東葉高速鉄道1000形電車
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東葉高速鉄道1000形電車 | |
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東葉高速鉄道1000形 (2006年9月8日 / 葛西駅) | |
基本情報 | |
運用者 | 東葉高速鉄道 |
種車 | 営団5000系電車 |
改造所 | メトロ車両(深川工場・新木場CR) |
改造年 | 1995年 - 1996年 |
改造数 |
10両編成10本(100両) ほかに将来増発用として10両編成2本(20両)を確保(未改造) |
運用開始 | 1996年3月16日 |
運用終了 | 2006年12月4日 |
投入先 | 東葉高速線・東京メトロ東西線 |
主要諸元 | |
編成 | 10両編成(8M2T) |
軌間 | 1,067 mm(狭軌) |
電気方式 | 直流1,500V(架空電車線方式) |
最高運転速度 | 100 km/h |
設計最高速度 | 100 km/h |
起動加速度 | 3.5 km/h/s |
減速度(常用) | 4.0 km/h/s |
減速度(非常) | 5.0 km/h/s |
編成定員 | 1,424(座席564)人 |
車両定員 |
先頭車 136(座席50)人 中間車 144(座席58)人 |
車両重量 | 30.0 - 38.0t |
編成重量 | 358.4t |
全長 | 20,000 mm |
全幅 | 2,870mm |
全高 |
4,135 mm パンタグラフ折りたたみ 4,145 mm |
床面高さ | 1,150 mm |
車体 | セミステンレス車両 |
台車 | SUミンデン式台車 FS-502A形 |
主電動機 | 直流直巻電動機 |
主電動機出力 | 100kW |
駆動方式 | WN駆動方式 |
歯車比 | 99:16 (6.19) |
編成出力 | 3,200kW |
制御方式 | 界磁添加励磁制御 |
制御装置 | 三菱電機製 ABFM138-15MRH |
制動装置 | 回生ブレーキ併用電磁直通ブレーキ |
保安装置 | 自動列車制御装置 (WS-ATC) |
備考 | 上記のデータは鉄道ファン1996年3月号記事から |
後継の2000系は2000形とはならずに“系”とされたが、その後も本形式は“系”に変更されることはなかった。
導入の目的
1996年(平成8年)4月の東葉高速線開業に合わせて、同社が1995年(平成7年)から、乗り入れ先である帝都高速度交通営団(以下「営団」)東西線で使用されていた5000系電車10両編成10本の計100両(全てセミステンレス車)を譲受し、整備改造した車両である。これらの他に10両編成2本の計20両も譲受しているが、その後の計画変更により鉄道車両としては入籍されなかった。
当初計画では新車導入も考えられていたが中古車両導入となった理由は、東葉高速線の建設費が当初予想を上回ったために(「東葉高速鉄道#設立の経緯と路線建設」を参照)車両製造費を削減する必要があったこと、同時期に営団が05系投入による5000系の置き換えを進めており丁度余剰となっていたこと、乗り入れで引き続き営団東西線を走行するのに際して検査など営団での取り扱い上有利だった(営団深川工場に委託していた)ことなどが挙げられる。
譲渡された車両は、1993年(平成5年)頃に05系の5 - 7次車により置き換えられた、5000系の3次車を中心とするグループである。東葉高速線の開業が当初の予定より遅れたため、営団で余剰となってからしばらくの間は深川検車区・行徳検車区(現・深川検車区行徳分室)・綾瀬検車区・新木場検車区(現・和光検車区新木場分室)に分散して保管された。
東葉高速線の開業は1996年4月27日だが、開業より早い同年3月16日に東西線のダイヤ改正が実施されたため、先行して同線内の営業運転に就いた。
改造
譲受にあたっては、特に東西線と相互直通運転をすることから東葉高速鉄道としての独自性と近代的なイメージをアピールするデザインをめざした。
改造工事は1995年(平成7年)4月より深川工場内の車体更新修繕場と新木場検車区(当時)内の新木場CRにおいてメトロ車両で実施された。改造後は同年12月上旬より順次、八千代緑が丘車両基地に回送された。
主な改造内容は以下の通り[1]。
車外
- 前面形状は、周辺が台形断面の部材で縁取られ[注 1]、縁取り内側の上半分は粘着フィルムでつや消し黒色に仕上げられ、下半分はコルゲートを撤去し、下端にはアンチクライマーが取り付けられた。また、前照灯と尾灯は左右対称に水平に並んだ丸型独立4灯から、配置は近似のまま左右の2灯ずつを角形のベゼルにまとめた角形4灯に取り替えられた。
- 東葉高速線は千葉と東京を東西に結ぶ路線であることから「陽は東から昇り西に沈む」ことをイメージし、「サンライズ(日の出・朝日)を表す赤」・「デイタイム(昼間)の白」・「サンセット(夕日)を表すオレンジ」のラインカラーを配置した[2]。
- 前面行先表示幕交換(ゴシック体→丸ゴシック体、ローマ字併記)。なお、側面表示器は設置されなかった。
- 車体台枠・屋根材・窓枠などの補修[注 2]、高圧・低圧艤装配線の取り換え。
- トンネル内温度上昇対策として制御装置とブレーキ装置の更新。(抵抗制御→界磁添加励磁制御、発電ブレーキ→回生ブレーキ)
- 冷房装置の搭載(譲受車は全て非冷房)。冷房・制御電源として静止形インバータ (SIV) を2台取り付け。
- 床下機器はほとんど種車のままだが、改造に際して明るいグレーに塗り直されている。
車内
改造に際して、内装は全面的に更新されている。
- 客室
- 側面は化粧板を白色系のものへ交換。床敷物は座席前がベージュ色、中央通路が東葉高速線沿線にあるクヌギの幹をイメージした茶色系のものへ交換。
- 座席モケットは新緑の萌えたイメージの黄緑色地に黒松をイメージしたモザイク模様を入れた総柄モケットへ、優先席部は薄紫色系のものへ交換。
- 客用ドアは新調し交換、ドアガラスを大形化・複層構造化し、車内側が化粧板仕上げとなった。また種車に戸袋窓のあったものは、車内外ともに板材を貼り戸袋窓を撤去(新製時から省略されていた車両と同様の外観)。
- 側窓は種車から変更なく上段下降・下段上昇式の2段式のままだが、カーテンはベージュ色の物を新調。
- 妻面は化粧板を白色系を基本として上部を緑色としたものへ交換。妻面窓および貫通扉は存置。
- 網棚は種車によって金網式とパイプ式が混在のまま。つり革はいずれも白色の丸形、座席前レール方向とドア付近レール方向のみ設置。
- 冷房用ダクトは同時期の営団5000系への改造と同様、車内側天井にFRP製のダクトを取り付けた簡易形のスポット式を搭載。扇風機は40cm径のものを新調し各車5台ずつ設置。
- 乗務員室
- その他
- これらの改造は、同時期に営団が5000系に実施されていた冷房搭載改造や大規模改修工事B修工事(主に初期車が対象)施工車と同様の内容である。改造コストを抑えるため、冷房装置は屋根の補強を抑えられる集約分散方式とし、車体全体の補強も極力控えられた。同様の改造をした営団5000系は、改造後10 - 15年程度の使用が見込まれていた。
注釈
出典
- 1 東葉高速鉄道1000形電車とは
- 2 東葉高速鉄道1000形電車の概要
- 3 編成図
- 4 運用
- 5 参考文献
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