事象の地平面 ブラックホール

事象の地平面

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/29 06:55 UTC 版)

ブラックホール

重力が大きく、光でさえも脱出不可能な天体をブラックホールという。光でさえも抜け出せないが故に、ブラックホールを肉眼で観測する事は出来ない。従って、ブラックホールの存在は、ブラックホールに落ち込む物質が放つ放射や、ブラックホール近傍の天体の運動など、間接的な観測事実に頼ることになる。ブラックホールは、一般相対性理論が予言する産物であるが、現在では複数の候補天体があるとともに、銀河系の中心には大質量ブラックホールが存在すると考えられている。

一般相対性理論において、ブラックホールを厳密に定義すると、「情報の伝達が一方的な事象の地平面が存在し、漸近的に平坦ではない方の時空の領域」ということになる。このように数学的には厳密に定義されても、例えば数値シミュレーションで、事象の地平面を特定するのは難しい。未来永劫にわたって、その領域が外側と因果関係を持たないことを示さなければならないからである。そこで、「見かけの地平面(apparent horizon)」という概念がよく利用される。

簡単にブラックホールの大きさを評価する方法として、シュヴァルツシルトの解が表すシュヴァルツシルト半径がある。球対称・真空でのブラックホール解を表すシュヴァルツシルトの解では、事象の地平面がシュヴァルツシルト半径と一致する。そのため事象の地平面をシュヴァルツシルト面と言うことがある。地球のシュヴァルツシルト半径は約9mmである。また、我々の銀河(天の川銀河)のそれは太陽系の大きさのおよそ30個分である。

天体の持つ質量により、その天体の中心から事象の地平面が形成されるまでの距離は異なる。普通の天体の半径はシュヴァルツシルト半径よりも大きくその天体の情報を得ることが可能である。しかし重力崩壊で収縮すると、その天体の全質量が事象の地平面より小さい領域に押し込まれ、もはや情報を得ることが不可能となる。


  1. ^ 宇宙の膨張は空間そのものの膨張であるため、光速を超えても相対性理論に反しない。空間の膨張は一般相対性理論の範疇であり、物体の運動が光速以上にならないのは特殊相対性理論の範疇における運動においてである。





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