サハリン州
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行政区画
行政区画
サハリン州は17の地区(ラヨン)およびユジノサハリンスクに区分される[2]。面積の単位は平方キロメートル(km2)[3]、人口は2023年推定のものである[4]。「旧市町村」は行政中心の戦前の日本の市町村での所在。
# | 行政区画 | ロシア語 | 行政中心 | 旧市町村 | 島 | 面積 | 人口 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | アレクサンドロフスク・サハリンスキー地区 | Александровск-Сахалинский район | アレクサンドロフスク・サハリンスキー | 落石、亜港
(北樺太) |
サハリン島 | 4,777.36 | 10,043 |
2 | アニワ地区 | Анивский район | アニワ | 留多加町 | サハリン島 | 2,684.80 | 20,946 |
3 | ドリンスク地区 | Долинский район | ドリンスク | 落合町 | サハリン島 | 2,441.56 | 22,155 |
4 | コルサコフ地区 | Корсаковский район | コルサコフ | 大泊町 | サハリン島 | 2,623.58 | 39,913 |
5 | クリル地区 | Курильский район | クリリスク | 紗那村 | 択捉島・得撫島・新知島 | 5,145.90 | 6,916 |
6 | マカロフ地区 | Макаровский район | マカロフ | 知取町 | サハリン島 | 2,148.43 | 6,939 |
7 | ネベリスク地区 | Невельский район | ネベリスク | 本斗町 | サハリン島 | 1,445.40 | 15,122 |
8 | ノグリキ地区 | Ногликский район | ノグリキ | 縫江
(北樺太) |
サハリン島 | 11,294.80 | 11,513 |
9 | オハ地区 | Охинский район | オハ | 奥端
(北樺太) |
サハリン島 | 14,815.87 | 21,456 |
10 | ポロナイスク地区 | Поронайский район | ポロナイスク | 敷香町 | サハリン島 | 7,284.27 | 20,472 |
11 | 北クリル地区 | Северо-Курильский район | セベロクリリスク | 柏原 | 占守島 - 計吐夷島 | 3,501.23 | 2,439 |
12 | スミルヌイフ地区 | Смирныховский район | スミルヌイフ | 敷香町(気屯) | サハリン島 | 10,457.43 | 11,348 |
13 | トマリ地区 | Томаринский район | トマリ | 泊居町 | サハリン島 | 3,169.33 | 8,300 |
14 | ティモフスコエ地区 | Тымовский район | ティモフスコエ | 対毛
(北樺太) |
サハリン島 | 6,312.68 | 14,437 |
15 | ウグレゴルスク地区 | Углегорский район | ウグレゴルスク | 恵須取町 | サハリン島 | 3,965.55 | 16,434 |
16 | ホルムスク地区 | Холмский район | ホルムスク | 真岡町 | サハリン島 | 2,279.04 | 33,148 |
17 | 南クリル地区 | Южно-Курильский район | ユジノ・クリリスク | 古釜布 | 国後島・色丹島・歯舞諸島 | 1,856.09 | 11,487 |
18 | ユジノサハリンスク | Южно-Сахалинск | ユジノサハリンスク | 豊原市 | サハリン島 | 905.02 | 180,467 |
主な都市・村落
サハリン島 (樺太)
- ユジノサハリンスク(Южно‐Сахалинск) - ユジノサハリンスクとは、「南サハリンの町」というロシア語に由来する、サハリン最大の都市。人口は18万467人(2023年時点)。日本名は豊原。豊原とユジノサハリンスク市との間には制度上の連続性はなく、区域も一致していない。豊原の範囲は、ロシア連邦の行政区域ではユジノサハリンスク市の一部及びアニワ地区の一部に相当する。
- コルサコフ(Корсаков) - 日本名は大泊。人口は3万9913人(2023年時点)でサハリンで人口第2位の港湾都市。帝政ロシア時代に、この地をコルサコフと呼び、この名称は現在のロシア連邦でも引き継がれている。
- ホルムスク(Холмск) - ホルムスクとは「丘の町」というロシア語に由来する。日本名は真岡だが、真岡とホルムスク市との間に制度上の連続性はなく、区域も一致していない。人口は2万8979人(2014年時点)である。
- ドリンスク(Долинск) - 日本名は落合。人口は1万1814人(2014年時点)である。ユジノサハリンスクとは鉄道及び自動車で約1時間の距離にある。ソコル(日本名は大谷)の飛行場はソ連時代になっても使用されており、1983年の大韓航空機撃墜事件ではこの場所からソ連軍機が飛び立ったことが知られている。
- オジョルスキー村 - 日本名は長浜。
- チェプラノオ村 - 日本名は瑞穂。
- ネベリスク(Невельск) - 日本名は本斗。ネベリスク市及びネベリスク地区と呼ばれている。人口は1万0722人(2014年時点)である。市の南東には大韓航空機撃墜事件の犠牲者を悼む「祈りの碑」がある。昆布の名産地である。
- チェーホフ(Чехов) - チェーホフとは、かつて樺太を訪れたロシアの文豪チェーホフに由来するが、実際にチェーホフがこの地を訪れたというわけではない。日本名は野田。
- トマリ(Томари) - 日本名は泊居。北海道天塩郡天塩町と姉妹都市となっている。人口は4,033人(2014年時点)。
- ウグレゴルスク(Углегорск) - ウグレゴルスクとは「炭鉱の町」というロシア語に由来する。日本名は恵須取。人口は9,597人(2014年時点)。タタール海峡(間宮海峡)に注ぐウグレゴルカ川(恵須取川)河口に位置する。
- ポロナイスク(Поронайск) - ポロナイスクとはポロナイ川(幌内川)の河口に位置することに由来する。人口は1万5251人(2014年時点)である。日本名は敷香だが、行政区画としての敷香とポロナイスク市との間に連続性はなく、その範囲も一致してはいない。友好都市は北海道北見市。
- レオニードヴォ - 日本名は上敷香。
- ネフチェゴルスク - 1995年の地震で壊滅し放棄。現在は慰霊碑のみが残る。
- オハ(Оха) - サハリン北部で最大の町。人口は2万1495人(2014年時点)。東海岸にある石油生産基地。
- モスカリヴォ - サハリン湾に面する村。日本名は増穢。
- アレクサンドロフスク・サハリンスキー - 日本名は落石(おっちし)。人口は9,737人(2014年時点)。
- スタロドゥプスコエ - ユジノサハリンスクから北に約50キロのオホーツク海沿いの村。日本名は栄浜。琥珀が取れる海岸があることで有名。宮沢賢治もかつて訪れ、銀河鉄道の夜のモチーフにしたと言われる。人口は2,262人(2013年時点)。
- ノグリキ - トウィミ川の河口の街。人口は10,127人(2014年時点)。
- アニワ - 日本名は留多加(るうたか)。人口は9,239人(2014年時点)。
- シャフチョルスク - 日本名は塔路。人口は7,351人(2014年時点)。
- スミルヌイフ - 日本名は気屯。人口は7,214人(2014年時点)。
- マカロフ (サハリン州) - 日本名は知取。人口は6,525人(2014年時点)。
- チストヴォドナヴェ(Чистоводное) - 日本名は清水。ローマ字では Chistovodnoye と表記される。
- ブズモーリエ(Взморье) - 日本名は白浦。
- チャイウォ(Чайво) - チャイウオ、チャイボ。日本名は茶江。
- ポギビ(Погиби) - 日本名は鉾部。
- ティモフスク(Тымовск) - ティモフスコエ。
- ピルトン(Пильтун) - ピリトゥン。日本名は弁連戸。
- ルンスキー(Лунский) - ルンスコエ。日本名は呂郷。
- ルイブノフスク(Рыбновск) - リブノフスク。日本名は田村尾。
南クリル管区
- マロークリリスク(Малокурильск=「小千島の町」の意)とクラバザヴォーツク(Крабозаводск=「カニ工場の町」の意) - 色丹島。日本名は斜古丹と穴澗。シコタン島(Остров Шикотан)(日本名:色丹島)の2大集落。中心地はマロークリリスク。「小千島」とは、根室半島に連なる歯舞群島と色丹島の列島を、ロシア側は「小千島列島」(Малая Курильская гряда)と呼んでいることに由来する。穴澗には日本の拿捕漁船乗組員の収容所がある。1945年8月、ソビエト連邦によって占領され、連邦崩壊後は、それを継承したロシア連邦が占領・実効支配している。面積255.12km2。人口は、マロークリリスクが1873人、クラバザヴォーツクが947人である(2014年時点)。
- ゴロヴニノ(Головнино) - 国後島。日本名は泊。ロシア連邦による占領・実効支配が続いている。人口は102人(2014年時点)。ゴロヴニノとは「ゴロヴニンの町」という意味である。ゴロヴニンとは、日本では一般には「ゴローニン」として知られている人物である。詳細はゴローニン事件を参照。
- ユジノ・クリリスク(Южно-Курильск=「南千島の町」の意) - 戦後ソ連によって新たな中心都市が、ソ連軍侵攻前の漁村であった古釜布(ふるかまっぷ)を望むほぼ無人であった高台に建設された。人口7,048人(2014年時点)。現在は中心地の古釜布を除き廃村状態である。
クリル管区
- ブレヴェスニク(Буревестник) - 択捉島。日本名は天寧。人口は53人(2014年時点)が住むのみで、かつての中心地である留別(クイビシェフ Куйбышев)や内保(ドブロエ Доброе)等、他の集落は廃村状態である。島唯一の軍民併用空港であるブレヴェスニク空港(旧天寧飛行場)があり、サハリンのユジノサハリンスク空港との間に週3〜4便の定期便があるが、有視界飛行が前提のため欠航が多い。このため、隣接する紗那(クリリスク)郊外に新飛行場が建設されており、完成時には廃港されるとの観測もある。
- クリリスク(Курильск=「千島の町」の意) - 択捉島。日本名は紗那。人口は1,757人(2014年時点)。漁業資源が豊富なこの海域の漁業活動の中心地となっており、町が面するナヨカ湾(キトブイ湾 (Зал Китовый))には、外国からの船も含む大型の漁船が補給のため来訪する。なお、中心地・紗那から北東約14kmの別飛(レイドヴォ Рейдово)には、現代の択捉島の産業を支えているギデロストロイ社の大規模な水産加工工場が立地しており、産業の中心地となっている。人口は1,700人(1992年時点)。隣接する留別(ピオネール Пионер)、蘂取(スラブノイェ Славное)には道路が通じているが、いずれも舗装はされておらず砂利道である。留別村に向かう道路は、島唯一のブレヴェスニク空港(旧天寧飛行場)(軍民共用)に向かう道路でもあり、ある程度の整備はされているが、蘂取に至る道路はソ連崩壊前後に廃村となり、ロシアが設定した自然保護区域に属していることもあって、一般の通行に供しうる整備された道路は廃道となった。クリリスク港はサハリンのコルサコフ港と週2便の船で結ばれているが、2006年現在、島側の港湾整備が進んでいないため、艀を利用した物資の積み卸しや乗客の移動が行われている。また、2006年から始まった「クリル開発計画」で、クリリスク近郊にイトゥルップ空港を2008年に着工し、2014年に開港した。全天候型の空港であり、完成すれば、島の住民の悩みであるユジノサハリンスク空港への定期便の欠航率が劇的に低下して、物資や観光客の輸送に利便性が大幅に向上することが期待されている。
- スラブノエ(Слабное) - 択捉島。日本名は蘂取。現在は村域のほとんどがロシア当局によって自然保護区に指定されており、地元のロシア人さえも立ち入りを制限された地域である。Google Earthの解析[注釈 2] によれば、紗那から蘂取までの道路は、(途中の川に橋も架かっていないような悪路ではあるが)戦前に日本が作ったものが残っており、走行する自動車も認められる。また、蘂取には漁業施設と思われる建物が数軒認められる。
北クリル管区
- セベロクリリスク(Северо-Курильск=セヴェロクリリスク「北千島の町」の意) - 幌筵島。日本名は柏原。人口2,487人(2014年時点)。この島を実効支配しているロシア連邦サハリン州北クリル地区の中心地であり、北千島で唯一民間人が定住している島である。また、セベロクリリスクはNHKラジオ第2放送の「気象通報」を聞いている人にはおなじみの地名でもある。現在、セベロクリリスクに渡るにはカムチャツカ半島のペトロパブロフスク・カムチャツキーから空路でシュムシュ島に渡り、そこで艀やヘリコプターに乗り換えるか、またはサハリンのコルサコフ港からの船便で行くことになる。
- バイコーヴァ(Байково) - 占守島。日本名は片岡。現在、この集落があるのみで、定住者はいない。
注釈
- ^ ただし、現在のユジノサハリンスクは日本統治時代の豊北村と川上村の一部を含んでいる。
- ^ 2006年に新バージョンとなり、写真の半分以上が高解像度画像となっている。
- ^ テレビ北海道(TVh)は映らない。対岸の根室地域では2011年の地上デジタル化以降に同局の中継局が設置される。
出典
- ^ 加賀美雅弘『世界地誌シリーズ 9 ロシア』朝倉書店、2017年、149頁。ISBN 978-4-254-16929-4。
- ^ “サハリン州内各自治体(市・地区)の予算(歳出)総額 (2010年)”. 稚内市. 2018年5月25日閲覧。
- ^ “Общая площадь земель муниципального образования, гектар, значение за год”. Федеральная служба государственной статистики. 2018年5月25日閲覧。
- ^ “Оценка численности населения в разрезе муниципальных образований по состоянию на 01.01.2018 года и среднегодовая за 2017 год”. 2018年5月25日閲覧。
- ^ http://demoscope.ru/weekly/ssp/rus_nac_59.php?reg=60
- ^ http://demoscope.ru/weekly/ssp/rus_nac_70.php?reg=87
- ^ http://demoscope.ru/weekly/ssp/rus_nac_79.php?reg=86
- ^ http://demoscope.ru/weekly/ssp/rus_nac_89.php?reg=73
- ^ http://www.perepis2002.ru/index.html?id=17
- ^ Информационные материалы об окончательных итогах Всероссийской переписи населения 2010 года
- ^ a b "На Сахалине в 2012 году строится рекордное количество асфальтобетонных дорог - около 60 км" イタル・タス通信、2012年9月24日。
- ^ “サハリン航路再開 第1便が稚内入港”. 読売新聞. (2016年8月2日) 2016年8月10日閲覧。
- ^ “<ペンギン33>―2016年の運航計画を終了(2016年9月16日)”. 稚内市. 2016年11月17日閲覧。
- ^ https://sakhalin.info/news/209491
- ^ 「20年ぶりの樺太 消え去った日本色」『日本経済新聞』昭和40年8月1日.14面
- ^ 四年ぶりにサハリンへ『朝日新聞』1970年(昭和45年)11月7日夕刊 3版 10面
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