日本海呼称問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/18 20:50 UTC 版)
年表
- 1928年 - 1921年に設立された国際水路局(IHOの前身)は、加盟国政府が海図を作成する際等の指針となるガイドライン「大洋と海の境界 (S-23)」の初版を刊行。「Japan Sea」の名称が単独で表記される。
- 1937年 - 「大洋と海の境界 (S-23)」の第2版を刊行。「Japan Sea」の名称が単独で表記される。
- 1948年 - 大韓民国が建国される。
- 1952年 - 韓国政府による海図の発行が開始される。日本海は「Japan Sea」と表記される。
- 1953年 - 「大洋と海の境界 (S-23)」の現行版(第3版)が刊行。日本海は英語版では「Japan Sea」、フランス語版では「Mer du Japon」といずれも単独で表記される。
- 1957年 - 韓国がIHOに加盟。
- 1974年 - 韓国側が併記要求の根拠の一つとしている、IHO技術決議A.4.2.6が採択される。
- 1977年 - 韓国側が併記要求の根拠の一つとしている、国連地名標準化会議決議III/20が採択される。
- 1986年 - 「大洋と海の境界」第4版の草案が出されるが、韓国は「日本海」単独表記に異議を唱えず。
- 1992年 - 第6回国連地名標準化会議において韓国および北朝鮮が「East Sea(東海)」の呼称を国際的に使用することを初めて要求する。
- 1993年 - 韓国政府発行の海図で「Tong Hae(「東海」の朝鮮語読み), Japan Sea」という表記が行われる。
- 1995年 - 韓国政府発行の海図で「East Sea」の表記が初めて登場し、「Japan Sea」の表記が韓国政府発行の海図から消える。
- 1997年 - 第15回IHO総会において、韓国が「日本海」の名称は日本帝国主義の残滓であると主張し、「日本海」と「東海」の併記を要求。IHOにおいて「東海」の併記が要求されたのは、この時が初。
- 2002年4月 - 第16回IHO総会開催。韓国が再び併記を要求。
- 2002年8月 - IHO理事会 (IHB) において、韓国政府の申し出に対しIHOが、「政治的問題に関与できない」という理由から日本海の表記を削除し、当該海域を白紙にした「大洋と海の境界」第4版の最終草案を加盟国へ送付。しかし、この案は翌月に撤回された[93]。
- 2002年8月~9月 - ベルリンにて第8回国連地名標準化会議が開催。日本海呼称問題に関し、「個々の国は、国際社会に対して個別の名称を押し付けることはできず、地名の標準化はコンセンサスがある場合にのみ促進される」との議長要旨が発表される。
- 2004年3月 - 国連は日本政府の照会に対し、「日本海」表記が標準的地名であり、国連の公式文書でも用いられるべきと回答[94]。
- 2007年5月 - モナコにて第17回IHO総会が開催。「大洋と海の境界」の改訂に際して韓国等が日本海呼称問題を提起。その際、ほとんどの国は「日本海」単独表記を主張し[95]、韓国だけがこれに激しく反発[96]。また、ウィンフォード・ウイリアムズ議長が仲裁を試みる動きもあったが[97]、決着はつかず[98]。
- 2007年8月 - 第9回国連地名標準化会議が開催。韓国が主張している「東海」への改称もしくは「日本海」と「東海」との併記や、「朝鮮海」への表記変更の主張を支持する国は現れず[99][100]。
- 2011年8月 - 米英両国が「日本海」単独表記を支持する公式意見書をIHOの実務者会合に提出[101]。
- 2012年4月26日 - IHO総会は「日本海」の単独呼称の維持を決定[102]。
- 2012年8月 - ニューヨークの国連本部にて、第10回国連地名標準化会議が開催。韓国と北朝鮮が「東海」の併記を主張したものの、「会議では特定の地名の変更は議題としない」という日本の主張が認められたため、実質的な議論は行われずに会議は終了[103][104]。
- 2014年4月24日 - 韓国国会外交統一委員会が国連など国際機関に「東海」の表記を求める決議案(国連事務局および傘下機関発刊東海表記要求決議案)を可決[105]。
- 2017年8月 - 国連本部で第11回国連地名標準化会議が開催。韓国が「東海」の併記を主張し、日本の国連大使から反論がなされた[106]。
- 2019年1月18日 - 読売新聞や中央日報の報道によれば、IHOは日本に対し、日本海の呼称問題に関して韓国と協議するように勧告した。呼称問題に関し日本が韓国との協議に消極的な姿勢を続けていたところ、IHOが日本に対し、場合によっては「日本海」の呼称を抜くと通告したとしている[107]。
- 2019年2月 - 日本政府は、IHOの要請を受諾し韓国との非公式協議を第三国において行うことにしたと2月6日付で読売新聞が報じた[108]。
- 2019年8月- 米国ニューヨーク州において、「「日本海」「東海」の併記を推奨する」と、通達した。これにニューヨークにある日本総領事館はニューヨーク州に対して「日本政府の立場と相いれない」と抗議した。
- 2020年9月 - IHOはすべての海に特定の名称ではなく数字表記する方針と報道、デジタル表記が原因と説明しているが日韓の名称問題紛争を終わりにしたいのが大きいと見られている[109]。
- 2020年11月 - IHOは「日本海」の単独表記を承認した[110]。また、上述の通り各海域を数字表記するデジタル版の海図を新たに作成する方針[111]。
- ^ 日本においても、古くは近畿地方を中心とした方位方角に由来する呼称で周辺の海域を呼んでおり、日本海を「北海」と呼ぶこともあった。ただし現在ではこの呼称は、日本周辺の海域の名称としては、非公式な文脈で漠然と北方の海や北海道周辺の海を指すのに用いられる程度である。
- ^ 韓国のメディアであるKBSワールドラジオの中国語放送や簡体字記事で、この問題以外の内容は、東シナ海との区別や中国人リスナーへの配慮のため、「韩国东海」(ピンイン:hánguódōnghǎi、ハングォードンハイ)を用いる。それ以外の漢字文化圏のKBSワールドラジオは、単に「東海」(日本語放送の読みは「とうかい」)である。
- ^ 北朝鮮政府の公式見解は、朝鮮中央通信や対南宣伝ウェブサイト「わが民族同士」などの国営報道機関と、北朝鮮の支配政党である朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」を通じて発表されている。
- 日本海呼称問題のページへのリンク