若桜生命
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 05:33 UTC 版)
明治22年創業の生命保険会社。企業形態は相互会社。保有契約高業界首位であり、機関投資家としての規模は拳願会でも最大級。企業序列第11位。通算戦績1366勝909敗。 阿古谷 清秋(あこや せいしゅう) 声 - 小山力也 若桜(わかさ)生命の代表闘技者。31歳。表の世界では警視庁の機動隊隊長を務める。階級は警部。『処刑人』の通称が示す通り、「正義執行」と称して夜な夜な暴力団・凶悪犯・過激派といった「悪」を秘密裏に始末している。 使用する武術は逮捕術で、大盾など機動隊の使う武器をイメージした型を繰り出す。相手の攻撃に対して軸をずらしていなす防御特化の戦いを得意とし、その前腕は不自然なまでの耐久力を誇り、体重差が3倍近くある相手の攻撃を受けても顔色一つ変えない。 真の武器は圧倒的な速さの反射速度で、常人で0.08から0.1秒程度のところ、阿古谷の場合は0.074秒。それに加え、気の遠くなるような反復練習を行ったことで思考を放棄して反射レベルでの攻撃が出せるようになっている。さらに、瞬花の体内時計を利用し、体内に埋め込んだ超小型骨伝導インプラントから伝わる信号を読み、解析した攻撃のパターンに合わせて的確な反撃を繰り出すことで、相手に何もさせずに勝利することを得意とする。金田の「先読み」と似ているが、金田が動きを予測して相手が行動を起こす前に回避するのに対し、阿古谷は「反射神経を活かし、相手が動き始めてから反応して回避あるいは防御する」という違いがある。0.1秒に満たない意識の隙を突くコスモの「ゾーン」に対しても、檜山からの通信が一瞬遅れたにもかかわらず意識を切り替え防ぐことが可能。 私刑を続けるうちにいつしか「悪」に魅入られ殺人衝動を抱える、いわゆるダーティハリー症候群に陥ってしまっていた。仕合中に檜山の指示を受けるのも殺人衝動を抑え込むための措置であり、この関係が崩れると普段の堅実なものとは異なる残虐で凶暴な戦闘マシンに変化し、目潰しや噛みつきなどの危険な技を使うようになる。また、始末しているのは凶悪犯だけでなく、本人は善良な市民であっても血縁者に凶悪犯がいるような者も「悪の芽」として殺害している。自分自身が理想のために罪を重ねている自覚はあり、いずれは自らも断罪されなければならないと断言しているが、おかしいのは自分ではなく正義のない現世の方だと考えている。 トーナメント1回戦では河野春男を相手に終始圧倒。途中で春男の攻撃の質が変わったことで檜山の解析が役に立たなくなるというアクシデントにより殺人衝動に呑まれかけるが、自滅に近い形で春男が戦闘不能となったため、結局は全ての攻撃をさばき切りほぼ無傷で勝利する。 2回戦ではコスモと対戦。檜山とのコンビネーションで「ゾーン」を封じるが、自分たちの不正が西品治たちに暴かれたことがきっかけとなり、殺人衝動を開放してしまう。凄まじい握力で締めを解くと左大腿部を食い千切り、自身の殺意に臆したコスモを組み伏せ拷問のように肋骨をへし折るが、土壇場で覚醒した彼の猛反撃を受ける。大蛇絡めをかけられても壁や地面に叩きつけて振りほどき、とどめを刺そうとしたところでゾーンからフロントチョークをかけられてしまい、折った肋骨を連打して抵抗したがコスモの執念に負け意識を失い敗北した。 2回戦終了後の東電によるクーデターの際は、守護者を「悪」と判断し殺害しようとするが、滅堂から対象を殺さないよう命令を受けていた加納に止められる。「正義執行を妨げるなら貴様も殺す」と加納に詰め寄るが、「まずは守護者を排除すべき」と説得され同意、加納と共に守護者を殲滅した。 『ケンガンオメガ』でも警察官と若桜生命の闘技者を続けている。檜山との連携は止めたが、何者にも遅れを取らない「完璧な正義の力」を今まで以上に求めてさらに強くなっている。だが、光我が闘技者に合格する半年前、故意に対戦相手の室淵を殺害しようとして無期限出場停止になっていた。 偽者の幽崎が殺害された事件で現場近くの監視カメラで確認された龍鬼を怪しみ独自に捜査していたが、見失った隙にセントリーの従業員が殺害されるという新たな事件に遭遇。一連の連続殺人を調べる過程で、「虫のタトゥー」を体に彫った集団が拳願会所属企業に潜入していることに気付く。そして、龍鬼の「資質」を見極めるために復帰戦の仕合をセッティングし、殺すつもりで戦いを挑む。トップクラスの闘技者として龍鬼を圧倒し、反撃を止めた彼を打ちのめすが、待機していた護衛者に取り押さえられる。仕合後、龍鬼から「殺さなくてよかった」「おかしかったのは俺の方なのかも」という言葉を聞き、共に正義をなす「同志」を見つけたと歓喜の表情を浮かべる。 仕合後、若桜生命を敵に回せないという事情と、殺されかけた室淵本人からの推薦もあって、7人目の対抗戦代表選手に内定する。本番においては試合に出すリスクは高いが、イーブンで最終戦を迎えた場合にトリを任せるのは不安である、と考えた若槻の提案に乗った山下に指名され、第9試合に出場しニコラと戦う。自分に近しい反射速度を持つニコラと打ち合いを演じ、防御特化の自分にとって天敵となる、一時的に感覚を消失させる「毒」に苦しめられる。麻痺のせいで回避も防御もできずに何度も殴られるが、相手に組み付いて肩を食い千切り、自身のダメージも度外視して鉄槌や頭突きで相手の頭部を攻撃し続ける。レフェリーのコールでは試合を止められず、このままでは殺し合いになるという判断から強制的に試合終了となり、リングに上がったロロンによって引き剥がされ、医務室から駆けつけた理人とメデルに取り押さえられて対抗戦終了まで拘束される。 キャラクターモチーフは『ウォッチメン』のロールシャッハやパニッシャー。使用武術・逮捕術 司法警察職員およびそれに準ずる職務を行う者が習得する、相手を拘束・制圧することに特化した術技。日本拳法・剣道・杖術などをベースに作られており、その性質上、素手のみならず様々な武器術も習得する総合武術である。 主な技 大盾 頑丈な左前腕を機動隊が使用する盾に見立てた構え。反射神経を生かし、攻撃の軸をわずかにずらして受けてダメージを抑えることで、檜山の「解析」が終わるまでの時間稼ぎを行う。受け流してるとはいえ体重が300kg以上ある春男の攻撃にダメージを受けてるそぶりを見せてないことから、ガオランには内心「鉄で出来てるのか」と驚嘆されていた。 トーナメント後には、盾を用いた戦法の中で唯一完全な攻略法が存在しない「押し込み(抑え込み)」という新たな戦法を開発。この場合、左前腕で相手の喉を抑えることで動きを制し、反射速度を活かして抵抗を封じながらマウントを取り、警棒代わりの右鉄槌で一方的に殴りつける。 リッパー ナックルパートの部分を使い、拳の回転で皮膚をカットする技。肉まで切り裂く理人のレイザーズ・エッジとは違い出血の割に与えるダメージは少ないが、傷口から肉を直接抉るための布石として使われた。 制圧の構え アギトがトーナメント1回戦で見せた前傾の構えをアレンジした、攻撃に特化した阿古谷オリジナルの構え。 噛みつき 殺人衝動に飲まれた時に使用する技。噛みついた部分の肉を食い千切り、位置によっては大量出血させる。 檜山 瞬花(ひやま しゅんか) 声 - 渕上舞 若桜生命社長。28歳。絶対にズレない正確な体内時計を持っており、トーナメント時のくじ引きでも2番目に高い数字を出した。体内時計を利用して相手の呼吸の「間」を読み、次の行動パターンを予測できる。 父と叔父が急死したため6年前に社長の座を引き継ぐ。信頼していた従兄で副社長であった健人が家族殺しの真犯人で、自身も命を奪われかけるが阿古谷に救われたことで彼に過剰な依存心を抱くようになる。阿古谷とは肉体関係を持つと同時になかば共依存のような関係にあるらしく、彼に見捨てられそうになった際には激しく取り乱していた。こういった経緯もあって阿古谷の殺人を黙認しているだけでなく、拳願会員の力を使って標的の情報を収集するなど共犯関係にある。また、彼の目指す「悪のない世界」においては自身も血縁者に犯罪者がいる「悪の芽」であることから、いつか彼の手にかかり死ぬことを覚悟して受け入れている。 小柄かつ着物姿なので、スピンオフではとまりやアダムに座敷わらしと言われていた。 檜山 健人(ひやま けんと) 若桜生命の元副社長で瞬花の従兄。会社の乗っ取りを画策し先代社長と先代副社長を殺害、何食わぬ顔で瞬花に近づき5年前に彼女を絞殺して会社の実権を奪おうとしたが、突如現れた阿古谷に首を折られて死亡した。
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