ホンダ・CR-V ホンダ・CR-Vの概要

ホンダ・CR-V

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/10 06:49 UTC 版)

ホンダ・CR-V
5代目
概要
販売期間 1995年-
※日本国内では 1995年 - 2016年2018年 - 2022年
ボディ
ボディタイプ 5ドアSUV
駆動方式 FF/4WD
系譜
先代 なし
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概要

初代・2代目はシビック(EK型、EU型)のプラットフォームを基に開発されたが、3代目からは車格が上がり、北米専用車種アキュラ・RDXなどと共通のグローバル・ライトトラック・プラットフォームを使用し、18インチタイヤの装着を前提にした最適設計を行った結果、アコードと並ぶ動力性能を手にしたといわれる。なお、全モデルで共通して全幅が1,700 mm以上あるため、3ナンバーボディとなる。

駆動方式は基本的に4WDであるが、一部FFもある。高い最低地上高によって道路状態の劣悪な災害地でも走破性を発揮できることやコストパフォーマンスの高さなどから、公益財団法人献血供給事業団血液搬送車のベース車両として多く採用されている[1][2]

同じクロスオーバーSUVトヨタ・RAV4とはライバル関係にあり、初代の登場がほぼ同時、モデルチェンジとともに大型化、海外専売車の期間があるなど多くの共通点を持つ。2019年の車名別世界販売台数では、RAV4が3位でCR-Vが4位につけており、ともに世界のSUV人気を象徴する存在となっている[3]

初代 RD1/2型(1995年 - 2001年)

ホンダ・CR-V(初代)
RD1/2型
前期型
北米仕様
概要
製造国 日本
販売期間 1995年 - 2001年
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 5ドアクロスオーバーSUV
駆動方式 4WD / FF
パワートレイン
エンジン B20B型:2.0 L 直4 DOHC
変速機 4速AT / 5速MT
サスペンション
ダブルウィッシュボーン
ダブルウィッシュボーン
車両寸法
ホイールベース 2,620 mm
全長 4,385 - 4,490 mm
全幅 1,750mm
全高 1,675 - 1,710 mm
車両重量 1,340 - 1,430 kg
その他
販売終了前月までの新車登録台数の累計 23万7847台[4]
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1995年平成7年)10月9日オデッセイに続くクリエイティブ・ムーバーシリーズの第2弾として登場。後に登場するオルティアとエンジン、シャシー、プラットフォーム(ベースはEK系シビックのもの)を共用している。

クロスオーバーSUVでありながら、当初は全車コラム4速ATデュアルポンプ式リアルタイム4WDのみの設定で、乗用車としては珍しいステッキ式パーキングブレーキを採用、前後ウォークスルーも可能、当時としては珍しい「排気量2.0 L以下の3ナンバーSUV」であるなど、悪路走破性よりも居住性、実用性を重視したモデルであった。さらに、オフロード走行に重点を置いたラダーフレーム式のSUVとは一線を画す都会的でスタイリッシュなエクステリアデザインと、軽量ボディに四輪ダブルウィッシュボーン式サスペンションを採用した乗用車譲りの運転しやすさ、走行安定性のほか、最廉価グレードが172万円から用意されるなど価格面も評価された。

CR-V登場以前は自社生産のSUVを持たないホンダが販売上苦戦していた積雪地寒冷地では、発売されると試乗待ちの列ができ、納車まで最長3か月待ちとなるほどの好セールスを記録した。CR-V発売の一年前には同様のクロスオーバーSUVであるトヨタ・RAV4が発売されてはいたが、後から出たモデルということもあり、商品力に長けたCR-Vが勢いに勝った。

エンジンはVTEC機構非採用のB20B型のみを搭載しており、軽量なボディとも相まって動力性能は十分であったが、FFベースのスタンバイ4WD(デュアルポンプ式)を採用していたため、非積雪路での燃費は他社同等クラスの4WD仕様と比較しても良好であったものの、後輪への駆動力の伝達がスロットルコントロールに対してリニアではなく(緩慢かつ唐突)、スタックからのリカバリーや、ブラックアイスバーンなどの低μ路でのコントロールは特に難しく、そのような場面の走行性能は酷評を受けた。CR-Vは過剰なオフロード性能を排して、基本的にシティユースというコンセプトで作られており、オフロードや深でもない限り問題ないロードクリアランスを備えてはいた。このことから、日常的な使用では特に他社製のスタンバイ4WD式クロスオーバーSUVに劣ることはないとの意見もあったが、四輪駆動が最も必要とされる局面で上記の極端な挙動変化は無視できない弱点であった。また、車体底面の中央部にマフラーが突出して配置されていたため、僅かな起伏で当該部位が損傷する可能性も高かった。

当初は右ハンドルのみ・日本国内専用車として開発され、輸出仕様車の生産予定はなかったが、来日した北米ディーラーの社長から強い要望があり、急遽左ハンドル車が開発・世界各国に輸出され、海外でも人気を博する大ヒット車となった。また開発当初はFFミッドシップ構造で開発する予定だったのが当時の社長であった川本信彦の鶴の一声でシビック系のプラットフォームを基に開発し直した。

1997年(平成9年)10月のマイナーチェンジで、ABS/エアバッグの標準設定、AT制御の改良、デュアルポンプの改良、MT車の設定[注 1](145 PS)などが行なわれた。AT車は「スマートスケープ」、MT車は「アクティブスケープ」と呼ばれるようになり、併せて一部車体色の差し替えが行われた。

1998年(平成10年)12月のマイナーチェンジでは、スペアタイヤ位置を背面から床下吊り下げに変更した新グレードの「フルマーク」を新設。従来の背面スペアタイヤ仕様も「パフォーマ」として併売された。動力面ではMT車/AT車共にエンジン出力が150 PSに改良され、VSA(ビークルスタビリティアシスト)装着車を設定し、衝突安全性能の向上策も実施された。このマイナーチェンジを機にホイールも5穴化されている。また、悪路走破性能をさほど必要としないユーザー向けのFF車も新設定された。

2001年(平成13年)8月[5]に生産終了。在庫対応分のみの販売となる。

2001年(平成13年)9月に2代目と入れ替わる形で販売終了。

2018年(平成30年)に制作されたRW系のテレビCM「OPEN MIND VEHICLE」編では、1999年式の当モデルとすれ違うシーンが登場している。

2代目 RD4/5/7型(2001年 - 2006年)

ホンダ・CR-V(2代目)
RD4/5/7型
前期型 フルマークiL
前期型 フルマークiL
概要
製造国 日本
中国
イギリス
販売期間 2001年 - 2006年
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 5ドアクロスオーバーSUV
駆動方式 4WD / FF
パワートレイン
エンジン 前期(2001年-2004年)
K20A型:2.0L 直4 DOHC i-VTEC
後期(2004年-2006年)
K24A型:2.4L 直4 DOHC i-VTEC
N22A型:2.2L 直4 i-CTDi
変速機 4速AT / 5速AT / 5速MT
サスペンション
マクファーソンストラット
ダブルウイッシュボーン
車両寸法
ホイールベース 2,620mm
全長 4,360 - 4,540mm
全幅 1,780 - 1,785mm
全高 1,710mm
車両重量 1,410 - 1,520kg
その他
販売終了前月までの新車登録台数の累計 5万8,450台[6]
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2001年9月18日フルモデルチェンジ。エンジンはK20A型が搭載され、初代で酷評された4WDシステムも大幅に進化し、ミドルクラスクロスオーバーSUVとしては十分な性能となった。トランスミッションは4速ATと5速MT。ラージプロジェクトリーダーは、のちに本田技研工業の社長に就任した八郷隆弘が務めた、。

室内居住空間を重視したのは初代モデルと同様である。また、エクステリアデザインもキープコンセプトながら、さらに都会向けにリファインされつつ、樹脂パーツも多用するなどアウトドアライフを連想させるデザインとなっている。インテリアでは、初代の特徴であった広く開放的な室内はそのままに、インパネと一体型の個性的なパーキングブレーキレバーや、メーター横に伸びたシフトレバー、大型のドアポケット、ペットボトル飲料の保冷・保温ができる「インパネ・マルチボックス」など、SUVのワイルドさとミニバンの使い勝手が融合した特徴的なインテリアであった。タイヤは北米からの要請で、ランニングコストを抑える目的で他のSUVよりも小さめのものになっている。

しかし、セールス面では日本国内でのSUVブームの沈静化や、従来のプリモベルノ店併売からベルノ店の専売になったこともあり、初代モデルほどの数字は記録できなかった。反面、北米・欧州・アジアでの評価が非常に高く、アコード、シビックに続く全ホンダ車中第3位の販売台数を誇り、世界的にはヒットした成功作といえる。

2004年9月22日に行われたマイナーチェンジでは既存のK20A型を廃止し、当初から北米仕様に設定されていた、アコードやオデッセイ、エレメントに搭載されているK24A型が全車に採用され、トランスミッションもすべて5速ATとなった。なお、欧州仕様ではAT比率が非常に低いためMT車が継続販売され、N22A型ディーゼルターボエンジンが追加された。

2006年9月に生産終了。在庫対応分のみの販売となる[7]

2006年10月に3代目と入れ替わって販売終了。

日本では初代ほどの人気は獲得できなかった[6]が、英国スウィンドン工場で生産されているCR-Vは北米に輸出され、現地の会社でないにもかかわらず対米輸出台数が1位となるなど、大きな人気となった。

中国では東風本田汽車の最初の車種として2004年4月24日から生産が開始され[8]5月12日に発売が開始された[9]。なお、上海モーターショーに、デザインの酷似した中国製自動車が出展され、物議を醸した。


注釈

  1. ^ 追加されたMT車はフロアシフトで駐車ブレーキもサイドレバー式となったため、ウォークスルーに適しているのはAT車である。
  2. ^ インパネにソフトパッドが使用されておらず、ステッチが本物の糸ではなく模造品なことや、木目調パネルがぼんやりとした仕上がりで質感に乏しいということなど。
  3. ^ 4WD車には「ルーフレール」を装備しない仕様が用意される

出典

  1. ^ 他にはスバル・フォレスター日産・エクストレイルなども採用されている。八重洲出版『driver』2012年12月号 p.54
  2. ^ [1] - 公益財団法人献血供給事業団
  3. ^ 【1位は日本車】2019年に世界で最も売れたクルマ20選 半数以上を日本車が占めるAUTOCAR 2021年5月1日閲覧
  4. ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第23号17ページより。
  5. ^ CR-V(ホンダ)1995年10月~2001年8月生産モデルのカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月19日). 2020年1月19日閲覧。
  6. ^ a b デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第34号17ページより。
  7. ^ CR-V(ホンダ)2001年9月~2006年9月生産モデルのカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月19日). 2020年1月19日閲覧。
  8. ^ 东风本田汽车(武汉)有限公司CRV下线暨投放仪式” (中国語). 東風本田汽車 (2004年4月24日). 2013年7月26日閲覧。
  9. ^ 东风hondaCR-V5月12日全国统一上市” (中国語). 東風本田汽車 (2004年5月12日). 2013年7月26日閲覧。
  10. ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第26号 25ページより
  11. ^ 睿力和一 锋芒劲现-―东风Honda新世代CR-V超越诞生” (中国語). 東風本田汽車 (2007年4月18日). 2013年7月26日閲覧。
  12. ^ CR-V年销突破10万辆” (中国語). 東風本田汽車 (2009年12月10日). 2013年7月26日閲覧。
  13. ^ CR-V(ホンダ)2006年10月~2011年11月生産モデルのカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月19日). 2020年1月19日閲覧。
  14. ^ a b c デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第89号15ページより。
  15. ^ 2011年ロスアンゼルスオートショーにて「フィットEV」「CR-V」の市販モデルを世界初披露
  16. ^ New CR-V 先行スペシャルサイト
  17. ^ ホンダ CR-V 発表…日本専用モデル設定「やっぱりお膝元で売れてほしい」カービュー2011年12月9日(2011年12月13日 閲覧)
  18. ^ ホンダコリア、4世代CR-Vを発表中央日報 2011年12月21日(2012年3月8日閲覧)
  19. ^ 售价19.38—26.28万 全新CR-V领世启航” (中国語). 東風本田汽車 (2012年2月22日). 2013年7月26日閲覧。
  20. ^ 2015 Honda CR-V 2015年3月16日閲覧
  21. ^ a b 北米向け新型「CR-V」を発表』(プレスリリース)本田技研工業株式会社、2016年10月14日https://www.honda.co.jp/news/2016/4161014.html 
  22. ^ 東風ホンダ、新型「CR-V」を発表』(プレスリリース)本田技研工業株式会社、2017年7月10日https://www.honda.co.jp/news/2017/4170710.html 
  23. ^ 「第45回東京モーターショー2017」Hondaブース出展概要について』(プレスリリース)本田技研工業株式会社、2017年9月29日https://www.honda.co.jp/news/2017/c170929.html 
  24. ^ 「「東京オートサロン2018」出展概要』(プレスリリース)本田技研工業株式会社、2017年12月22日https://www.honda.co.jp/news/2017/4171222.html 
  25. ^ 新型「CR-V」をホームページで先行公開』(プレスリリース)本田技研工業株式会社、2018年6月8日https://www.honda.co.jp/news/2018/4180608.html 
  26. ^ 新型「CR-V」を発売』(プレスリリース)本田技研工業株式会社、2018年8月30日https://www.honda.co.jp/news/2018/4180830-cr-v.html 
  27. ^ 「CR-V」をマイナーモデルチェンジし発売』(プレスリリース)本田技研工業株式会社、2020年6月18日https://www.honda.co.jp/news/2020/4200618-cr-v.html 
  28. ^ a b c d e f g h i 新型ホンダCR-Vがついに正式発表! 洗練されたデザインと進化したハイブリッドに注目!”. Motor-Fan[モーターファン]. 2022年7月29日閲覧。
  29. ^ a b c ホンダ新型「CR-V」先行公開! 6年ぶり全面刷新!? ヘキサゴングリル採用の次世代SUVを米国初披露”. くるまのニュース. 2022年5月26日閲覧。
  30. ^ a b c d e f g h i j k Nast, Condé (2022年7月13日). “新型ホンダCR-Vが、ついに出た!”. GQ JAPAN. 2022年7月29日閲覧。
  31. ^ ホンダ CR-V 新型、6世代目モデルが北米で生産開始”. レスポンス(Response.jp). 2022年10月23日閲覧。
  32. ^ ホンダ、6代目新型「CR-V」発表! 立体的グリル採用の迫力顔!? ターボ・PHEVなど搭載で中国導入へ”. くるまのニュース. 2022年10月23日閲覧。
  33. ^ トヨタ「ハリアー」サイズのホンダ“タフ顔”新型「CR-V」発表! “ド迫力デザインの6代目“墨市場投入!日本は?(くるまのニュース)”. Yahoo!ニュース. 2022年12月7日閲覧。
  34. ^ ホンダ CR-V 新型、ハイブリッドの生産を米国工場でも開始”. レスポンス(Response.jp). 2023年3月24日閲覧。
  35. ^ 800馬力の ホンダ CR-V、サーキットテスト映像…実車は2月28日発表予定”. レスポンス(Response.jp). 2023年3月24日閲覧。
  36. ^ V6ツインターボはインディカー譲り…ホンダ CR-V が「究極の高性能ビースト」に[詳細写真]”. レスポンス(Response.jp). 2023年3月24日閲覧。
  37. ^ Nast, Condé (2023年3月6日). “ホンダのSUVが過激過ぎる! 新型CR-Vハイブリッドレーサー登場”. GQ JAPAN. 2023年3月24日閲覧。
  38. ^ めちゃ速そう! ホンダ新型「SUV」公開! ハイパワー&スポーティな新型「CR-V e:PHEV」中国で479万円から(くるまのニュース)”. Yahoo!ニュース. 2023年3月16日閲覧。
  39. ^ ホンダ新型「CR-V」“右ハンドル仕様”初公開!? めちゃ速そうな「RS」仕様もアリ! バンコクモーターショーで“新型SUV”をお披露目”. くるまのニュース (2023年3月23日). 2023年3月24日閲覧。
  40. ^ ホンダ『CR-V』新型、欧州は電動モデルのみ…初のPHEVも設定”. レスポンス(Response.jp) (2023年5月22日). 2023年7月7日閲覧。
  41. ^ ホンダ CR-V 、史上最強のハイブリッドに新グレード…2024年型を米国で発売”. レスポンス(Response.jp) (2023年6月20日). 2023年7月7日閲覧。
  42. ^ 株式会社インプレス (2022年12月1日). “ホンダ、米国で「CR-V」ベースの新型燃料電池車を2024年生産開始へ”. Car Watch. 2022年12月11日閲覧。






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