急性出血性結膜炎とは?

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急性出血性結膜炎

・急性出血性結膜炎(AHC,acute hemorrhagic conjunctivitis

急性出血性結膜炎

これも,エンテロウイルス70型によるウイルス性の結膜炎ですが比較新し病気です。アメリカ月ロケットアポロ11号打ち上げられた1969年西アフリカガーナ大流行し,インドネシアシンガポールフィリピン台湾経て1971年秋に西日本上陸し,翌1972年東京発生してから,現在も全国各地域で散発的流行しています。そのために「アポロ病」ともよばれています。感染力強く感染して1~2日潜伏期をおいて,急激に発病します。両眼激し異物感痛み起こし,まぶたが腫れ充血とともに結膜大小出血起こすのが特徴です。7~10日で治ゆしますが,これも特効薬がなく,流行性角結膜炎治療法は同じになります。周囲への感染防止が大切です。


急性出血性結膜炎

急性出血性結膜炎(AHC)は、主としてエンテロウイルス70 (EV70)とコクサッキーウイルスA24変異株(CA24v)の二つエンテロウイルスによってひきおこされる、激し出血症状を伴う結膜炎 である。両ウイルスともヒトからヒト直接接触伝播する。EV70は1971年当時国立予防衛生研究所ウイルス中央検査部長であった甲野禮作らによって発見されたウイルスで、北海道分離された標準になっている。CA24vはEV70とほぼ同時期の1970年に、東南アジア流行していたAHC 患者から分離されたウイルスである。同じ病原性を持ったエンテロウイルス時期同 じくしてヒト社会出現した理由は、今もって謎である。AHC診断された患者からは主にEV70 やCA24vが分離されるが、アデノウイルスなどのその他のウイルス分離されることもある。

疫 学

AHC1960年代終わり突如としてヒト社会爆発的大流行起こしたが、臨床的にはそれまで経験されなかった全く新しい型の結膜炎である。その伝播規模速さインフルエンザの それらに匹敵するものであった。当時疫学解析からは、発生源は明確に2つのフォーカス示していた。第一フォーカス1969年西アフリカガーナ首都アクラ大流行である。その出現アポロ11号月面着陸とほぼ同時期であったため、この地域ではアポロ病というニックネームで呼 ばれた。これがEV70 による最初流行である。流行その後2~3年の間にオセアニア大陸を除く東半球全域波及し、19801981年には2度目の大流行が報じられ、その伝播西半球にも 及んだ。一方東南アジアでは、1969年頃からジャワ島中心にすでにAHC流行が報じられ ていたが、伝播状況からすると病原体アフリカから直接広がったとは考えくいものであった。 これはCA24v による流行で、この地域では以後5 年ごとにCA24v による爆発的大流行経験することになった。このように1969年に端を発したAHC世界的流行同時期に出現し、しかも、 臨床的には区別し得ない新型結膜炎起こし遺伝学的、血清学的に全く異なる2つのエンテロウイルス原因とするものであった。
現在においても地球レベルでみれば、毎年ウイルスによるAHC散発的に、時に数万規 模でひきおこされており、ウイルス分離されている。わが国においては1990年宮崎県1994 年熊本県流行からのウイルス分離成功ていないものの、EV70の遺伝子検出されている。一方、CA24vは1985 年沖縄県1993年宮崎県および鹿児島県1994 年東京都1997 年岡山県および熊本県などで流行がみられ、ウイルス分離されている。
1999年4月施行感染症法に基づく発生動向調査による報告数(定点当たり報告数)は、1999 年4 ~12 月に1,084 (1.89)、2000年および2001年1~12月にはそれぞれ1,430(2.29 )、1,319 (2.09) (後者2002 年8 月現在の暫定データ)となっている。時期的には、大流行がないときには発生の 特別な季節性はみられない。年齢広範囲にわたるが、6~7歳以下、特に1~4歳に多く、ときに 2030歳代にもやや多くみられている。

病原体

疾患原因ウイルスであるEV70とCA24vはともにエンテロウイルス仲間で、電子顕微 鏡でみると直径約30nmの小型球形粒子とし て観察される(図1)。両ウイルスにつき、その遺 伝子である1本鎖RNA構成する約7,500塩 基配列明らかになっている。

急性出血性結膜炎

図1. EV70 の電子顕微鏡

大部分エンテロウイルス最初消化管感染するのが普通であるが、この二つウイルスの場合感染部位もっぱら結膜であり、消 化管増殖したとの報告はない。この性状は、培養細胞におけるEV70の至適温度3334 であり、39 では全く増殖できないことと関連すると思われる。EV70 は眼に病原性有すること、潜伏期極めて短く、感染2436 時間発症することが偶発的実験室感染結果明らかになったが、なぜ結膜下に激し出血引き起こすのか、そのメカニズムいまだに明らかにされていない

臨床症状
EV70とCA24vによる結膜炎臨床的に酷似するので、臨床症状による病原ウイルスの鑑別難しい。突然の強い目の痛み異物感羞明などで始まり結膜充血、特に結膜下出血を伴うことが多い。眼瞼浮腫眼脂結膜濾胞角膜表層のび慢性混濁高頻度みられる(図2)。
全身症状としては頭痛発熱呼吸器症状などがみられる潜伏期はEV70が平均24 時間である のに対し、CA24vでは2~3日とやや長い傾向にある。通常、約1週間治癒するが、EV70 では 罹患後6~12カ月四肢運動麻痺来すことがあるので、経過観察をする上で注意が必要で ある。

急性出血性結膜炎  

急性出血性結膜炎

図2. 急性出血性結膜炎の眼病

病原診断

病原診断のためには、結膜擦過物や眼ぬぐい液からのウイルス分離を行う。出現当初のEV70は比較的容易に分離され、型特異抗体による中和試験同定された。しかしながら培養細胞 によるEV70の分離近年極めて困難になっており、その理由不明である。EV70の遺伝子以 前調べられた変異速度変化しつづけ、一方アミノ酸配列にはほとんど変化がないことが報告 されている。したがって、診断結膜擦過物や眼ぬぐい液から直接RNA抽出後、RT‐PCR遺 伝子増幅し、その塩基配列分子系統解析することによって行われている。一方、CA24vの場 合にはウイルス分離は現在も比較的容易で、通常50%以上が分離陽性となるが、型特異抗血清 による中和試験同定する。血清診断も可能であるが、ペア血清での抗体上昇は低い場合多 く、かつ抗体レベル持続も短い。両ウイルスともに、近年エンテロウイルスに共通なプライマ ー遺伝子増幅して、直接塩基配列決定し、分子系統解析から同定されている。


治療予防
AHC対す治療法はないが、細菌二次感染を防ぐ目的で、抗菌スペクトルの広い抗菌薬サルファ剤点眼が用いられることがある感染予防には流水下で手指石鹸で十分に洗うこと、タオルなどの共用避けることが重要であり、ウイルス汚染した器具物品消毒には、煮沸塩素剤(オーヤラックス、家庭塩素漂白剤など)が用いられる。

感染症法における取り扱い2003年11月施行感染症法改正に伴い更新
急性出血性結膜炎は5類感染症定点把握疾患定められており、全国600カ所の眼科定点より毎 週報告がなされている。報告のための基準以下の通りとなっている。
診断した医師判断により、症状所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下の3つの基準のうち2つ以上を満たすもの
1. 急性濾胞結膜炎
2. 眼脂、眼痛、異物感などを伴う眼瞼腫脹
3. 結膜下出血
上記基準は必ずしも満たさないが、診断した医師判断により、症状所見から当該疾 患が疑われ、かつ、病原体診断血清学診断によって当該疾患診断されたもの

学校保健法における取扱い
急性出血性結膜炎は学校において予防すべき伝染病第3種定められており、出席停止基 準として「病状により学校医その他の医師において伝染のおそれがないと認められるまで」とされている。

国立感染症研究所ウイルス第二部 武田直和


急性出血性結膜炎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/08/21 07:09 UTC 版)

急性出血性結膜炎(きゅうせいしゅっけつせいけつまくえん、英:acute haemorrhagic conjunctivitis )は、アフリカガーナが発祥のの病気。エンテロウイルス70またはコクサッキーA24変異株によって引き起こされる結膜炎。別名はアポロ病 (Apollo disease )[1]




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  1. ^ a b c 高村悦子 (2003年1月1日). “ウイルス性結膜炎:7.急性出血性結膜炎”. 目についての健康情報. 日本眼科医会. 2010年9月20日閲覧。


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