じしょう‐の‐ちへいめん〔ジシヤウ‐〕【事象の地平面】
読み方:じしょうのちへいめん
事象の地平面
事象の地平面
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 02:54 UTC 版)
「事象の地平面」も参照 周囲は非常に強い重力によって時空が著しくゆがめられ、ある半径より内側では脱出速度が光速を超えてしまう。この半径をシュヴァルツシルト半径、この半径を持つ球面を事象の地平面(シュヴァルツシルト面)と呼ぶ。この中からは光であっても外に出てくることはできないので、現在天体観測に用いられているほぼ全ての光線、電波が出てこなくなる。ブラックホールは単に元の星の構成物質がシュヴァルツシルト半径よりも小さく圧縮されてしまった状態の天体であり、事象の地平面の位置に何かがある訳ではなく、ブラックホールに向かって落下する物体は事象の地平面を超えて中心へ引き込まれて行く。 ブラックホールの引力は光速を超えているため、ブラックホールに向かって落下する物体を離れた位置の観測者から見ると、物体が事象の地平面に近づくにつれて光速に近づくために、相対論的効果によって物体の時間の進み方が遅れるように見える。最終的に観測者からはブラックホールに落ちていく物体は事象の地平面の位置で永久に停止するように見える。同時に、物体から出た光は重力による赤方偏移を受けるため、物体は落ちていくにつれて次第に赤くなりやがて可視光領域を外れ見えなくなる。逆に落ちていく物体からすれば、事象の地平面を通過する頃には事象の地平面の外側の時間の進み方が大幅に高速化するように見えると想定されている。
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事象の地平面
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/20 09:58 UTC 版)
カー計量のボイヤー・リンキスト座標による表現で g r r {\displaystyle g_{rr}} 成分が発散する場所、つまり、 Δ = 0 {\displaystyle \Delta =0} は事象の地平面を与える。エディントン・フィンケルシュタイン座標に移れば Δ = 0 {\displaystyle \Delta =0} としても計量が特異性を示さないことから、ボイヤー・リンキスト座標による g r r {\displaystyle g_{rr}} 成分の発散が座標に依存した特異性であることが分かる。このような特異点は座標特異点(Coordinate singularity)と呼ばれる。遅速回転カー時空 M > | a | {\displaystyle M>|a|} を考える場合、 Δ = 0 {\displaystyle \Delta =0} は異なる2つの根 r ± = M ± M 2 − a 2 {\displaystyle r_{\pm }=M\pm {\sqrt {M^{2}-a^{2}}}} を持つ。これらはシュヴァルツシルド時空への極限 a → 0 {\displaystyle a\to 0} で、事象の地平面 r + → 2 M {\displaystyle r_{+}\to 2M} および曲率特異点 r − → 0 {\displaystyle r_{-}\to 0} に対応する場所である。また、極限カー時空への極限 a → M {\displaystyle a\to M} で、 r ± → M {\displaystyle r_{\pm }\to M} となり、2つの地平面は縮退する。 r = {\displaystyle r=} 一定面上での計量の行列式の計算 det ( g μ ν ) | r = c o n s t . = − Σ Δ sin 2 θ {\displaystyle \det(g_{\mu \nu }){\Big |}_{r=const.}=-\Sigma \Delta \sin ^{2}\theta } から、 r = {\displaystyle r=} 一定面が Δ > 0 {\displaystyle \Delta >0} のとき時間的、 Δ < 0 {\displaystyle \Delta <0} のとき空間的、 Δ = 0 {\displaystyle \Delta =0} のとき光的であることが分かる。したがって、 Δ = 0 {\displaystyle \Delta =0} なる条件は r = r ± {\displaystyle r=r_{\pm }} にある2つの光的超曲面を表している。事象の地平面 r = r ± {\displaystyle r=r_{\pm }} 上の誘導計量 d s 2 | r = r ± {\displaystyle ds^{2}{\big |}_{r=r_{\pm }}} は、 d s 2 | r = r ± = Σ ± d θ 2 + 4 M 2 r ± 2 sin 2 θ Σ ± ( d ϕ − Ω ± d t ) 2 {\displaystyle ds^{2}{\big |}_{r=r_{\pm }}=\Sigma _{\pm }d\theta ^{2}+{\frac {4M^{2}r_{\pm }^{2}\sin ^{2}\theta }{\Sigma _{\pm }}}\left(d\phi -\Omega _{\pm }dt\right)^{2}} となる。ここで、 Σ ± = Σ | r = r ± = 2 M r ± − a 2 sin 2 θ , Ω ± = a 2 M r ± {\displaystyle \Sigma _{\pm }=\Sigma {\big |}_{r=r_{\pm }}=2Mr_{\pm }-a^{2}\sin ^{2}\theta \,,\quad \Omega _{\pm }={\frac {a}{2Mr_{\pm }}}} である。こうして、事象の地平面 r = r ± {\displaystyle r=r_{\pm }} 上の光的キリングベクトル場 ℓ ± = ∂ t + Ω ± ∂ ϕ {\displaystyle \ell _{\pm }=\partial _{t}+\Omega _{\pm }\partial _{\phi }} を得る。 ℓ ± {\displaystyle \ell _{\pm }} の積分曲線は光的曲線族を与え、それらは事象の地平面 r = r ± {\displaystyle r=r_{\pm }} 上において、角速度 Ω ± {\displaystyle \Omega _{\pm }} で ϕ {\displaystyle \phi } 方向に回転している。 事象の地平面 r = r ± {\displaystyle r=r_{\pm }} の時刻 t = {\displaystyle t=} 一定 面上の誘導計量 d s 2 | r = r ± , t = const. {\displaystyle ds^{2}{\big |}_{r=r_{\pm },\,t={\textrm {const.}}}} は、 d s 2 | r = r ± , t = const. = Σ ± d θ 2 + 4 M 2 r ± 2 sin 2 θ Σ ± d ϕ 2 {\displaystyle ds^{2}{\big |}_{r=r_{\pm },\,t={\textrm {const.}}}=\Sigma _{\pm }d\theta ^{2}+{\frac {4M^{2}r_{\pm }^{2}\sin ^{2}\theta }{\Sigma _{\pm }}}d\phi ^{2}} となるから、事象の地平面は球対称でなく、扁平した楕円面となっている。回転が大きくなると扁平は大きくなる。事象の地平面 r = r ± {\displaystyle r=r_{\pm }} の面積は、 A ± = ∫ 0 2 π ∫ 0 π g θ θ g ϕ ϕ | r = r ± , t = const. d θ d ϕ = 8 π M r ± {\displaystyle A_{\pm }=\int _{0}^{2\pi }\int _{0}^{\pi }{\sqrt {g_{\theta \theta }g_{\phi \phi }}}{\big |}_{r=r_{\pm },\,t={\textrm {const.}}}d\theta d\phi =8\pi Mr_{\pm }} となる。
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事象の地平面
出典:『Wiktionary』 (2021/08/07 02:09 UTC 版)
名詞
類義語
翻訳
- アイスランド語: sjónhvörf (is), skynmörk (is)
- アイルランド語: léaslíne theagmhais (ga) 女性
- アラビア語: أُفُق اَلْحَدَث (ar) 男性
- アルバニア語: horizont i ngjarjes (sq) 男性, horizont i ngjarjeve (sq) 男性
- アルメニア語: իրադարձությունների հորիզոն (hy)
- イタリア語: orizzonte degli eventi (it) 男性
- インターリングア: horizonte de eventos (ia)
- ウェールズ語: gorwel digwyddiad (cy) 男性
- ウクライナ語: горизонт подій (uk)
- ウルドゥー語: افق وقیعہ (ur)
- 英語: event horizon (en)
- エストニア語: sündmuste horisont (et)
- エスペラント: eventa horizonto (eo)
- オランダ語: waarnemingshorizon (nl)
- カタルーニャ語: horitzó d'esdeveniments (ca) 男性
- ギリシア語: ορίζοντας γεγονότων 男性
- グルジア語: მოვლენათა ჰორიზონტი (ka)
- スウェーデン語: händelsehorisont (sv)
- スペイン語: horizonte de sucesos (es) 男性, horizonte de eventos (es) 男性
- スロヴァキア語: horizont udalostí (sk)
- スロヴェニア語: horizont dogodkov (sl) 男性, dogódkovno obzórje (sl) 中性
- セルビア・クロアチア語:
- タイ語: ขอบฟ้าเหตุการณ์ (th) (kòp-fáa-hàyt-gaan)
- タミル語: நிகழ்வெல்லை (ta)
- チェコ語: horizont událostí (cs) 男性
- 中国語:
- 朝鮮語: 사상의 지평선 (ko)
- デンマーク語: begivenhedshorisont (da) 通性
- ドイツ語: Ereignishorizont (de) 男性
- トルコ語: olay ufku (tr)
- ノルウェー語:
- バスク語: gertaeren muga (eu)
- ハンガリー語: eseményhorizont (hu)
- ビルマ語: ဖြစ်ရပ် မိုးကုတ်စက်ဝိုင်း (my)
- フィンランド語: tapahtumahorisontti (fi)
- フェロー語: hendingartrom (fo) 女性
- フランス語: horizon des événements (fr) 男性
- ブルガリア語: хоризонт на събитията (bg) 男性
- ベトナム語: chân trời sự kiện (vi)
- ヘブライ語: אופק אירועים (he)
- ペルシア語: افق رویداد (fa) (ofoq-e ruydâd)
- ベンガル語: ঘটনা দিগন্ত (bn)
- ポーランド語: horyzont zdarzeń (pl) 男性
- ポルトガル語: horizonte de eventos (pt) 男性
- マケドニア語: хоризонт на настани (mk)
- マラヤーラム語: സംഭവചക്രവാളം (ml)
- マルタ語: orizzont avveniment (mt) 男性
- ラトヴィア語: notikumu horizonts (lv) 男性
- リトアニア語: įvykių horizontas (lt) 男性
- ルーマニア語: orizontul evenimentelor (ro), orizont de evenimente (ro)
- ロシア語: горизо́нт собы́тий (ru) 男性, сфе́ра Шва́рцшильда (ru) 女性
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