乗っ取り
乗っ取り
★1a.客あるいは下宿人が、しだいに主人を圧迫し、最後には家を乗っ取る。
『銀の仮面』(ウォルポール) 50歳のミス・ヘリズは、貧しそうな美青年に同情し、屋敷に入れて食事を与える。これがきっかけで美青年はたびたび訪れ、妻と赤ん坊を連れて来たりもする。さらに伯父・伯母と称する夫妻も出入りする。前からいた召使やコックは辞めて行き、ミス・ヘリズは孤立無援の状態に陥る。ミス・ヘリズは心臓を病み、女中部屋に寝かされる。美青年が外から鍵をかける。
『タルチュフ』(モリエール) 富裕な市民オルゴンは、偽善者タルチュフを敬虔な宗教者だと思って崇め、客人として屋敷に住まわせる。妻や子供たちはタルチュフの正体を見抜き、オルゴンをいさめるが、彼は、全財産の贈与をタルチュフに約束してしまう。タルチュフは、オルゴンの妻を口説く現場を押さえられて開き直り、「この屋敷は自分のものだ」と言って、オルゴン一家の立ち退きを要求する→〔デウス・エクス・マキナ〕2。
『ひっとらぁ伯父サン』(藤子不二雄A) 中年サラリーマン小池さん一家の2階4畳半に、ヒットラーそっくりの男が下宿する。男は酒を飲まず肉を食べず、ワーグナーを大音量で聴く。近所の子供たちに制服を支給して、少年団「黒シャツ隊」を組織する。小池さんとトランプをしてギャンブルの面白さを教え、小池さんは家の権利証書まで取られてしまう。ひっとらぁ伯父サンは家を乗っ取るが、小池さん一家を追い出すことはせず、4畳半に住まわせてやる。
★1b.突然押しかけて来た訪問者(たち)が、たちまち家を乗っ取る。
『自信』(星新一『夜のかくれんぼ』) 西島正男が会社からマンションに帰って来てくつろいでいると、見知らぬ男が訪れ「僕は西島正男で、ここは僕の部屋だ」と言う。正男は管理人を呼ぶが、管理人はその男を「西島正男」と認める。いつのまにか、その男と正男とは、顔が入れ替わっている。正男は「自分が本物の西島正男だ」との自信が持てなくなり、男に部屋を譲って出て行く。
『闖入者』(安部公房) 深夜、見知らぬ9人家族が、独身のK君の住む安アパートを訪れ、部屋に上がりこんで居すわる。多数決の原理によって、食事の用意などをK君は要求される。管理人や交番に助けを求めても取り合ってもらえず、弁護士の所へ行くと、彼もまた13人の闖入家族に苦しめられていた。K君は疲れ果てて縊死する。
★2a.魂が身体から離れたすきに、悪霊がその身体を乗っ取る。
『心学早染草(しんがくはやそめくさ)』(山東京伝) 商家の息子理太郎が18歳の年、うたた寝をする間に善魂が体外へ遊び出る。悪魂が善魂を縛って、代わりに理太郎の身体に入りこむ。理太郎は吉原で放蕩をし、勘当され、ついに盗賊となる。
『盗まれた身体』(H・G・ウェルズ) ベッセル氏が幽体離脱して、離れた場所の友人の前に、自分の姿を投射する実験をする。その間に、悪霊がベッセル氏の身体に入り込む。悪霊に乗っ取られた身体は街で暴れまわり、工事現場の穴に落ち、やがて悪霊は出て行く。ベッセル氏は、穴に落ちた自分の身体を捜しあて、その中に戻ることができて安堵する。
★2b.死者の魂が、生者の身体から魂を追い出して、その身体を乗っ取る。
『変形の記録』(安部公房) 皇軍の少将閣下が銃撃されて死に、彼の魂は肉体から離れる。閣下の魂は、飢えて昏睡状態の浮浪児を見つけ、その魂を追い出して身体を乗っ取る。浮浪児の魂は「小父さん。困るよ」と言って後を追うが、身体にさわることができない。どうやら、死んだ閣下の肉体も、かつて乗っ取られたものであるらしかった。
★2c.先に死んで葬られた死者Aの魂が、後に死んだ死者Bの身体に乗り移って蘇生する。その際、Bの身体を変形させて、Aの身体にしてしまう。
『リジイア』(ポオ) 「私」が愛した黒い髪・黒い瞳のリジイアは、病に侵されて死んだ。その後「私」は、明るい髪と碧い瞳を持つロウィーナと結婚したが、まもなく彼女も病死した。全身を布で巻かれたロウィーナの死体の傍で、「私」は1人通夜をする。死体から、かすかな暖かみが感じられ、わずかに身体が動く。夜明け頃に彼女は起き上がり、歩き出した。背丈が伸びたように見える。彼女は巻き布をほどき、そこから黒い髪が流れ出、黒い瞳が現れる。リジイアが生き返ったのだ。
『かわいいポーリー』(星新一『悪魔のいる天国』) 「おれ」の腕にできた人面瘡ポーリーは日に日に美女になり、どんどん大きくなってゆく。ある日「おれ」が街を歩くと、男が「よお、姉ちゃん」と声をかけてくる。ポーリーは男の誘いに応じ、バンソウコウを「おれ」の顔の上に貼ってしまう→〔人面瘡(人面疽)〕1。
乗っ取り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/26 17:09 UTC 版)
セルビア民主党に属するセルビア人政治家らによって、地域の乗っ取りの宣言が準備された。宣言は、乗っ取りが完了した翌日にプリイェドル・ラジオを通じて読み上げられ、一日中繰り返して放送された。乗っ取りを計画している段階では、乗っ取りに加担するのに十分な量のセルビア人の警官の人数は400人であるとされた。乗っ取りの対象は、自治体の市長、副市長、郵便局長、警察署長などの地位と定められた。 4月29日から4月30日にかけての夜、権力の乗っ取りは実行に移された。公共の治安機関と予備警察隊はプリイェドル市内のチルキン・ポリェ(Čirkin Polje)に集まった。集まったのはすべてセルビア人であり、その中には軍服を着ている者もいた。彼らは、大きく5つの集団に分けられ、それぞれ自治体乗っ取り計画のタスクを割り当てられた。それぞれの集団は約20人から構成され、それぞれにリーダーがいる。それぞれの集団は、特定の建物の支配権を奪うよう命じられている。あるグループは議会庁舎を乗っ取る計画を任されていた。別のグループは自治体でメインの警察署の建物の乗っ取りを任され、また別のグループは裁判所を、銀行を、そして郵便局を乗っ取るタスクを担っていた。 旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(ICTY)は、セルビア人政治家による自治体の乗っ取りは、違法なクーデターであり、純粋にセルビア人のみによる自治体を作るという究極の目的のために、長期にわたって計画・立案されてきたものであると結論付けている。この計画は秘密のものではなく、セルビア人の警察や軍隊、政治家らによって立案された計画に基づいてクーデターは実施されたものとしている。その中で主導的な役割を果たした者の一人がミロミル・スタキッチ(Milomir Stakić)であり、スタキッチは乗っ取り後の自治体の政治において支配的な立場となった。
※この「乗っ取り」の解説は、「プリイェドルの虐殺」の解説の一部です。
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「乗っ取り」の例文・使い方・用例・文例
- 武器を持った乗っ取り犯たちは乗客をりつ然とさせた。
- 乗っ取り犯人は200万ドルの身の代金を要求した。
- 乗っ取り犯人の要求には応じられない。
- 乗っ取りをもくろんで[目的として].
- 買収者によって乗っ取り目標の制御を得るのに用いられる処置
- 飛行機乗っ取り
- 標的の会社の経営陣によって抵抗される乗っ取り
- キューバ人が飛行機を乗っ取り、マイアミへとんだ
- 自殺的な企業乗っ取り戦略
- 敵による乗っ取りを未然に防ぐために政治改革者に差し出された王家の宝物の買入選択権
- それらの戴冠用宝玉は、政権の乗っ取りの試みで顕著に象徴された
- アラブ自爆テロ犯が米国の大型旅客機を乗っ取り、爆弾としてそれらを使用した2001年の日
- 城を乗っ取り敵を滅ぼす
- 防衛株という,乗っ取りから企業を防衛するため,譲渡等を禁止した株式
- 航空機などの乗っ取り犯人
- 海賊は貨物船を乗っ取り,フィリップス船長を人質に取る。
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