アコヤガイ アコヤガイの概要

アコヤガイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/26 17:15 UTC 版)

アコヤガイ
養殖アコヤガイ(三重県志摩市産)
分類
: 動物界 Animalia
: 軟体動物門 Mollusca
: 二枚貝綱 Bivalvia
: ウグイスガイ目 Pterioida
: ウグイスガイ科 Pteriidae
: アコヤガイ属 Pinctada
: ベニコチョウガイ P. fucata
亜種 : アコヤガイ P. f. martensii
学名
Pinctada fucata martensii
和名
アコヤガイ阿古屋貝
真珠貝
パールオイスター
英名
Japanese Pearl Oyster
Akoya Pearl Oyster

概要

殻長は約5センチメートル[2]貝殻は平たい半円形で、中央部は厚いが縁は層状になっており、薄く剥がれる。左右対称ではなく左が深い。貝殻の外側は緑黒色か緑白色だが、内側は強い真珠光沢がある。

太平洋インド洋熱帯亜熱帯の海に広く分布し、日本でも房総半島以南に分布する。通常は干潮線帯から水深3メートルくらいまでの岩礁に生息[2]足糸を出して岩石や刺胞動物に自分の体を固定して生活する[2]

雌雄同体で性転換する。

利用

真珠養殖

貝殻の内側に異物が混入すると、その異物を核として真珠層を巻く性質があり、真珠養殖に使用されている。養殖では、別の貝の貝殻を球状に加工したものを核としている。埋め込む核は2個であることが多い。ボタンカフリンクスネクタイピン真珠ネックレス指輪等の装身具に用いられる。

産卵期は5~9月。受精後約20日で殻高0.2mmほどに成長、足糸を出して浅瀬の岩に付着する。プランクトンや有機性懸濁物を濾過して、エネルギーとすることが多い。ある程度成長すると、養殖が可能となり、養成場へ移される。

日本では愛媛県宇和海長崎県大村湾三重県英虞湾などで養殖されている。ほかにも、西日本各地の透明度の高い内湾でアコヤガイを利用した真珠養殖が行われている。浜揚げ目安は3年の経過である。

1990年代後半に感染症が拡大したため日本のアコヤガイ養殖は打撃を受け、中国産のアコヤガイが導入された。中国産は病気には強いが真珠の品質が劣るため、交雑が問題となっている。

2019年以降、愛媛県の宇和海で稚貝が大量死する例が見られた。2022年までに国と愛媛県の研究機関は、原因がビルナウイルス科に分類される新種のウイルスに感染したものと特定した[3]

食用

旬は11~1月の浜揚げの時期であり、主にの味覚である。

貝柱曲玉形をしており食用にされ、真珠を取り出す際に別に採取する。食材としては串焼き天ぷら茶碗蒸し粕漬け真珠漬)などに使用されるが、古くは日干ししていた。熱を通すと硬くなりやすい。

バカガイなどに比べても旨味が薄いため値段は安く、貝柱は地元ではバター焼きなどとして食される。

語源

阿古屋は現在の愛知県阿久比町の古い地名で、この辺りで採れた真珠を阿古屋珠(あこやだま)と呼んだことから、真珠のことも阿古屋と呼ぶようになった[要出典]。また江戸時代後期の武蔵石壽による『目八譜』第四巻の(二)に『真珠介』として図示され、『観文介譜』や『啓蒙』で『アコヤカヒ』と言われている貝で、和名類聚抄では『貽貝』(イガイ)と呼ばれていたと記されている[4]


  1. ^ 金沢庄三郎 編「あこやがひ(阿古屋貝・珠母)」 『広辞林』(新訂)三省堂、1934年、15頁。 
  2. ^ a b c d e アコヤガイ(二枚貝類ウグイスガイ科)”. 沖縄市. 2019年12月5日閲覧。
  3. ^ 真珠養殖のアコヤガイ大量死、原因は新種ウイルス”. 読売新聞 (2022年2月2日). 2022年2月9日閲覧。
  4. ^ (二) 真珠介”. 武蔵石壽. 2022年4月3日閲覧。
  5. ^ OIST研究員ら、世界に先駆け、アコヤガイのゲノム解読に成功 〜美しい真珠を生み出す仕組みの解明に道筋〜”. 沖縄科学技術大学院大学 (2012年2月8日). 2012年5月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年10月14日閲覧。


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