井笠鉄道 保存車両

井笠鉄道

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/18 21:18 UTC 版)

保存車両

丸瀬布森林公園いこいの森」で雨宮21号蒸気機関車(旧武利意森林鉄道)に牽引されるホハ19とホハ13。1990年代以降可動状態にある旧井笠鉄道車両はこの2両と610mm軌間に改造されたホハ5(成田ゆめ牧場2020年修復改造)の計3両である(北海道紋別郡遠軽町、2014年)

井笠鉄道は軽便鉄道を由来とする国内各私鉄線の中でも比較的遅くまで存続し、廃車となった車両の大半を解体せず自社の鬮場(くじば)車庫で保管していたため、多数の機関車、気動車、客貨車が現存する。

鉄道線全廃後、売却・譲渡されなかった残りの車両も鬮場車庫内に保管されていたが、1980年2月21日深夜に発生した放火事件[注 4]による車庫火災でその多くが失われた。

  • 井笠鉄道記念館岡山県笠岡市
    • 1号機関車(蒸気機関車) - 1961年除籍後、1971年の鉄道線全廃時に無火状態で走行。1973年西武鉄道に貸し出され、山口線で「信玄号」として1977年まで運行された後、1978年に井笠鉄道に返却。1980年に同館に保存された。
    • ホハ1(客車) - 1980年の鬮場車庫放火事件で損傷したが、同年修復されて同館に保存された。
    • ホワフ1(貨車) - 井笠鉄道の保存車両の中で唯一保存されている貨車。
  • 笠岡市交通公園(岡山県笠岡市、旧井笠鉄道本社前)
    • ホジ9(気動車)
  • 星空感オートキャンプ場(岡山県井原市
  • 経ヶ丸グリーンパーク(岡山県井原市)
    • ホジ101(気動車)
    • ホハ8(客車)
  • 新市クラシックゴルフクラブ広島県福山市) - 赤坂遊園1991年閉園)保存の2両を譲受。
    • 3号機関車(蒸気機関車) - 実車は「2」と車番表記変更。
    • ホハ12(客車)
  • 太陽保育園(広島県福山市) - 赤坂遊園保存の1両を譲受。
    • ホハ11(客車)
  • 池田動物園(岡山県岡山市
    • 2号機関車(蒸気機関車) - 池田動物園側の希望で「3」と車番表記変更。西大寺鉄道ハボ13、ワボ2と共に保存。
  • 下津井電鉄下津井駅(岡山県倉敷市
    • ホジ3(気動車)- 現存するホジ1形の唯一の車両[注 5]1972年3月31日の下津井電鉄線茶屋町-児島間廃止後、地上設備撤収用に運行を予定した貨物列車の牽引を目的として下津井電鉄に譲渡されたが、エンジンが不調で牽引力が充分でなかったと伝えられており、大半はトラックを直接軌道内に乗り入れて撤去作業を実施したため、ほとんど使用されなかった。ホジ3は井笠鉄道の現役時代、同系車中で最も不調であったといわれている。
  • 成田ゆめ牧場羅須地人鉄道協会まきば線千葉県成田市) - 軌間610mm、延長500m。西武鉄道山口線を経て西武遊園地でレストランとして使用されていた客車2両を2011年譲受。うち1両を動態保存。
    • ホハ2(客車)
    • ホハ5(客車)- 軌間を610mmに改造して2020年に修復し同年12月から動態保存。
  • 古河足尾歴史館栃木県日光市
    • 7号機関車(蒸気機関車) - 兵庫県姫路市の解体業者に引き取られたのち長期間放置され、「茄子畑のコッペル」として知られた。同市内のパチンコ店やホームセンターの駐車場などを経て、野辺山SLランド長野県南佐久郡南牧村)で保存されたが、2018年の同園閉園に伴い、2019年古河機械金属が運営する古河足尾歴史館が譲受して保存[23]
    • ホハ6(客車)-下述の風だより・風の高原鉄道に保存されていたが、2021年の風だより閉店に伴い、引き取った[24]
  • 風だより・風の高原鉄道栃木県塩谷郡塩谷町) - 西武鉄道山口線を経て西武遊園地でレストランとして使用されていた客車2両を2011年に譲受したが、2021年に風だより閉店に伴い、ホハ6は古河足尾歴史館に引き取られた。ホハ10については未定である。
    • ホハ10(客車)
  • 丸瀬布森林公園いこいの森北海道紋別郡遠軽町) - 軌間762mm、延長2km。西武鉄道山口線を経てユネスコ村で展示されていた客車4両を丸瀬布町(現・遠軽町)が1993年譲受。うち2両を動態保存。
    • ホハ13(客車) - 1995年に修繕され、武利意森林鉄道21号(雨宮21号)に牽引され多客期に運行。のち鋼製の井笠鉄道社紋を取り付けている。
    • ホハ14(客車) - 車体は解体され台枠以下の下回りのみ車両格納庫内に保管。
    • ホハ18(客車) - 西武時代の塗色と表記を残した未修繕の状態で車両格納庫内に保管。
    • ホハ19(客車) - 1995年に修繕され、武利意森林鉄道21号(雨宮21号)に牽引され多客期に運行。のち鋼製の井笠鉄道社紋を取り付けている。

注釈

  1. ^ 廃業前には、PASPY公式ページの発売箇所にも掲載されていた
  2. ^ >2004年10月1日に高梁市の合併に伴い同路線の補助金が同月より廃止されたため。
  3. ^ 中国JRバスが運行から撤退した両備線(倉敷駅 - 清音駅 - 矢掛系統)の運行が移管されて矢掛 - 清音駅 - 倉敷駅北口系統となり(この時点で矢掛 - 倉敷駅北口 - 川崎医大間が特急運転から各停留所停車に変更)、利用客が少なかった 川崎医大 - 天満屋バスステーション 間が廃止され、さらに2007年9月30日の運行をもって井原バスセンター - 矢掛 と 倉敷駅北口 - 川崎医大 が廃止された。
  4. ^ 車庫敷地内に侵入した愛媛県生まれ住所不定無職の男(当時27歳)の犯行。動機は「女友達にあえない焦りと、無一文になった腹いせ」であり、八つ当たりによるものであった。
  5. ^ 同型のホジ1、ホジ2は鬮場車庫放火事件で焼失した。

出典

  1. ^ 井笠観光 かさおか夢ワーク、笠岡市役所・経済観光活性課。2015年9月24日閲覧。
  2. ^ a b “中国地方の井笠鉄道、10月末でバス事業廃止 自主再建を断念”. Sankei Biz (産経デジタル). (2012年10月12日). オリジナルの2012年10月12日時点におけるアーカイブ。. https://megalodon.jp/2012-1012-1956-57/www.sankeibiz.jp/business/news/121012/bsd1210121834013-n1.htm 
  3. ^ 乗合旅客自動車運送 井笠鉄道株式会社 債務整理を弁護士に一任 負債32億3600万円”. 大型倒産速報. 帝国データバンク (2012年10月12日). 2012年10月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年6月4日閲覧。
  4. ^ “井笠鉄道が今月末バス事業廃止 主要路線は引き継ぎへ”. 山陽新聞WebNews (山陽新聞社). (2012年10月12日). http://www.sanyo.oni.co.jp/news_s/news/d/2012101222555984/ 
  5. ^ a b c d 弊社バス事業終了のお知らせ (PDF) (2012年10月21日時点のアーカイブ)、弊社バス事業終了のお知らせに関して (PDF) (2012年10月17日時点のアーカイブ) - 井笠鉄道、2012年10月12日
  6. ^ “井笠鉄道、バス事業を廃止”. 中国新聞 (中国新聞社). (2012年10月13日). オリジナルの2012年10月13日時点におけるアーカイブ。. https://megalodon.jp/2012-1013-0033-37/www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201210130045.html 
  7. ^ “井笠鉄道:バス廃止 「中国バス」への代替要望まとめる--対策会議 /岡山”. 毎日jp (毎日新聞社). (2012年10月18日). http://mainichi.jp/area/okayama/news/20121018ddlk33020560000c.html [リンク切れ]
  8. ^ a b 中国バス公式ホームページ (PDF)
  9. ^ 代替無償バスの運行について(寄島〜里庄線) - 岡山県里庄町ホームページ
  10. ^ “井笠鉄道:会社清算へ 「月末でバス事業終了」中国バスが一部継続”. 毎日jp (毎日新聞社). (2012年10月13日). オリジナルの2012年10月15日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20121015022041/http://mainichi.jp/select/news/20121013mog00m040007000c.html 
  11. ^ 井笠鉄道廃止路線の暫定運行引き継ぎ内容、および(株)井笠バスカンパニー設立について - 両備ホールディングス
  12. ^ 興信情報(破産・事業停止等) - 経済リポートWeb版
  13. ^ アサヒタクシー 笠岡タクシーの事業譲受」『週刊Vision岡山』第6.17号、株式会社瀬戸内海経済レポート、岡山市北区西島田町、2013年、16頁、2015年1月13日閲覧 
  14. ^ a b c d e f g h 井笠鉄道 1981, pp. 8–22.
  15. ^ a b 『近畿日本鉄道 100年のあゆみ』近畿日本鉄道、2010年、pp.330,754
  16. ^ 「四月には二社で三路線廃止」『交通新聞』交通協力会、1967年3月30日、1面。
  17. ^ “井笠鉄道が破産申し立て 負債総額は32・3億円”. 山陽新聞WebNews (山陽新聞社). (2012年11月2日). http://www.sanyo.oni.co.jp/news_s/news/d/2012110220344836/ 
  18. ^ 井笠鉄道(株)”. 倒産速報. 東京商工リサーチ (2012年11月5日). 2013年6月4日閲覧。
  19. ^ 平成26年8月5日 号外174号 官報 平成24年(フ)第576号 破産手続廃止 岡山地方裁判所 第3民事部
  20. ^ 平成26年3月27日 号外 官報 平成26年(ヒ)第3号 破産手続廃止
  21. ^ 小林一彦(2014年7月19日). “井笠鉄道:破産手続きが終結 1世紀の歴史に幕”. 毎日新聞 (毎日新聞社)
  22. ^ “バス廃止で定期券500枚フイ”. 中国新聞 (中国新聞社). (2012年10月21日). オリジナルの2012年10月22日時点におけるアーカイブ。. https://megalodon.jp/2012-1022-0005-26/www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201210210013.html 
  23. ^ 「あしおトロッコ館(古河足尾歴史館野外)に蒸気機関車コッペル7号機が保存されました。」 「古河掛水倶楽部・古河足尾歴史館お知らせ」、古河機械金属、2019年11月18日。
  24. ^ トロッコ館 新情報 - 古河掛水倶楽部・古河足尾歴史館(2021年5月26日)






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