キリングベクトル場
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キリングベクトル場(Killing vector field、別名:キリング場、Killing field)は、ヴィルヘルム・キリング(Wilhelm Killing)の名前に因む。キリング場は、リーマン多様体や擬リーマン多様体上のベクトル場であって計量を保存するものを指す。キリング場は、等長変換群(isometry)の無限小生成子である。すなわち、キリング場により生成されるフロー (幾何学)は、多様体上の等長写像の連続群を為す。より平易に表現すると、対象の上の各点をキリング場の方向に同じ距離だけ移動したときに点の間の距離の関係が保たれるという意味での対称性がキリング場により生成される。
- ^ Misner, Thorne, Wheeler (1973). Gravitation. W H Freeman and Company. ISBN 0-7167-0344-0
- ^ Carrol, Sean (2004). An Introduction to General Relativity Spacetime and Geometry. Addison Wesley. pp. 133-139
- ^ Carrol, Sean (2004). An Introduction to General Relativity Spacetime and Geometry. Addison Wesley. pp. 263,344
- ^ Choquet-Bruhat, Yvonne; DeWitt-Morette, Cécile (1977), Analysis, Manifolds and Physics, Amsterdam: Elsevier, ISBN 978-0-7204-0494-4
キリングベクトル場
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/06/02 07:39 UTC 版)
球対称静的時空のキリングベクトル場のリー代数は、シュワルツシルトチャートと等方チャートで同じ形式をとる。すなわち、この代数は時間的「渦無し(英語版)」キリングベクトル場 ∂ t {\displaystyle \partial _{t}} と空間的キリングベクトル場 ∂ ϕ {\displaystyle \partial _{\phi }} sin ϕ ∂ θ + cot θ cos ϕ ∂ ϕ {\displaystyle \sin \phi \,\partial _{\theta }+\cot \theta \,\cos \phi \partial _{\phi }} cos ϕ ∂ θ − cot θ sin ϕ ∂ ϕ {\displaystyle \cos \phi \,\partial _{\theta }-\cot \theta \,\sin \phi \partial _{\phi }} から生成される。ここで、 X→ = ∂t が渦無しであるというのはt対応する時間的合同(英語版)[訳語疑問点]の渦度テンソル(英語版)が恒等的に零になるという意味である。したがって、このキリングベクトル場は超曲面直交(英語版)[訳語疑問点]する。時空に時間的渦無しキリングベクトル場が存在するという事実は、実は静的時空(英語版)の決定的特徴である。 この事実から直ちに次のことが帰結する。「定数座標時曲面」 t = t0 は、一連の(等長)「空間的超断面」(空間的超曲面)を形成する。 シュワルツシルトチャートとは異なり、等方チャートはこれらの超断面の埋め込みダイアグラムを構成するのにはあまり適していない。
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