サンシュユ サンシュユの概要

サンシュユ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/23 07:19 UTC 版)

サンシュユ
サンシュユの花(2004年3月)
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: ミズキ目 Cornales
: ミズキ科 Cornaceae
: ミズキ属 Cornus
: サンシュユ C. officinalis
学名
Cornus officinalis Siebold et Zucc. (1839)[1]
シノニム
和名
サンシュユ(山茱萸)

名称

山茱萸(サンシュユ)は漢名(中国植物名)で[5][6]、この音読みが和名の由来である[4][7]。日本名の別名ハルコガネバナ(春黄金花)は、早春、葉がつく前に木一面に黄色の花をつけることからついた呼び名で[5][8]、日本植物学者の牧野富太郎が山茱萸に対する呼び名として提唱したものである[9]。秋になると枝一面にグミのような赤い実がつく様子から珊瑚に例えて、「アキサンゴ」の別名でも呼ばれる[4][9]

分布

中国浙江省及び朝鮮半島中・北部が原産といわれ[10]、中国・朝鮮半島に分布する[11][5]江戸時代享保年間に朝鮮経由で漢種の種子が日本に持ち込まれ、薬用植物として栽培されるようになった[12]。日本における植栽可能地域は、東北地方から九州までの地域である[13]。日本では、一般に花を観賞用とするため、庭木などに利用されている[6][14][15]。日当たりの良い肥沃地などに生育する[16]

特徴

落葉広葉樹小高木から高木[5]、樹高は5 - 10メートル (m) 内外になる[10][14]は斜めに立ち上がる[9]。成木の幹は褐色で樹皮が剥がれた跡が残ってまだら模様になることがあり、若木の幹や枝は赤褐色や薄茶色で、表面は荒く剥がれ落ちる[11][14][17]

は有柄で互生[14]、葉身は長さ4 - 10 cmほどの卵形から長楕円形で、全縁、葉裏には毛が生える[11][5][18]。側脈は5 - 7対あって、葉先の方に湾曲する[11]。葉はハナミズキヤマボウシに似ているが、やや細長い[19]。秋は紅葉する[9]。葉が小さめのため派手さはないが、色濃く渋めに紅葉する[3]

花期は早春から春(3 - 4月上旬)にかけ[13]、若葉に先立って木全体に開花する[3]。短枝の先に直径2 - 3センチメートル (cm) の散形花序を出して、4枚の苞葉に包まれた鮮黄色の小花を多数つける[11][13]。花径は4 - 5 mm[14]花弁は4個で反り返り、雄しべは4個[20]

果期は秋。果実核果(石果)で、長さ1.2 - 2 cmの長楕円形で、10月中旬 - 11月に赤く熟し、グミ果実に似ている[11][13]。生食はできないが[9]、味は甘く、酸味と渋みがある[10][11]。核の長さは8 - 12ミリメートル (mm) で、中央に縦の稜がある[13]

冬芽は枝の先端に頂芽を1個つけ、枝に側芽が対生する[17]花芽が球形で総苞片に包まれ2枚の小さな芽鱗が基部につく[17]葉芽は楕円形をしている[17]

関連画像
葉と偽果 偽果 スケッチ

栽培

日当たりがよく、やや湿った場所を好む性質で[13]栽培実生株分けによって繁殖する[11]。土壌の質は全般で、根の深さは植栽樹としてはふつうである[9]。植栽適期は11 - 3月とされる[13]。剪定は1 - 3月、施肥は12 - 3月に行う[9]

夏には葉がイラガカナブンの食害を受ける。


  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cornus officinalis Siebold et Zucc. サンシュユ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年3月23日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Macrocarpium officinalie (Siebold et Zucc.) Nakai サンシュユ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年3月23日閲覧。
  3. ^ a b c 亀田龍吉 2014, p. 26.
  4. ^ a b c サンシュユ”. 埼玉県. 2011年11月21日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g 平野隆久監修 1997, p. 46.
  6. ^ a b c 貝津好孝 1995, p. 128.
  7. ^ サンシュユ”. 筑波実験植物園. 2011年11月21日閲覧。
  8. ^ サンシュユ”. 東山動植物園. 2011年11月21日閲覧。
  9. ^ a b c d e f g h 正木覚 2012, p. 64.
  10. ^ a b c d e f g h i 田中孝治 1995, p. 147.
  11. ^ a b c d e f g h i j k 馬場篤 1996, p. 60.
  12. ^ 生薬の玉手箱 山茱萸(サンシュユ)”. ウチダ和漢薬 (2003年6月15日). 2011年11月21日閲覧。
  13. ^ a b c d e f g h 山﨑誠子 2019, p. 148.
  14. ^ a b c d e f 菱山忠三郎 2003, p. 80.
  15. ^ a b c 生薬について 山茱萸”. 田辺三菱製薬. 2011年11月21日閲覧。
  16. ^ サンシュユ”. 船橋市公園協会. 2011年11月21日閲覧。
  17. ^ a b c d 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 85
  18. ^ a b 写真でみる野生植物 山茱萸”. 野生植物研究所. 2011年11月21日閲覧。
  19. ^ 亀田龍吉 2014, p. 27.
  20. ^ サンシュユ”. 広島県緑化センター. 2011年11月21日閲覧。
  21. ^ サンシュユ(山茱萸)”. 武田薬品工業. 2016年11月11日閲覧。


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