カンボジアの鉄道 運行事業者

カンボジアの鉄道

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/06 23:51 UTC 版)

運行事業者

Royal Railways of Cambodia
現地語社名
រ៉ូយ៉ាល់ រេលវេ
ラテン文字名
Royal Railways of Cambodia
本社 Cental Railway Station,
Sangkat Sras Chork, Daun Penh、
プノンペン
主要人物
en:Kith Meng
親会社 en:The Royal Group
ウェブサイト http://royal-railway.com/

路線

カンボジア鉄道
軌間1000 mm
カンボジア鉄道線路線図
0.0 km プノンペン・ロイヤル駅
6.7 km ポーチェントン駅
プノンペン国際空港駅
分岐
9.4 km フォーク駅
トゥローペアンクローサン停車場
プローテァーラン停車場
ダームルーフ停車場
プレイスツゥントゥン停車場
アンプローッ停車場
スラーッサライ停車場
コーマーリーチィア停車場
トゥクアンベル停車場
トゥクバルチャ停車場
スラークゥー停車場
75 km タケオ駅
トンマダー停車場
アンゲオア停車場
ターニー駅
トッラムソーソー停車場
117km トゥクミアス停車場
コンポントラート駅
ケップ駅
コウムサット停車場
カバールローメア停車場
166 km カンポット駅
ガットー停車場
ボッコーク停車場
ゴッウトー停車場
トロペアンロッポウ停車場
ヴェアーレーン駅
サムハオ停車場
ロールゥオス停車場
トゥモリアップ停車場
ペットロール停車場
263 km シアヌークビル駅
シアヌークビル港
12.0km サムロン駅
19.5 km ポニートラス橋
31.0 km バッダング駅
47.1 km トベンクポッ駅
55.7 km ミエノーク駅
66.9 km クランロヴィア駅
76.5 km ロメア駅
93.8 km クランスキール停車場
111.1 km クドル停車場
124.4 km バムナック駅
トゥートン停車場
133.5 km コムレアン駅
165.5 km プルサト駅
スナームプラ停車場
179.7 km トロペアンチョン停車場
187.5 km ボンクナー停車場
197.7 km スヴァーイドウンケーオ駅
198.2 km スヴァーイドウンケーオ橋(全長61.2 m)
コムレーン停車場
トゥートゥントゥガーイ停車場
214.8 km プレイスヴァーイ駅
223.1 km モンルセイ駅
231.7 km コッチャー停車場
236.6 km コークトロム停車場
プノムテイッパタイ停車場
ゴックポウン停車場
スワイチット停車場
レーンケセイ停車場
262.1km オースラウウ停車場
273.1km バタンバン駅
オーターキ駅
306.1 km チョロイスダウ駅
310.3 km トウールサムロン駅
315.8 km プノンタウチ駅
ジョムカーヂェイ停車場
330.2 km モンクルボレイ駅
337.3 km セレイ・サオポアン駅
Tek Tla
Sala Krahom
Sophy
Kob
385.0 km ポイペト駅
カンボジア/タイ国境
386.0 km バーンクロンルク国境駅
391.8 km アランヤプラテート駅
タイ国鉄 東本線 バンコク方面

書類上は北線には49駅、南線には27駅があるが、内戦により駅舎などが破壊されておりまともに機能しておらず、交換設備はいくつかの駅にあるが、運転本数が少ないため利用されていなかった。車両基地と鉄道工場はプノンペン1箇所である。全線単線非電化で、閉塞も事実上全線1閉塞で運転士の注意力に頼って運転されていた。軌条は37 - 40 kgレールを使用し、軸重は最大15 tである。

内戦で施設に大きな被害を受けた上、軌道敷に地雷が敷設されたり沿線がスラム化したりなどで立ち入りが危険な場所もあることから保線作業がろくに行われておらず、軌道の荒廃がひどくなっていた[6]

北線

北線は首都プノンペンを起点に北西方向へ走っている。全線に渡りほぼ平坦で、橋梁が175箇所、のべ3,794 m存在する。老朽化と損傷が著しく、早急に架け替えが必要な橋も多数存在していた。 2018年にプノンペンからポイペトまでの全区間(385 km)が再開。途中の主要経由地はバッダング(Batdaung、プノンペンから31 km)、プルサト(Pursat、同160 km)、バタンバン(同273 km)。

また、タイ国境を越えた先のアランヤプラテート(プノンペンから390 km)からはタイ国有鉄道が運行されており、1974年に両国の関係が悪化して分断されるまではこの区間も接続して運行が行われていた[3]。この経路を利用すると、両国の首都であるプノンペン・バンコク間は延長655 kmであった。2015年には「南部経済回廊」の一環としてこの区間の再接続が両国間で合意され、2019年4月22日より実際に運行が再開された。

南線

南線はプノンペンから9.4 kmのところにあるフォーク (Fork) で北線から分岐してシアヌークビルまでの267 km(プノンペン - フォークは重複計算)の路線である。途中の主要経由地はタケオ(プノンペンから75 km)、カンポット(同166 km)である。勾配がわずかに存在し、橋梁は97箇所とカルバートが488箇所の合計337 mがある。南線の橋は開通が新しいことから北線に比べれば状況が良好である。

カンボジアで唯一の深水港を有す重要港湾として経済特区(SEZ)に指定されているシアヌークビルは、中国が推し進める「一帯一路」構想による投資拡大の影響で近代化が目覚ましく、また“第二のマカオ”とも称され中国からの観光客が急増するなどリゾート化が顕著である[7]。そこで、このプノンペン・シアヌークビル間に高速鉄道を建設するプロジェクトが、中国によって計画されている[2]

空港線

2017年、プノンペン国際空港までの支線が建設された。105Kストリート上にレールを敷設した併用軌道となったため、住民による反対運動が起こった[8][9]

2018年4月10日、プノンペン・ロイヤル駅からプノンペン国際空港駅までの支線が開業した[10][11]。所要時間は約30分、運賃は10,000リエル、または2.5ドル。開業当初、気動車+客車1両による運行であったが、メキシコ製の新型気動車 AS1000 に置き換えられた。プノンペン駅構内南側に、専用の乗降場も設置された。

2020年7月より運休し[12]、レールは埋められている[13]

運行

プノンペン駅のホーム

2005年8月改正のダイヤによれば、北線は1日3本、南線は1日1本の列車が設定されていることになっていたが、貨物輸送量が減少していることから実際には輸送する貨物が集まり次第運行という状況であった。輸送品目は北線がセメント、南線がセメントに加え石油が中心であった。

旅客列車については2005年8月のダイヤ改正で北線のみ1週間に1回に削減された。 南線の旅客列車は旅客減少が激しく山賊に襲撃されるなどの治安問題もあって、2016年に再開されるまで打ち切られていた。 北線の旅客列車は毎週土曜日にプノンペン6時20分発、バタンバン17時57分着、その折り返しで毎週日曜日にバタンバン6時40分発、プノンペン20時40分着で運行されているが、遅延が酷くまともに時刻表通りに運行できないほか、車両の都合などで運休が多発していた。治安状況が悪いため、沿線の治安状況を見て随時運行が決定されるという有様であった。

旅客列車も混合列車として運行されている。地雷に当たった時の旅客への被害を避けるための名残で、終点の駅で組成替えをして必ず客車が列車の最後尾になるようにして運転している。貨物列車であっても貨車に乗車する旅客が多く見受けられており、このことから南線の旅客利用も物理的には可能な状況である。

並行している国道がよく整備されており、一般の足はバスに移行して、鉄道は一般的な交通機関とは言い難い状況となっていた。特に治安状況から外国人の利用は困難な状況で、外国人に対する案内も殆どなく、現地のクメール語を理解できなければ利用は困難であった。

2009年11月現在、週一往復していたプノンペンからバタンバン間の定期列車も完全に運休状態となっていたようで、同区間で使用していた客車と機関車はプノンペン駅構内に留置され、特に客車は走行が困難な状態にあった。

2016年より、南線のプノンペンからシアヌークビル間の旅客列車の運行を再開した[14]。金~月曜日、週4往復運行中。約260kmの行程を8時間以上かけて運行されており、利用状況を見ながら本格的な運転に移行するかどうかの是非を検討するという[15]

2018年4月4日セレイ・サオポアンからタイとの国境にあるポイペトまでの列車の運行が再開され、4月29日にはシソポンからバッタンバン間が、5月29日にバッタンバンからプルサット間が、7月4日にはプルサットからプノンペン間が順次再開、1970年代に始まったカンボジア内戦以来となるプノンペンからポイペトまでの直通列車が運行された。その後は週に1本ほど旅客列車が運行されている[16]

このほか、2018年4月10日にはプノンペン国際空港までの支線が開業した[10][11]が、2020年12月までに空港の移転の計画と新型コロナウイルス感染症の影響により廃止された[17]

2022年現在、南線の全線(プノンペン - シアヌークビル)で1日1往復、北線の一部区間(プノンペン - バタンバン)で1日1往復、旅客列車が運行されている[18]。車両は主に空港シャトル路線で使われていたAS1000、ディーゼル機関車+エアコン付き客車、タイから寄贈されたRHNが使われている。


  1. ^ a b “鉄路で⾏くカンボジア 存在感増す中国”. 朝日新聞 (朝日新聞社). (2018年2月15日) 
  2. ^ a b “中国、カンボジア鉄道建設の覚書調印”. AFPBB News (クリエイティヴ・リンク). (2017年5月19日). https://www.afpbb.com/articles/-/3128842 
  3. ^ a b “タイ・カンボジア間、鉄道開通45年ぶり 域内分業活発に”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2019年4月22日) 
  4. ^ Cambodia opens Thai border rail link”. レールウェイ・ガゼット・インターナショナル (2018年4月5日). 2018年4月8日閲覧。
  5. ^ 1ST INTERNATIONAL TRAIN TO CAMBODIA FROM THAILAND ON 18 OCTOBER 2021”. RailTravel Station (2021年10月19日). 20122-04-29閲覧。
  6. ^ 柿崎一郎『王国の鉄路 タイ鉄道の歴史』京都大学学術出版会、2010年。ISBN 978-4-87698-848-8 
  7. ^ “焦点:カンボジアに「第2のマカオ」誕⽣か、中国投資が加速”. ロイター通信 (ロイター). (2017年12月31日) 
  8. ^ “Villagers protest new commuter rail project”. The Phonom Penh Post. (2017年7月19日). https://www.phnompenhpost.com/national/villagers-protest-new-commuter-rail-project 
  9. ^ “Minister assures locals rail won’t disrupt lives”. The Phonom Penh Post. (2017年7月24日). https://www.phnompenhpost.com/national/minister-assures-locals-rail-wont-disrupt-lives 
  10. ^ a b “A ride to the airport on Phnom Penh’s latest mode of public transport” (英語). The Phnom Penh Post. (2018年4月10日). https://www.phnompenhpost.com/business/ride-airport-phnom-penhs-latest-mode-public-transport 
  11. ^ a b “Airport train gives inaugural ride” (英語). Khmer Times. (2018年4月11日). https://www.khmertimeskh.com/50301682/airport-train-gives-inaugural-ride/ 
  12. ^ “Airport shuttle train service may be temporarily halted”. Khmer Times. (2020年7月9日). https://www.khmertimeskh.com/742998/airport-shuttle-train-service-may-be-temporarily-halted/ 
  13. ^ “Airport rail system off track for now”. Khmer Times. (2020年12月8日). https://www.khmertimeskh.com/50790570/airport-rail-system-off-track-for-now/ 
  14. ^ “ロイヤル鉄道、プノンペン~シアヌークビル間を結ぶ旅客鉄道、4月運行”. カンボジア ビジネスパートナーズ. (2016年3月3日). http://business-partners.asia/cambodia/20160303/ 
  15. ^ “カンボジア、旅客列⾞が14年ぶり復活…でも期間限定 260キロを8時間以上で⾛⾏”. 産経新聞 (産業経済新聞社). (2016年4月9日) 
  16. ^ “タイ、カンボジア間の国際鉄道が近く開通 物流やアクセス向上に期待”. SankeiBIZ. (2019年1月22日). https://www.sankeibiz.jp/macro/news/190122/mcb1901220500007-n1.htm 
  17. ^ Phnom Penh Airport Railway Track Being Removed After Numerous Accidents”. 2021年4月12日閲覧。
  18. ^ Royal Railway Cambodia - Facebook
  19. ^ IRCON YDM4 6000 SERIES LOCOMOTIVE・ROYAL RAILWAY CAMBODIA”. RailTravel Station. 2023年1月20日閲覧。
  20. ^ KTM YDM4 LOCOMOTIVE・DIESEL LOCOMOTIVE WORKS(DLW)”. RailTravel Station. 2023年1月20日閲覧。
  21. ^ “9月にメキシコ製鉄道車両が到着 ”. カンボジア: CAMODIA BUSINESS PARTNERS. (2018年7月19日). http://business-partners.asia/cambodia/syakai-20180719-train/ 
  22. ^ “タイ・カンボジア間の線路接続、道路橋開通”. newsclip.be. (2019年4月22日). http://www.newsclip.be/article/2019/04/22/39542.html 
  23. ^ “Cambodia, Thailand join railroad networks, open cross-border bridge” (英語). Khmer Times. (2019年4月23日). https://www.khmertimeskh.com/50597004/cambodia-thailand-join-railroad-networks-open-cross-border-bridge/ 
  24. ^ “引退のキハ183系、残り11両はカンボジアへ 函館港から15日輸出”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2024年4月11日). https://www.hokkaido-np.co.jp/article/999315/ 2024年4月12日閲覧。 ※会員記事のため、全文の閲覧は会員登録が必要
  25. ^ a b [1]
  26. ^ [2]
  27. ^ カンボジア国における物流の現況と課題” (PDF). JICA (2021年4月13日). 2023年1月20日閲覧。
  28. ^ カンボジア・インフラマップ(日本貿易振興機構プノンペン事務所)2012年3月 (PDF, 250.28 KiB)
  29. ^ a b Rail revival to replace bamboo trains”. レールウェイ・ガゼット・インターナショナル (2010年10月22日). 2010年10月23日閲覧。
  30. ^ カンボジアの投資環境” (PDF) (2010年5月24日). 2010年10月23日閲覧。
  1. ^ 完全に譲渡されたのかいわゆる又貸し状態になっているのかは不明。
  2. ^ 6343, 6428, 6535, 6546, 6561, 6633, 6635, 6657, 6663, 6697の10両[20]





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