隠れ身
『有明けの別れ』巻1 左大臣家の1人娘は男装して右大将となっており、隠れ身の術を使うことができた。右大将は姿を隠して、多くの女たちを見てまわった。右大将は、継父に言い寄られ犯される女を見、身ごもった彼女を救い出して、自分の名目上の妻(=対の上)とした。
『酉陽雑俎』巻2-79 玄宗皇帝は羅公遠に隠形の術を学んだが、衣の帯が残ったり頭巾の先があらわれたりして、完全に姿を消すことができなかった。羅公遠は「我が術をすべて教えたら、陛下は人の家にしのびこむだろう」と言い、術を用いて去った。
『ラーマーヤナ』第6巻「戦争の巻」 魔王ラーヴァナの息子インドラジットは、姿を消す術を使い、天から多くの矢を射かけ、ラーマもラクシュマナも重い傷を負って倒れた。
『居杭』(狂言) 居杭という男が、目をかけてくれる亭主から、いつも「よう来た」といっては頭をたたかれるのに閉口し、清水の観世音に祈願して頭巾をたまわる。亭主の前で頭巾をかぶると居杭の姿は見えなくなる。居杭はさまざまに亭主をからかう。
『今昔物語集』巻4-24 龍樹菩薩は在俗の折、仲間2人と相談して、隠形(おんぎゃう)の薬を作った。宿り木を5寸に切って、百日陰干(かげぼし)にして薬を造り、髻(もとどり)にさすと、姿が見えなくなるのであった。龍樹たち3人は姿を消して国王の宮殿に入り、多くの后妃を犯した〔*『龍樹菩薩伝』では龍樹と3人の親友が、薬を瞼に塗って姿を消す。「龍樹菩薩に関する俗伝より」と記す『青年と死』(芥川龍之介)では、2人の青年AとBがマントルを着て姿を消す〕→〔足跡〕1a。
『風流志道軒伝』巻之4 浅之進(志道軒)は、風来仙人から得た羽扇を背に負って姿を消し、清国乾隆帝の後宮に入りこんで、夜な夜な官女の閨に忍ぶ→〔足跡〕1a。
*ペルセウスがかぶった帽子→〔帽子〕9の『ギリシア神話』(アポロドロス)第2巻第4章。
*→〔難題〕1bの『ニーベルンゲンの歌』第6~7歌章・〔指輪〕1aの『国家』(プラトン)第2巻・『指輪物語』(トールキン)第1部「旅の仲間」2。
『透明人間』(H・G・ウェルズ) 科学者グリフィンは、生物を透明にする薬を開発し、自らそれを飲んで透明人間になった。信頼し得る家族も親友も持たぬグリフィンは、姿を見せず他人を攻撃できることを武器に、恐怖政治によって町を支配しようと考える。グリフィンから協力を依頼されたケンプ博士はこれを断り、町の人々とともに透明人間を追い詰める→〔死体変相〕4d。
『影男』(江戸川乱歩)「隠形術者」 速水荘吉・綿貫清二・鮎沢賢一郎など、無数の名を持つ「影男」は、黄色や茶色の壁の日本家屋に侵入する時には黄や茶の薄物を身にまとい、森では濃緑、夕方には鼠色の衣裳を着た。闇夜には、真っ黒より、乾いた血のようなドス黒い赤の方が見えにくいことも、「影男」は知っていた。
*夜、黒い板を背負って逃げるので、消えたように見える→〔にせ幽霊〕1の『奇談異聞辞典』(柴田宵曲)「贋幽霊」。
★5.人から「見えない」と言われてそれを信じ、隠れ身になったと思い込む。
『笑林』4「木の葉隠れの術」 ある男が、「かまきりは蝉をねらう時、葉の後ろに姿を隠す」と、本で読んだ。男は多くの葉を取って来て、1枚1枚、手にかまえ、妻に「俺が見えるか?」と聞く。妻は、最初は正直に「見える」と答えていたが、そのうち面倒になって「見えない」と嘘を言う。男はその葉を持って町へ行き、皆の見ている所で盗みをして捕らえられた。
『宝の笠』(狂言) 都のすっぱ(詐欺師)が、「持ち主がかぶった時だけ姿が消える隠れ笠だ」と言って、普通の笠を太郎冠者に売りつける。太郎冠者が笠をかぶると、すっぱは「見えぬ見えぬ」と言う。太郎冠者は笠を買って帰り、主人にかぶせる。主人の姿が見えたままなので、太郎冠者はすっぱに騙されたと気づくが、「見えませぬ」と言ってごまかそうとする。
*→〔裸〕4の『はだかの王様(皇帝の新しい着物)』(アンデルセン)は、これらとは逆に、見えないものを「見える」と言う。
『現代民話考』(松谷みよ子)1「河童・天狗・神かくし」第3章の3 昭和20年(1945)頃の話。小学校6年の男児が昼間、鶏をいじめたら、神隠しにあって大騒ぎになった。男児は井戸のそばにしゃがんでいたが、家族にはその姿が見えなかった。男児からは家族の姿が見えるのだが、声を出すことができなかった。2昼夜、そういう状態だった(青森県)。
『日本書紀』巻21崇峻天皇即位前紀 朝廷の衛士(いくさびと)が、捕鳥部万(ととりべのよろづ。=物部守屋の従者)を捕らえようと、取り囲む。万は竹林に隠れ、自分の居場所をごまかすために、縄を竹につないで引き動かす。衛士たちは、動く竹を目指して駆け寄り、「万はここにいる」と言う。万は隠れ場所から矢を放ち、衛士たちを倒す〔*しかし万は逃げ切れず、自刃する〕。
*座禅をする人の姿が、目に見えない→〔観法〕3の『雨月物語』巻之5「青頭巾」。
*現世の人間が死者の村を訪れるが、死者の目からは、生きた人間の姿が見えない→〔トンネル〕1bの『地獄穴訪問』(アイヌの昔話)。
隠れ身
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/06/11 14:57 UTC 版)
1ターンの間敵から認識されなくなる。敵ユニットを素通りできるようになり、攻撃の際に反撃も受けなくなる。
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