黒岩保美 黒岩保美の概要

黒岩保美

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/10 09:57 UTC 版)

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現在の東京都中央区日本橋富沢町出身[1]

略歴

もとは現場職員として国鉄(鉄道省)に就職することを希望していたが、身体が弱かったことから画家修業に切り替える。1936年昭和11年)、東京学生鉄道趣味連盟に参加[1]して、鉄道関係の交友を拡げた。太平洋戦争中は、何ヵ所かの軍需工場への徵用の後、海軍の嘱託となって横須賀に勤務。連合国軍の占領下となった1947年(昭和22年)2月24日星晃の計らいで運輸省鉄道総局嘱託となる[2]連合軍専用客車の外観と改造した車内の構造を立体的にカラー絵として残す作業に取り掛かった。当時はモノ不足でカラーフィルムなど望める時期ではなかったため、日本画の素養のある黒岩に依頼された[3]

その後1949年(昭和24年)はじめに運輸省鉄道総局職員に採用となり[2]車輌設計部門の旅客車担当となり、内外装の色使いや各種の標記類、殊に1950年代以降の特急ヘッドマーク・ヘッドサインのほとんどを手がける。1969年(昭和44年)、等級制の廃止とそれに伴うグリーン車の設定では、グリーン車のシンボルマークをデザインし、功労賞を受ける。

1961年(昭和36年)、鉄道友の会の会報の拡大版としてスタートした『鉄道ファン』の編集に関与、1963年(昭和38年)には三代目編集長に就任。1969年(昭和44年)10月号(100号)をもって、四代目編集長宮田寛之に引き継ぐ。その間、蒸気機関車専門の不定期刊行誌『SL』を創刊。

1972年(昭和47年)の鉄道100周年を機に編纂された『100年の国鉄車輌』では国鉄部内の編集主幹。1977年(昭和52年)春、国鉄を定年退職、同時に株式会社エリエイ/プレス・アイゼンバーンに入社。その直前の1976年(昭和51年)10月、プレス・アイゼンバーン刊の櫻井寛写真集『凍煙』を編集。

1978年(昭和53年)、『SL』の理念を引き継ぐ形で『レイル』を創刊。1980年(昭和55年)まで月刊、以降は不定期刊。

プレス・アイゼンバーンでは、1977年(昭和52年)10月に杵屋栄二写真集『汽車・電車』、1978年(昭和53年)10月に『タイ国の蒸気機関車』、1981年(昭和56年)3月に『草軽電気鉄道』、1982年(昭和57年)に『形式シリーズ D51』第2巻と第3巻、1984年(昭和59年)12月に『寿都鉄道』、1987年(昭和62年)7月に『箱根越え』を担当した。

その他、講談社小学館などでも鉄道関係図書のイラストを担当。1974年(昭和49年)発行の記念切手「SLシリーズ」では原図作成を担当した[4]。 また、1985年(昭和60年)に登場した新幹線100系電車食堂車の出入り階段付近や妻壁にあった歴代東海道山陽本線特急のエッチング原画も手がけている[5]1997(平成9)年度鉄道友の会シルバー賞受賞(ちなみに鉄道友の会会章とブルーリボン賞ローレル賞徽章は黒岩のデザイン)。

1997年(平成9年)秋の個展のあと、11月18日東京医科大学病院に入院。1998年(平成10年)5月8日午後10時28分、急性骨髄性白血病により逝去。享年75。没後、遺志によりヨーク鉄道博物館に英国製蒸気機関車を描いた絵画数点が寄贈された。

画集・写真集

画集

  • 『蒸気機関車時代』(プレス・アイゼンバーン、1981年12月)
  • 『鉄路の名優たち 黒岩保美・鉄道画集』(プレス・アイゼンバーン、1997年10月) ISBN 4-87112-316-2

写真集


  1. ^ a b 馬場菜生 2018
  2. ^ a b 星晃「車両絵の達人、そしてユニークな鉄道画家 黒岩保美君の思い出」『鉄道ファン』1998年8月号、抜粋加筆稿が「車両絵の達人」として『図説 鉄道のプロフェッショナル』(学習研究社、2008年) ISBN 978-4-05-605271-8 に収録されている。
  3. ^ 河原匡喜『連合軍専用列車の時代 占領下の鉄道史探索』(光人社、2000年) ISBN 4-7698-0954-9 第三章 第三鉄道輸送司令部 3 二つのRTO p100 - p105 を参照。
  4. ^ 第五回発行分の150形・7100形を担当。鉄道ファンNo.164 (1974年12月号) p.111
  5. ^ 『名列車列伝シリーズ13 新幹線ひかり&新幹線100系電車』(イカロス出版、2000年) ISBN 4-87149-296-6 岩成政和「時速200kmのレストランものがたり」 p66 - p69


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