一般にダイオキシンと呼ばれているものは、塩素を含む物質が不完全燃焼したり、薬品類が合成されるときに予期せず副次的に生成される人体に有害な物質です。これは単独の物質の呼び名ではなく、世界保健機構(WHO)ではポリ塩化ジベンゾパラジオキシン (PCDD) 、ポリ塩化ジベンゾフラン (PCDF) 、コプラナーポリ塩化ビフェニル (Co-PCB) をダイオキシン類と定義しています。このため、これらの物質の総称として「ダイオキシン類」と表記するのが正しいといえます。
ダイオキシン類は内分泌撹乱物質、いわゆる環境ホルモンであるとともに、国際がん研究機関(IARC)の発がん性評価では代表的なダイオキシン類のひとつである2,3,7,8-TCDDが人に対して発がん性のある物質と判定されています。
ダイオキシン類
人に対する発がん性なども知られているが、我が国の通常の環境濃度レベルでは危険はない。ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン、ポリ塩化ジベンゾフランは、炭素・酸素・水素・塩素が熱せられるような過程における副生成物で、主な発生源はごみ焼却による燃焼とされている。これに、構造類似化合物であり、発生原因がよくわかっていないコプラナーPCBを含めて「ダイオキシン類対策特別措置法」では「ダイオキシン類」と定義されている。ダイオキシン類
ダイオキシン類
ポリ塩化ジベンゾ-p-ジオキシン(PCDD、75種類)及びポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF、135種類)の総称。ものの燃焼過程で非意図的に生成される。
ダイオキシン類のなかで最も毒性が強い2,3,7,8-四塩化ジベンゾ-p-ジオキシンは史上最強の毒物として知られており、分解しにくい性質を持つことから、環境中に微量であるが広く存在し、生物の体内に蓄積されやすく、発癌性催奇形性、免疫機能の低下などの毒性を有するといわれている。
ダイオキシン類 (ダイオキシンるい)
ダイオキシン類
ダイオキシン
別名:ダイオキシン類
ダイオキシン類
ダイオキシン類
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ダイオキシン類(ダイオキシンるい、Dioxins and dioxin-like compounds)は、ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン(PCDD)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)、ダイオキシン様ポリ塩化ビフェニル(DL-PCB)の総称である。これらは塩素で置換された2つのベンゼン環という共通の構造を持ち、類似した毒性を示す。
注釈
- ^ この分布は生体内の脂質分布と一致する。脂質分布は記事「コレステロール」に詳しい。
- ^ a b 魚からの摂取が大きい場合の推定は大きな幅を持っており、国民栄養調査(1995)によると日本人の5%は魚介類・魚類加工品の摂取量が平均の2倍以上であることが知られている。魚の摂取が多いケースの推定値が3.26 pgTEQ/人/dayである。;ダイオキシンリスク評価検討会報告
- ^ 高山らによる大阪府下におけるマーケットバスケット方式推定値は総ダイオキシン類の摂取量は163 pgTEQ/人/dayであった[16]。
- ^ 13 - 100 pg-TEQ/gであった[20][21]。
- ^ ベトナム戦争で使用された枯葉剤は、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)と2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸(2,4,5-T)の混合剤であり、反応副成物として一般の2,4,5-T剤よりさらに多く 2,3,7,8-TCDD を含んでいた。この 2,4,5-Tはアメリカ合衆国や日本では使用が許可されていない。
出典
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ダイオキシン類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 23:58 UTC 版)
環境省が発表した平成19年度ダイオキシン類に係る環境調査結果によると地下水のダイオキシン類に関する環境基準(1pg-TEQ/L 以下)を下記の地点で超過していた。 福島県(相馬市蒲庭):平均値2.4pg-TEQ/L (最大値3.1) 大分県(大分市廻栖野):平均値1.7pg-TEQ/L(最大値2.1)
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ダイオキシン類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/28 17:38 UTC 版)
ダイオキシン類対策特別措置法に基づく、ダイオキシン類による水底の底質の汚染に係る環境上の条件につき人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準である。 媒体:水底の底質 基準:150pg-TEQ/g以下 測定方法:水底の底質中に含まれるダイオキシン類をソックスレー抽出し、高分解能ガスクロマトグラフ質量分析計により測定する方法
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ダイオキシン類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 09:30 UTC 版)
黄砂飛来時に大気中のダイオキシン類の濃度が増加するとの調査結果も出ている。台湾中央研究院環境変遷研究センターの調査では、大気中の濃度が通常時よりも35%増加するとの結果が出ている。一方、2001年から2007年にかけて石川県で行われた調査では、黄砂飛来時であってもダイオキシン類の濃度上昇は見られなかった。
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