左右 身体・生物における左右

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左右

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/28 03:14 UTC 版)

身体・生物における左右

利き手

人間には一般的に日常生活において、左右いずれかの手のほうが器用に動かしやすいことから、これを利き手として用いることが多い。それぞれ右利き・左利きと呼ばれ、世界的にみて右利きの人間が多数だがその理由ははっきりとわかっていない。

左足と右足

足にも手と同様に利き足が存在する。利き手のように目立つことはないが、利き足の方がそうでない足より蹴る力が強い。 そのため、砂漠などの広い土地で目印を定めず直進しようとすると、直進することができず、利き足とは逆回り(右利きの場合左回り)の巨大な円を描いてしまうことがある(リングワンダリング)。運動生理学も参照。

内臓の位置

生物の内臓は、左右に非対称性が見られ、例えば人間の場合、通常は自分から見て、は左右にあるが右側の方が大きい。また肝臓は右側に大きく偏り、は左、盲腸は右、ついでに腸の配置は対称性がない。この状態は「正位」と呼ばれる。しかし、稀には臓器が左右逆の位置にある者もあり、これは「逆位」と呼ばれている。全て逆の人もいれば特定の臓器のみ逆転している人もいる。全臓器反転症も参照。

脳と左右

動物はほぼ左右対称な形状をしており、大脳および小脳は左右の半球に分かれて存在している。大脳は反対側の半身の、小脳は同じ側の半身の運動感覚を担当しているが、それぞれの半球の役割は同等ではない。その差は特に大脳で著しく、優位半球と呼ばれる側の大脳が論理思考、言語など主要な精神機能を司る。逆の劣位半球と呼ばれる側は空間認識に関わっているなどが明らかになっているが、まだ十分に解明されてはいない。また、両側大脳にあって短期記憶を司る海馬も優位側は言語的記憶、劣位側は非言語的記憶に関わることが知られる。右利きの人間のほとんど(約95%)で優位半球は左、劣位半球は右である。左利きの人間の場合にはあまり一定していないうえ、優位半球と劣位半球の区別が明確になっていないことも多い。

脳の左右に関しては俗説も多く見られる。脳機能局在論#右脳・左脳論を見よ。

生物一般

生物一般の場合も、左右の対称性と非対称性が入り混じる。

動物の場合、上下重力から自然に定まり、また前後は、多くはほぼ水平方向であるが、主に進む方向であり、これらの二つはきわめて重要である。左右は、その残りから生ずる。

個体としては外部形態においては左右対称性が見られるものがほとんどである。内部形態では左右対称性と非対称性が混ざる。ヒトの場合の主な非対称は心臓肝臓の位置、及び消化管の配置である。しかし、これらも本来は左右対称な形である。心臓もその発生からは体の中央にあるべきものである。消化管も口から肛門までの長さであれば真っすぐに配置するはずで、他の動物群においても体長より長い消化管を持つ場合、その配置は非対称である例が多い[要出典]

もともと左右対称だったのが、左右どちらかが退化することで左右非対称となる例もある。たとえばオタマジャクシの内鰓の出入り口は左側だけにある。

よりはっきりした非対称が見られるものもある。たとえばヒラメカレイでは体側面を下にし、反対側に両眼が移動している。他の魚の鱗を食ういわゆるスケールイーターでは獲物をねらう向きによって顔が歪んでいる種がある。カタツムリを専食するイワサキセダカヘビの仲間では、多数派である右巻きのカタツムリ捕食に特殊化して、下顎の歯の本数に著しい左右差が進化している。化石動物のホマロゾアは体が全体に左右非対称となっていた。

植物の場合には、移動方向としての前後が無い為、左右も無い。とはいえ、形態によっては鏡像対称に近くなることもあり、またたとえばなど、部分的にはほぼ鏡像対称になる事もある。たとえば双子葉植物では、発芽から間もない頃はほぼ鏡像対称である。

藻類菌類についても似た事が言える。

軟体動物の場合

さらに左右非対称がある例に軟体動物腹足類がある。この類では、殻が螺旋状に巻いているので、左右が非対称になっている。それだけでなく、その進化の初期に体がねじれたと言われており、内臓や神経系の配置に独特のねじれが見られる。なお、そのねじれが戻ったと見られるものもある。

また、これらの動物では殻の巻き方に左右両側のものがあり、それぞれ群によっておおよそ決まっているほかに、その中でも種によって異なっている。たとえば陸産貝類ではカタツムリ右巻きで、キセルガイは左巻きである。そしてカタツムリ類にも左巻きの種が散見される。

この巻き方の差異は生殖隔離の仕組みとしても働いている。カタツムリ類の生殖器は体の片方によっており、二頭が行き違う形で交尾が行われるが、巻きが逆のものでは生殖器のある側が反対になるため、交尾が成立しない。このことから、巻きが反対になる突然変異が起きれば、それが種分化の機会になる可能性も指摘される。なお、巻き貝全般では同種内で両方の巻き方がある種もある。


  1. ^ 阪本則秋、山本正和、藤井加奈子 (2006年). “冷蔵庫のコンセプトとキー技術” (PDF). 東芝レビュー. 東芝. p. 12. 2018年2月27日閲覧。
  2. ^ 大井競馬場は、現存する競馬場としては世界で唯一、左右両回りでレースが行われる。
  3. ^ a b 諏訪春雄篠田知和基(編)、2009、「日本人の空間認識:南北線と東西線」、『天空の世界神話』、八坂書房 ISBN 9784896949414 pp.54-62.
  4. ^ 日中飛鴻「左遷」(1999年12月1日)
  5. ^ イエメン共和国|東京都立図書館”. 東京都立図書館. 2021年3月3日閲覧。
  6. ^ 俗語辞典”. 日本放送協会 (2015年7月6日). 2018年1月27日閲覧。
  7. ^ 右側通行?左側通行?(1)-「車は左、人は右」と言われている歩行者の通行ルールは本当はどうなっているのか-”. ニッセイ基礎研究所 (2016年11月14日). 2018年1月30日閲覧。
  8. ^ 広報はにゅう 2016年5月1日号” (PDF). 羽生市. 2018年1月19日閲覧。(8頁参照)
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  10. ^ 『謎山トキオの謎解き分析-右と左の50の謎』丸山健夫 日科技連出版社 2010年 ISBN 978-4-8171-9368-1
  11. ^ 双方の地域での車両登録が必要などの条件を満たす必要がある
  12. ^ スターボードサイド、ポートサイドって? 日本船舶海洋工学会、2008年(2015年7月18日閲覧)。
  13. ^ 航空豆知識 第58回 飛行機はなぜ左側から乗るの? 日本航空、2015年7月18日閲覧。
  14. ^ “右側通行?左側通行?(3)-鉄道・船舶・航空機の通行ルールはどうなっているのか:研究員の眼”. ハフポスト. (2016年12月5日). https://www.huffingtonpost.jp/nissei-kisokenkyujyo/traffic-right-or-left_b_13420312.html 2018年2月1日閲覧。 
  15. ^ “いまだけ電車が右側通行の区間がある”. マイナビニュース (マイナビ). (2012年2月4日). https://news.mynavi.jp/article/trivia-136/ 2018年2月1日閲覧。 
  16. ^ 片運転台の場合はわかりやすいが、それ以外の車両についても、車両構造によりどちらが前方かは定義されている。
  17. ^ いまさら聞けない「鉄道ニッチ用語」(その2) 撮影用語編 マイナビニュース(杉山淳一)、2011年8月28日(2021年1月10日閲覧)。
  18. ^ 阪急公式アカウントのツイート(2015年5月27日)2021年1月10日閲覧。






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