霧島山とは? わかりやすく解説

きりしま‐やま【霧島山】

読み方:きりしまやま

宮崎鹿児島両県にまたがる火山群最高峰韓国(からくに)岳の標高1700メートル。第2の高峰高千穂峰の1574メートルで、天孫降臨伝説知られる

霧島山の画像

霧島山(宮崎県・鹿児島県)

1700m 北緯315603秒 東経130度5142秒  (韓国岳) (世界測地系
1421m 北緯315434秒 東経130度5311秒  (新燃岳) (世界測地系
1574m 北緯315311秒 東経130度5508秒  (高千穂峰) (世界測地系

霧島山写真霧島山地図



概 要

 霧島山は、宮崎鹿児島県境に位置し加久藤(かくとう)カルデラの南縁部に生じた20超える安山岩(SiO25067% )の 小型成層火山砕屑丘からなる火山群である。 成層火山高千穂峰中岳大幡山などで、砕屑丘韓国岳大浪池御鉢(高千穂峰の西)、新燃(しんもえ)岳などで、 山体大きさ比べて大きな火口を持つ。また、大浪池大幡池御池六観音池など多く火口湖がある。 えびの高原南西側山腹温泉・地熱地帯があり、特にえびの高原硫黄山では活発な噴気活動みられる
 有史後は、主に御鉢新燃岳(底部火口湖)で噴火繰り返してきた御鉢は1923(大正12)年の噴火以来穏やかであるが、 過去の活動記録によれば霧島火山群中もっとも活動的な火口である。
 新燃岳では2008年8月22日小規模な噴火発生した

最近1万年間の火山活動

 サツマ火山灰(約11000 年前)からアカホヤ火山灰(約6300 年前)堆積以前に、琵琶池、大 幡池のマール古高千穂火山体が形成された。アカホヤ火山灰堆積以降には、高千穂峰御鉢大幡山の火山体と御池小池不動池の各マール形成された。1768 年に韓国岳北西から溶岩流出し硫黄山形成された。このうち御池マール形成した噴火(約3000 年前) は、霧島火山活動中では最大規模プリニー式噴火である( 井村,1994, 宮崎 県,1997)。

記録に残る火山活動

1980(昭和55)年12 月3 日 地震
韓国岳付近でM2.7、えびの市震度3。
1980(昭和55)年12 月1981(昭和56)年9 月 噴気
硫黄谷温泉付近噴気地帯拡大
1981(昭和56)年1 月1314 日 地震群発
新燃岳付近群発無感
1981(昭和56)年12 月1982(昭和57)年5 月 噴気
新燃岳第6 噴気孔温度上昇(最高208 )。
1983(昭和58)年12 月2829 日 地震群発
新燃岳付近群発無感29 日微動
1985(昭和60)年8 月2830 日 地震群発
新燃岳付近群発無感
1986(昭和61)年4、9 月 近傍地震
4 月28 日 牧園町3 回地震発生推定最大震 度4~ 5、被害あり。9 月21 日 栗野岳付近地震2 回、深さ3km最大M2.0、え びの高原一帯震度1。
1988(昭和63)年10 月3~ 9 日 地震群発
新燃岳付近群発無感8 日 微動(1983年以来)。
1991(平成3)年 噴火
11 月13 日 新燃岳直下地震急増26 日まで多発同時に微動 多発92 年1 月まで連続微動多発状態。
11 月24 日新燃岳火口噴気活発化確認91 年12 月92 年2 月まで、時々火山灰噴出
19921994(平成4~ 6)年
時々地震増加
1995(平成7)年4 月26 日8 月2530 日9 月下旬 地震増加
4 月26 日火山性微動発生
1999(平成11)年11 月
新燃岳震源とする火山性地震増加日回数の最高は10 日192 回。また、12 月16 日火山性微動発生し、月合計26 回。
2002平成14)年
6~ 10 月にかけて御鉢付近震源とする火山性微動が計13発生し微動発生直後火山性地震多発した日があった。
2003(平成15)年
御鉢で時々火山性微動発生12 月12 日には、継続時間9 分の微動発生し翌日新し噴気孔(T8、T9)が確認された。噴気は時々火口縁を越えた
2004(平成16)年
御鉢で時々火山性微動発生噴気は時々火口縁を越えた
2005(平成17)年
御鉢で時々火山性微動発生噴気は時々火口縁を越えた
2006(平成18)年
新燃岳火山性微動火山性地震
御鉢で時々火山性微動発生噴気は時々火口縁を越えた
2007(平成19)年
御鉢で時々火山性微動発生
2008(平成20)年 噴火
新燃岳8月22日小規模噴火小林市方面降灰その後噴煙活動続く。

 

<「概要」、「最近1万年間の火山活動」、「記録に残る火山活動」については日本活火山総覧(第3版)(気象庁編,2005)及び最近観測成果よる。


火山観測

 気象庁では,新燃岳山頂火口南西1.7kmの地点Aに地震計を,また空振計1点遠望カメラ1点,GPS3点をそれぞれ設置し, さらに東京大学地震研究所霧島火山観測所地震計5点分岐し,霧島山の火山活動監視観測行ってます。 2002年8月には,簡易設置火山観測装置用いて地震計3点,GPS3点,空振計1点増設しました2006年4月傾斜計3点GPS観測点5点追加しました


火山活動解説資料

 気象庁実施した火山観測データ解析結果や,火山活動診断結果掲載します毎月1回上旬公表します

 



霧島山

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/20 22:58 UTC 版)

霧島山(きりしまやま)は、九州南部の宮崎県鹿児島県県境付近に広がる火山群の総称であり、霧島連山霧島連峰霧島山地あるいは霧島火山群とも呼ばれる。最高峰の韓国岳(標高1,700 m)と、霊峰高千穂峰(標高1,574 m[1][注 1])の間や周辺に山々が連なって山塊を成している。


注釈

  1. ^ GNSS測量等の点検・補正調査による2014年4月1日の国土地理院『日本の山岳標高一覧-1003山-』における改定値。なお、旧版での標高は1,573 m。
  2. ^ 2001年までは井村(1994)によって、加久藤火砕流から15万年前までを古期霧島火山、15万年前から現在を新期霧島火山としていた。[9]
  3. ^ 資料によっては1,310 mという記載もある。
  4. ^ どちらも建造は三菱重工業長崎造船所

出典

  1. ^ “標高値を改定する山岳一覧 資料1”. 国土地理院. https://www.gsi.go.jp/common/000091072.pdf 2014年3月26日閲覧。 
  2. ^ 気象庁・過去の火山活動による分類(ランク分け)
  3. ^ 火山防災のために監視・観測体制の充実等の必要がある火山”. 気象庁. 2016年2月25日閲覧。
  4. ^ 【協議会】日本ジオパーク認定申請の結果が発表されました”. 霧島ジオパーク推進連絡協議会事務局 (2010年9月14日). 2011年2月25日閲覧。
  5. ^ 森茂善、荒木一好「霧島山の気候」『霧島山総合調査報告書』霧島山総合研究会、1969年
  6. ^ 吉岡善三郎ほか 「畜産」『霧島山総合調査報告書』霧島山総合研究会、1969年
  7. ^ a b c 長岡 信治, 新井 房夫, 檀原 徹 (2010). “宮崎平野に分布するテフラから推定される過去60万年間の霧島火山の爆発的噴火史”. 地学雑誌 119 (1): 121-152. https://doi.org/10.5026/jgeography.119.121 2017年4月7日閲覧。. 
  8. ^ a b 井村 隆介, 小林 哲夫 (2001年). “霧島火山地質図, 地質調査所”. 鹿児島大学理学部. 2017年4月20日閲覧。
  9. ^ 高橋正樹小林哲夫編『九州の火山』築地書館〈フィールドガイド日本の火山5〉、1999年、ISBN 4-8067-1165-9
  10. ^ a b 大規模カルデラ噴火影響範囲表示マップ”. 産業技術総合研究所 地質調査総合センター (2003年). 2018年1月27日閲覧。
  11. ^ 第四紀火山カタログ委員会 (1999). “日本の第四紀火山カタログ”. 火山 44 (6): 285-289. doi:10.18940/kazan.44.6_285. https://doi.org/10.18940/kazan.44.6_285 2018年1月27日閲覧。. 
  12. ^ 遠藤尚ほか「火山灰層による霧島熔岩類の編年(試論)」『霧島山総合調査報告書』霧島山総合研究会、1969年
  13. ^ 28)霧島山火山 産業技術総合研究所, 2016年2月11日閲覧。 (PDF)
  14. ^ 平田正一「霧島山の植物解説」『霧島山総合調査報告書』霧島山総合研究会、1969年
  15. ^ 宍戸元彦「霧島山の森林植生」『霧島山総合調査報告書』霧島山総合研究会、1969年
  16. ^ 宮崎県総合博物館編・発行 『宮崎県総合博物館総合調査報告書 霧島山の動植物』 2004年
  17. ^ 中村豊 「霧島山の鳥類」 『宮崎県総合博物館総合調査報告書』 2004年
  18. ^ 鹿児島県/地名の由来”. 鹿児島県. 2017年9月5日閲覧。
  19. ^ 橋口兼古、五代秀堯、橋口兼柄 『三国名勝図会 巻之33』 1843年
  20. ^ 中野幡能 『山岳宗教研究叢書13 英彦山と九州の修験道』 名著出版、1977年
  21. ^ 霧島町郷土誌編集委員会編 『霧島町郷土誌』 霧島町、1992年


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