ゲーン 材料

ゲーン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/28 04:11 UTC 版)

材料

大家族などの場合を除いて、香辛料を調理することは手間が掛かる為に、市販のペーストを使用することが一般的である[1]

ペースト

ペーストの例。右から赤・緑・黄・パネーン・マッサマンのペースト
ケーン・キヨウ・ワーンの食材

ほとんどのゲーンを調味するペーストを「ゲーン・クルーン」と言う。このペーストは複数の食材からなり、またペーストにはさまざまな種類がある。多くのペーストで使われる一般的な食材はシュリンプペースト、生か乾燥、赤か青など作るゲーンによってさまざまな唐辛子、タマネギかエシャロット、ニンニクレモングラスガランガルコリアンダーの根などである。

ゲーンの種類によって、ペーストにウコンコショウコリアンダーの種、カルダモンの実、クミンのようなスパイスが加えられ、食材では茹でた発酵魚[14]クラチャーイ英語版というショウガ科の植物の根が加えられる。ペーストの材料は伝統的な石のすり鉢で一緒に砕かれ、混ぜられる。近年ではフードプロセッサーが利用されることもある。多くのゲーンでは、他の具材が料理に加えられる前にペーストを調理油で炒める。油は沸騰した水よりも高温に達するため、香辛料やペーストの他の素材から、煮立てることでは不可能な特有の風味を引き出すことができる[15]

クルアン・ゲーン(khrueang kaeng、ゲーンの材料)やゲーン・ナム・プリック(nam phrik、唐辛子ペースト)もタイでは「ゲーンのペースト」を指すために使われる。後者はさらに縮めてプリック・ゲーン(phrik kaeng、ゲーン用唐辛子)とも呼ばれる。

なお、ゲーンに用いられるペーストは、家庭の有り合わせの食材で自家製のペーストを作ることができる他、タイの市場では作りたての生ペーストが売られており、タイのスーパーマーケットなどの商店では工場などでパッケージや缶詰にされたペーストが売られている[16]

具材

使用される材料は地域や季節によって変わる。それでも、多くのゲーンでは主な材料として食肉魚介類が使用される。この他、野菜果物だけでなく、チャー・オム(cha-om)というアカシアの一種(Acacia pennata)やパク・ルアット(phak lueat)というイチジク属の一種(Ficus virens)などの木の葉やドーク・ケー(dok khae)というシロゴチョウ英語版[17]バナナ(hua pli)[18]の花なども用いられる。

動物性の材料では豚肉鶏肉(家畜化されたセキショクヤケイ)、エビなどは比較的手に入りやすい[19]。川、湖、田などの淡水やタイランド湾アンダマン海などの鹹水などの水域から取れる魚や魚介類はさまざまな種類が利用される。他の伝統的な材料にはアヒルカエルヘビカタツムリ、野鳥、サンバーイノシシなどがあげられる[20]

主に野菜を使ったゲーンには、様々な野菜を煮込んだゲーン・リアン(kaeng liang)や[21]タケノコを使ったゲーン・ノーマイ(kaeng nomai)などがある[22]。 ゲーンには、一般的にセイバンナスビ英語版(makhuea pro)、ジュウロクササゲ(thua fak yao)やカボチャ(fak)類が使われる。

その他の材料

コブミカンの葉(bai makrut、バイマックルー)などの木の葉に加え、カミメボウキ(kraphao、クラパオ)、レモンバジル(maenglak、メーンラッ)、オオバコエンドロ(phak chi farang、パクチー・ファラン)、コリアンダー(phak chi、パクチー)の葉などのハーブがゲーンに加えられる。これらは時にほかの材料と共に調理されるが、多くの場合風味を維持し、ゲーンそのものの味と対照的な味を添えるために最後に加えられる。

魚醤は香りと塩味をつけるために使われる、日本で広まっているレシピではナンプラー(材料はカタクチイワシなどの小魚)を多用するが、タイではシュリンプペースト(カピ)を多用する。ナンプラーはお好みのテーブルソースとしても使われ、よりしょっぱくて辛めの味付けを好む人向けに、刻んだ緑色のプリッキーヌーを入れた調味料プリッ・ナンプラー(phrik nam pla)として食卓にのぼることがある[23]。甘くする必要がある場合、伝統的な椰子糖などの砂糖が使われる。ライムタマリンドは酸味を利かせたゲーンの酸味料として利用される。パネーンなど特定のゲーンでは[24]クリーミーな味付けにするために、他の具材を加える前にペーストをココナッツミルクでなく、より濃厚なココナッツクリームで炒める。


  1. ^ a b c タイ観光旅行ガイド「バンコクナビ」『タイカレー特集(Gaengゲーン)』2013.3.10
  2. ^ Thai curries rich in flavour
  3. ^ http://www.thaifoodmaster.com/recipes/main_dish_recipes/42
  4. ^ a b Thai Food History Chapter 5
  5. ^ http://www.bangkokpost.com/food/features/275198/dishes-the-march-of-time-passed-by
  6. ^ http://www.eatingthaifood.com/2011/12/food-photo-flavor-packed-thai-dry-curry-kua-kling/
  7. ^ http://spacesandspices-dorrie.blogspot.com/2011/11/khua-kling-ein-trockenes-thai-curry-dry.html
  8. ^ http://library.cmu.ac.th/ntic/en_lannafood/detail_lannafood.php?id_food=21
  9. ^ http://library.cmu.ac.th/ntic/en_lannafood/detail_lannafood.php?id_food=71
  10. ^ 以前は輸出用が主だった高級香り米ジャスミンライスも近年の経済成長により家庭での消費が増えている。
  11. ^ MCDANG: Hungry for Thai noodles.
  12. ^ http://www.shesimmers.com/2010/07/massaman-curry-recipe.html
  13. ^ http://www.worldplatter.com/viewbeyondthefood.php?id=5
  14. ^ http://library.cmu.ac.th/ntic/en_lannafood/detail_lannafood.php?id_food=48
  15. ^ http://www.bbc.co.uk/food/recipes/thaimonkfishandokrac_83780
  16. ^ Easy Thai Green Curry, an Interview with Kasma Loha-unchit, and Musings on Thai Curry Pastes.
  17. ^ http://www.bangkokpost.com/food/features/286931/kaeng-som-a-thai-culinary-classic
  18. ^ http://library.cmu.ac.th/ntic/en_lannafood/detail_lannafood.php?id_food=26
  19. ^ Fumihito, A; Miyake, T; Sumi, S; Takada, M; Ohno, S; Kondo, N (December 20, 1994), “One subspecies of the red junglefowl (Gallus gallus gallus) suffices as the matriarchic ancestor of all domestic breeds”, PNAS 91 (26): 12505–12509 
  20. ^ http://www.bellaonline.com/articles/art175700.asp
  21. ^ http://www.shesimmers.com/2011/08/spicy-thai-mixed-vegetable-soup-kaeng.html
  22. ^ http://library.cmu.ac.th/ntic/en_lannafood/detail_lannafood.php?id_food=54
  23. ^ http://www.shesimmers.com/2010/02/nampla-prik-ubiquitous-thai-table-sauce.html
  24. ^ http://www.shesimmers.com/2011/04/panaeng-curry-with-beef.html


「ゲーン」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ゲーン」の関連用語

ゲーンのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ゲーンのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのゲーン (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS