103,661[7]
男子人口: 567,153 人
女子人口: 536,508 人
人口密度: 1,040 人/km2
世帯数: 490,690 世帯
行政
国:  大韓民国
下位行政区画: 4区1郡
ISO 3166-2: KR-31
行政区域分類コード: 26
蔚山広域市の木: イチョウ
蔚山広域市の花: ナシ
蔚山広域市の鳥: シラサギ
自治体公式サイト: 蔚山広域市
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蔚山広域市庁

蔚山広域市(ウルサンこういきし、: 울산광역시: Ulsan)は、大韓民国南東部にある広域市

地理

日本海に面し、釜山広域市から北へ70km離れている。区の大部分は工業都市、郡部は農村も存在する典型的な都市・農村の複合都市になっている。

郊外の蔚州郡は山岳地帯(嶺南アルプス、ヨンナムアルプス)から海まで広がり、1000メートル以上の高い山がある一方、海水浴場もあるなど起伏に富んでいる。

歴史

古代

三韓時代には辰韓に属して、西南部地域には于尸山国があった。中部地域には屈阿火村が形成されている。新羅時代には中部地域の屈阿火県と西部地域の居知火県、西南部地域の于火県、東北部地域の律浦県、南部地域の生西良郡があった。統一新羅時代の757年に屈阿火県が河曲県に、居知火県が巘陽県に、于火県が虞風県に、律浦県が東津県にそれぞれ改称された。

中世

高麗時代には940年に河曲・東津・虞風の3県を統合して興麗府に昇格した。995年に全国を499県に分割する地方行政区域改編を断行、興麗府を恭化県に格下げして別号を鶴城とし、1018年に恭化県に巘陽県・機張県東萊県を統合して蔚州に改編、1143年に巘陽県が彦陽県に改称した上で州県に昇格、1304年に機張県が梁州に編入している。李氏朝鮮時代には1405年に東萊県が州県に昇格、1413年に蔚州を蔚山郡に改称して初めて蔚山という称号が登場するようになった。

蔚山広域市北区塩浦洞に1426年から1509年まで塩浦倭館が設置され、中世の三浦倭館のひとつであった。蔚山旧市街から湾を隔てた南岸にあり、現代自動車工場敷地となっている。当時は蔚山旧市街に置かれた蔚山郡と慶尚左道兵馬節度使の管轄下にあった。1494年には約150人の日本人が住み、1509年の三浦の乱によって閉鎖された。

文禄の役で、1593年、現在の市の南部の海岸近くに加藤清正により西生浦倭城が築かれた。慶長の役では、1597年に現在の市の中心部に蔚山倭城浅野幸長らにより築かれる。築城まもなく朝鮮・明連合軍が多勢をもって当城を包囲したが、日本側は撃退に成功した(蔚山城の戦い)。

近代

1598年には蔚山郡に彦陽県を統合して蔚山都護府に昇格した。1612年に彦陽県を再び分離した。1895年全国を23府と336郡に改編したのに伴って蔚山都護府を蔚山郡に、彦陽県を彦陽郡に改称した。

1910年からの日本統治時代には工業都市・捕鯨基地として繁栄し、1914年府·郡を整理·廃合する地方制度改編の時彦陽郡を蔚山郡に統合した。1931年には蔚山面が蔚山邑に昇格した。1937年には方魚津面が方魚津邑に昇格している。

現代

大韓民国成立後、1950年に勃発した朝鮮戦争の時、開戦から3ヵ月後の9月10日北朝鮮軍が蔚山付近まで迫った。

朝鮮戦争終結後も国内有数の工業都市として発展し、1962年には蔚山邑(のちの中区)・方魚津邑(のちの東区)・大峴面(のちの南区)・下廂面(のちの北区の南部)の全地域と青良面の斗旺里、凡西面の無去・茶雲里、農所面(のちの北区の西北部)の松亭・花峰里が蔚山特定工業地区に指定・公布された。

蔚山特定工業地区はその後蔚山市に昇格、残り13個面は蔚州郡に改称された。1985年蔚山市に区制が実施されて中区と南区を設置し、1988年方魚津出張所が東区に昇格した。1991年蔚州郡を蔚山郡に改称した。1995年蔚山市·郡を蔚山市に統合し、蔚山郡を蔚州区に改編した。1997年蔚山広域市に昇格。北区が新設され、蔚州区が蔚州郡に復郡されて4区1郡体制になった。

2002年に行われた日韓共催のFIFAワールドカップの開催地となり、蔚山文殊サッカー競技場ブラジルトルコ戦(グループリーグ)、アメリカドイツ戦(準々決勝)など3試合を開催した。

  • 1962年6月1日 - 蔚山郡蔚山邑・方魚津邑・大峴面・下廂面および青良面・凡西面・農所面のそれぞれ一部を蔚山市に昇格。
  • 1985年7月15日 - 中区南区設置。(2区)
  • 1988年1月1日 - 中区の方魚津出張所管轄区域を東区として分離。(3区)
  • 1995年1月1日 - 蔚山市・蔚山郡が合併し、蔚山市が発足(4区14面)。
    • 蔚山郡の区域をもって、蔚州区を設置。
  • 1995年3月2日 - 農所面が農所邑に昇格(4区1邑13面)。
  • 1996年2月1日 (4区3邑11面)
    • 温山面が温山邑に昇格。
    • 彦陽面が彦陽邑に昇格。
  • 1997年7月15日 - 慶尚南道蔚山市が蔚山広域市に昇格。(4区1郡)
    • 蔚州区を蔚州郡に改編。
    • 中区の一部および蔚州郡農所邑・江東面をもって北区を設置。
蔚山の市街地風景

行政・政治

工業都市として多くの労働者がおり、労働組合の活動が活発であるため、近くの昌原市と共に進歩勢力が強い地域である。「進歩政治の1番地」と呼ばれる[8]

市長

  • 第7代:宋哲鎬朝鮮語版송철호、任期:2018年7月1日〜現在)
歴代市長については蔚山広域市長を参照。

市議会

  • 定数:22議席(地域区19+比例代表3)地域区は小選挙区制
党派別議席数(2018年7月1日現在)
合計 内訳
共に民主党 自由韓国党
合計 22 17 5
内訳 地域区 19 15 4
比例代表 3 2 1
出典:蔚山広域市議会ホームページ 2019年2月8日閲覧。

読みと各種表記は大韓民国の地方行政区画を参照。


注釈

  1. ^ 日本語において、蔚山は慣例的に現地語に近い「うるさん」と読み[1][2]日本統治時代も同様であった。ただし、一部の辞書では音読みで「いさん」と読むことを許容しており[3][4][5]、そう読ませる文献もある[6]。ただし「蔚」を、朝鮮語で「ウル/울」(中国語:拼音: 、日本語:ウツ)と読む場合の反切は「紆物」であるのに対し、日本語で「イ」(中国語:拼音: wèi、朝鮮語:ウィ/위)と読む場合の反切は「於胃」であり、「いさん」は本来は誤読である。中国語では拼音: Yùshānと発音する。

参照

  1. ^ 『大日本分県地図併地名総覧 昭和十二年』昭和礼文社1989年12月
  2. ^ たとえば日露戦争蔚山沖海戦を「うるさん」と読ませる文献の例『一億人の昭和史(毎日新聞社)』や『日本海軍史(財団法人 海軍歴史保存会)』『写真図説 帝国連合艦隊(講談社)』『日本の海軍(池田清)』『鹿児島大百科(南日本新聞社) ※上村彦之丞解説中』ノートより
  3. ^ 小学館 デジタル大辞泉 蔚山(ただし解説文は「うるさん」項目。解説文末尾で「いさん」読みを紹介)
  4. ^ 三省堂『大辞林』第一版1988年・第二版1995年・第三版2006年(ただし解説文は「うるさん」項目)
  5. ^ 三省堂『コンサイス外国地名事典 第3版』1998年(ただし解説文は「うるさん」項目)
  6. ^ 戸高一成『海戦からみた日露戦争』角川oneテーマ21新書、2010年、p108。「〜韓国蔚山沖で未明の海上に灯火を発見、ついにロシア隊に遭遇した。」 に「いさん」のルビが振ってある。
  7. ^ 주민등록 인구통계 - 행정안전부”. 行政安全部. 2024年1月2日閲覧。
  8. ^ 곽재훈 (2012年4月12日). “'박근혜 매직', 울산·창원·거제 '진보벨트' 풀었나?” (朝鮮語). m.pressian.com. 2023年10月14日閲覧。
  9. ^ ソウルが8日連続の熱帯夜 日中も厳しい暑さ続く”. 聯合ニュース (2013年8月9日09:57). 2013年8月9日閲覧。
  10. ^ 우리나라 기후평년값(1991~2020) 울산(152)”. 韓国気象庁. 2021年3月25日閲覧。
  11. ^ 순위값 - 구역별조회 울산(152)”. 韓国気象庁. 2021年10月2日閲覧。
  12. ^ ラストベルト化におびえる「現代タウン」-韓国一豊かだった蔚山” (2019年8月22日). 2019年8月22日閲覧。
  13. ^ 韓国、違法な捕鯨活動 IWC加盟国中で最多「本当に恥ずかしい」”. サーチナ (2012年7月9日). 2019年8月22日閲覧。
  14. ^ [現地ルポ 混獲を口実に続けられる蔚山の捕鯨]”. ハンギョレ (2015年6月29日). 2019年8月22日閲覧。
  15. ^ Jooyoung Kim (2021年5月20日). “고래 고기 못팔게 되나… 장생포 주민들 발칵”. 朝鮮日報. 2023年8月8日閲覧。


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