名人 (小説) 登場人物

名人 (小説)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/01 16:27 UTC 版)

登場人物

年齢は数え年。「私」と「大竹七段」以外はほとんど実名で登場する。

私(浦上)
小説家熱海の旅館で亡くなった秀哉名人の死顔を写真に撮る。その一昨年、名人の引退碁の観戦記者として、観戦記を新聞に64回にわたって連載していた。
本因坊秀哉
65歳。囲碁棋士。第21世本因坊秀哉名人。「不敗の名人」と呼ばれた。体重八、身長五しかないが、碁盤の前に座ると大きく見える胴長。顔も長めで大きく、鼻、口、耳などが大きく、顎の骨が出っ張っている。ふくらはぎにまるで肉がない。心臓病を患っている。世田谷区宇奈根で妻と二人住まいで、子供はいない。跡目を考えていた愛弟子の小岸壮二六段は1924年(大正13年)に27歳で若死した。このため秀哉は本因坊の名跡を自分の代で終わらせる決意をしており、家元制最後の本因坊、また江戸時代初期より続いてきた名人制の最後の一人となった。
大竹七段(モデルは木谷實
30歳。囲碁の棋士。秀哉名人の引退碁の相手。内弟子の少年少女数人を含めた16人家族。体重十六貫。五段当時に23歳で結婚し、三人の子供がいる。長女は6歳、次女は4歳、長男は8ヶ月の桃太郎のような赤ん坊。
呉清源
中国出身の囲碁の棋士。大竹七段の好敵手。長野県富士見高原診療所で療養している。「私」はそこへ見舞いに行く。
その他の人々
秀哉名人の夫人。大竹夫人。大竹七段の子供や内弟子たち。小野田六段。村島五段(秀哉名人の門弟)。村松梢風安永四段。記録係の少年棋士・少女棋士。将棋関根13世名人(71歳)。将棋の木村名人(34歳)。聯珠の高木名人(51歳)。木村伊兵衛。「東京日日新聞」の五井記者と黒崎記者と砂田記者と伊東通信員。岩本六段。藤沢五段。久米正雄(「東京日日新聞」の学芸部長になっていた)。前田陳爾六段(秀哉名人の門弟)。日本棋院の八幡幹事。将棋の土居八段。東京の聖路加病院の川島博士と稲田博士。宮ノ下の岡島医師。軽井沢に帰る「私」が車中で会った囲碁好きのアメリカ人文藝春秋社の斎藤竜太郎。理髪師。小杉四段。手のひら療法の術者・東郷。高橋四段(秀哉名人の義弟。夫人の弟)。「私」の妻。「紅葉祭」の写真師

注釈

  1. ^ ただしこの手は時間かせぎではなく盤上での意味があることを木谷実(作品中の大竹)は後の自戦解説で述べている[11]。また秀哉も2年後に出版された自戦解説で適切な手であることを認めている[12]

出典

  1. ^ a b c d e f g 山本健吉「解説」(名人文庫 2004, pp. 166–175)
  2. ^ a b c d 「あとがき」(『川端康成全集第14巻 名人』新潮社、1952年9月)。独影自命 1970, pp. 244–257に所収
  3. ^ a b c d 「『雪国』へ」(アルバム川端 1984, pp. 32–64)
  4. ^ a b c d e 「あとがき」(『呉清源棋談・名人』文藝春秋新社、1954年7月)。評論5 1982, pp. 651–653
  5. ^ a b 羽鳥一英「『名人』論」(作品研究 1969, pp. 205–219)。羽鳥徹哉「『名人』論」(論集成5 2010
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 「第二部 第二章 『名人』論」(今村 1988, pp. 107–125)
  7. ^ a b c 近藤裕子「名人」(事典 1998, pp. 352–355)
  8. ^ 「解題――名人」(小説11 1980, pp. 593)
  9. ^ a b 松坂俊夫「『名人』小考」(『現代国語シリーズ「川端康成』尚学図書、1982年5月)。今村 1988, p. 110
  10. ^ 「翻訳書目録」(雑纂2 1983, pp. 649–680)
  11. ^ 木谷実『現代の名局3 木谷実』(誠文堂新光社、1968年12月)p.169
  12. ^ 『昭和の名局1 燃える新布石』(日本棋院)p.228
  13. ^ 内藤由起子「囲碁ライバル物語」(マイナビ)p.51
  14. ^ 内藤由起子「それも一局」(水曜社)p.11
  15. ^ a b c 「第六章 現実からの飛翔―『雪国』と『名人』―」(川嶋 1969, pp. 200–242)
  16. ^ 小林一郎「『名人』論」(川端文学研究会編『川端康成研究叢書7 鎮魂の哀歌』教育出版センター、1980年4月)。今村 1988, p. 115
  17. ^ 「嘘と逆」(文學時代 1929年12月号)。評論5 1982, pp. 60–63、作家の自伝 1994に所収
  18. ^ 「末期の眼」(文藝 1933年12月号)。随筆2 1982, pp. 13–26、一草一花 1991, pp. 99–118、随筆集 2013, pp. 8–26に所収
  19. ^ 松島利行「そこに碁盤があった 囲碁と映画の文化論(第3回)」(碁ワールド 2003年7月号)





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