人造人間 人造人間の問題点

人造人間

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/08 09:09 UTC 版)

人造人間の問題点

人間との境界

フィクションにおいて、外見や行動がより人間に近い人造人間が登場する場合、人造人間と人間との境界(精神的・抽象的なものから法的なものまで)がしばしば問題となる。この問題は「人間とは何か」、「生命とは何か」、「心・魂とは何か」といったより根源的な問題を含むこととなるため、各作品においても対応はまちまちで、そうした問題自体をテーマとした作品も頻繁に創作されている。

宗教・思想上の問題点

アブラハムの宗教キリスト教ユダヤ教イスラム教)では、旧約聖書天地創造にあるように、人間(アダムとイブ)はヤハウェ・エロヒムに造られたとされており、人間を造るのは「神の行為」とされている。そのため、人間が人間を造るという行為は神への挑戦、あるいは冒涜と見做される場合がある。

初期の人造人間が登場するフィクションが制作された背景には、社会の近代化や科学技術の進歩に対する漠然とした不安があった。この心理が人造人間そのものへの不安フランケンシュタイン・コンプレックスに反映されているとする見方がある。

同義語・類義語

人造人間やロボットのように「人造の人間」を表す語は多い。フィクション作品においては、作品独自の造語や誤訳、語のイメージ重視の使用(意図的な誤用)なども見られる。以下に、主なもの(主に当記事にリダイレクトされている語)について記す。

人型ロボット(ひとがたロボット)、人間型ロボット(にんげんがたロボット)
外見を人間に似せて作られたロボットのことで、「人型でないロボット」との区別のために使われる言い回し。ヒューマノイドロボット(humanoid robot、人間そっくりのロボット)とも言われる。アイザック・アシモフは、『鋼鉄都市』に登場する人型ロボットを指す語としてヒューマンフォームロボット(humaniform robot、人間型ロボット)を用いている。
アンドロイド(android、ラテン語:androides)
ギリシア語andro-(人、男性)と接尾辞-oid(-のようなもの、-もどき)の組み合わせで、人型ロボットなどの人に似せて作られた存在を指す。ヒューマノイド(humanoid、英語human(人)と-oidの組み合わせ)とは、由来する言語が異なる同じ構造の語であり、ほぼ同義である。「andro-」が男性の意味も持つことから、女性型アンドロイドをガイノイド (gynoid)と呼び分けている作品も見られる。
作中に登場する人造人間に対して「アンドロイド(フランス語:androïde)」という語を初めて用いた作品は、小説未来のイヴ』(オーギュスト・ヴィリエ・ド・リラダン著、1886年)とされているが、語自体の歴史はさらに古く、1728年イーフレイム・チェンバーズが編纂・出版した百科事典サイクロペディア』(Cyclopaedia, or Universal Dictionary of Arts and Sciences)には、既にANDROIDESの項目があり[1]18世紀初頭には使われていた語であることが窺える。この中でアンドロイドの意味は「オートマトンオートマタ)のこと」とされており、用例として「アルベルトゥス・マグヌスはアンドロイドを作ったと記録されている」という記述が挙げられている。
バイオノイド(bionoid)、バイオロイド(bioroid)
いずれもバイオ(バイオニクスバイオテクノロジー)とアンドロイドを組み合わせた語であり、SF作品に登場する人型のロボットを指す。
バイオノイドは1980年頃から用いられている語で、初期の用例としては、映画スペース・サタン』(アメリカ、1980年)が日本公開された際のチラシやパンフレットにおいて、同作に登場するロボット「ヘクター」を「バイオノイド」と紹介している。用語辞典では、
  • SF アニメなどに登場する、人間に近い生体や心を持つ人造人間[2]
  • 人間の体をしているロボット[3]
と記載されている。
バイオロイドも1980年代から用いられている語で、初期の用例としては、1983年に発表され、1985年に出版された漫画ブラックマジック』(士郎正宗[注 1])や1984年放送のテレビアニメ超時空騎団サザンクロス』(タツノコプロ制作)がある。

その他

フィクションにおいて人造人間として扱われることのある用語で、ウィキペディア日本語版内に記事のあるもの。

  • オートマタ - 機械人形のこと。何らかの技術で自律行動する場合、人造人間として扱われることがある。
  • クローン - 分子DNA・細胞・生体などのコピーのこと。クローニングによって生まれた人間は、場合により人造人間として扱われることがある。
  • デザイナーベビー - 遺伝子操作を受けた子供のこと。操作に用いられる技術や操作の内容(結果)によっては、人造人間として扱われることがある。
  • ホムンクルス - 錬金術で作り出された人工生命体のこと。人型のものが人造人間として扱われることがある。

脚注


注釈

  1. ^ なお、士郎正宗の漫画『アップルシード』では「遺伝子に加工を施したクローン人間」を意味する言葉としてバイオロイドが登場する。

出典

  1. ^ イーフレイム・チェンバーズ『Cyclopaedia, or Universal Dictionary of Arts and Sciences』1728年 Androidesの項が記載されたページ(ウィスコンシン大学デジタルコレクション収蔵)
  2. ^ 『コンサイスカタカナ語辞典第4版』三省堂、2010年、788頁。
  3. ^ 現代用語の基礎知識2006』自由国民社、2005年、1435頁。※他年度版(2013等)にも記載あり。


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