結社 結社の概要

結社

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/18 15:55 UTC 版)

概要

人類の社会形成の歴史の中で血縁地縁が2大紐帯原理であるが、約束に基づく紐帯原理も原始農耕に前後する時代まで遡れる[1]。一定の約束のもとに個人で形成される約縁集団を利益集団、または結社と呼ぶ。個を重視する結社の仕組みは近代思想への足掛かりとなり、人々の流動性が高まった近世以降の都市社会の発達とともに、多くの人々がなんらかの組織に帰属するようになった。結社は自己実現を目的とした集団として、アイデンティティの拠り所となっていった。

綾部恒雄は結社について次のように定義している。

なんらかの共通の目的・関心を満たすために、一定の約束のもとに、基本的には平等な資格で、自発的に加入した成員によって運営される、生計を目的としない私的な集団 — 綾部恒雄監修、福田アジオ編集『結衆・結社の日本史』(山川出版社、2006年)

結社は共通の目的のもと、人為的に結成する、継続的な団体である。自然発生的な共同体地域社会とは結成の経緯で、集会とは継続性の有無で区別する。

日本では、日本国憲法に定められている「結社の自由」によって、政治的なものだけでなく、さまざまな結社を組織することが保証されている。憲法上では、自然発生的なものを含め、団体の総称が結社である。

しかし、民法上は個人か法人しかなく、法人は民法第三十三条「法人は、この法律その他の法律の規定によらなければ、成立しない。」により、それぞれの法律上の要件を満たさないといけない。民法第三十三条二項「学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益を目的とする法人、営利事業を営むことを目的とする法人その他の法人の設立、組織、運営及び管理については、この法律その他の法律の定めるところによる。 」とある。

組織名は、民法上の法人と誤解を与えることは好ましくない。法人格を有する組織は、「結社」という用語を使用するのではなく法人格を示す用語を使う。法人格を取得していない場合は、俳句・短歌・川柳の団体で用いることがある。左翼団体右翼団体では、「政治結社」、秘密結社と呼ぶことがある。

結社は「党」「派」「組」「流」「会」「社」など、どのような組織名を名乗っても自由である。しかし、法人格がない場合には、法人と誤解される組織名を名乗ることはできない。たとえば、政党内の派閥が「組」を名乗るなどはあまりなされない。また、日本における「赤十字社」のように、法律によって組織名を規定している団体名は、関係がない者は名乗れない。

結社の歴史

民俗学的視点からは、未開社会においては一定の年齢・年齢階級に従い、極めて呪術宗教的な各種のイニシエーション=加入儀礼を行う[2]。こうした共同体・地域社会では、結社・秘密結社は宗教儀式と密接に関わる[3]。一例としては、後述の「結社#ズニ族の例」も参照。

文学における結社

小説、映画などには「秘密結社」がよく登場するが、現代社会において「結社」の語をよく用いるのは主に歌壇俳壇や柳壇である。

歌人俳人、柳人は短歌作品、俳句作品の発表の場として、短歌結社、俳句結社、川柳結社に所属し、その結社の発行する雑誌に投稿するのである。これは明治期に短歌、俳句がそれまでの芸事から、近代的な文学芸術へと改革されて以来の伝統である。

また、漢詩においては中国の北宋の頃から詩人の集まりである「詩社」が結成され、前記の短歌などの結社同様の活動を行っていた。

短歌結社の例

俳句結社の例

川柳結社の例

  • 番傘「番傘川柳」

  1. ^ 綾部, 2006 & p.0.
  2. ^ 堀一郎『民間信仰』(岩波全書、1951年) p.264
  3. ^ 堀一郎『民間信仰』(岩波全書、1951年) p.265
  4. ^ ルース・ベネディクト『文化の型』(1934年)
  5. ^ 日蓮宗 仏教・仏事のQ&A


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