カンボジアの鉄道
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今後の計画
プノンペンからコンポンチャムを経てベトナムとの国境に至る225 km区間は、シンガポールと中国の昆明とを結ぶ昆明・シンガポール鉄道構想の唯一の欠落区間である[28]。 この区間の鉄道整備の一環として、ベトナムのホーチミンまで路線を延長する計画がある。既に協定は締結されており、中国の鉄道建設企業である中国中鉄が、プノンペンのBat Doengからベトナムとの国境にあるロックニンまでの255 kmの鉄道の設計作業を行っている。ロックニンからはホーチミンまで128 kmの路線建設が提案されている[29]。
タイおよびベトナムとの鉄道連結が完成した場合にはベトナムの鉄道、更には中華人民共和国の鉄道・タイ王国の鉄道・マレーシアの鉄道・シンガポールの鉄道とも連絡が取れることとなり、昆明 - ハノイ - ホーチミン - プノンペン - バンコク - クアラルンプール - シンガポールといった東南アジア縦断鉄道ができる事となる。国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)は、本計画により国際貨物輸送の高速化が実現するとしている。
この他に、トンレサップ湖の北側を通ってシェムリアップを結ぶ路線や、ラオスと連絡する路線なども提案されている[30]。
バンブートレイン
カンボジア国鉄の路線では列車本数が極めて少なく、しかもその他の公共交通手段も発達していないことから、地元の住民が竹製の板に金属の台車を組み合わせてエンジンを搭載して自作した「バンブートレイン」と呼ばれるトロッコのような車両が勝手にカンボジア国鉄の線路を利用して走り回っている。ブレーキは手で棒を車輪に押し当てる原始的なものである。運賃を徴収して旅客・貨物輸送を不定期に行っており、バタンバン周辺では観光用にもなっている。プノンペン付近では、バッダング駅からプノンペン国際空港付近の踏切まで最高速度20 km/h程度で90分掛けて走るバンブートレインがおり、「空港連絡トロッコ」とも言うべき存在となっている。バンブートレイン同士が線路上で遭遇した時には、荷物や旅客が少ない方が線路上から車両を取り外して譲る了解があり、また正規の列車が走ってきた時には必ず譲ることになっている。
鉄道リハビリプロジェクトの進展に伴って、こうしたバンブートレインの運行者には補償金が支払われ、道路交通への移転促進策が採られている[29]。
隣接国との鉄道接続状況
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- ^ “カンボジア、旅客列⾞が14年ぶり復活…でも期間限定 260キロを8時間以上で⾛⾏”. 産経新聞 (産業経済新聞社). (2016年4月9日)
- ^ “タイ、カンボジア間の国際鉄道が近く開通 物流やアクセス向上に期待”. SankeiBIZ. (2019年1月22日)
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- ^ Royal Railway Cambodia - Facebook
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- ^ “9月にメキシコ製鉄道車両が到着 ”. カンボジア: CAMODIA BUSINESS PARTNERS. (2018年7月19日)
- ^ “タイ・カンボジア間の線路接続、道路橋開通”. newsclip.be. (2019年4月22日)
- ^ “Cambodia, Thailand join railroad networks, open cross-border bridge” (英語). Khmer Times. (2019年4月23日)
- ^ “引退のキハ183系、残り11両はカンボジアへ 函館港から15日輸出”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2024年4月11日) 2024年4月12日閲覧。※会員記事のため、全文の閲覧は会員登録が必要
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- ^ [2]
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- ^ “カンボジアの投資環境” (PDF) (2010年5月24日). 2010年10月23日閲覧。
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