晩課とは? わかりやすく解説

晩課

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/02 22:34 UTC 版)

晩課(ばんか、ロシア語: Вечерня)は晩の奉神礼正教会)、および夕の祈りカトリック教会聖公会など)をいう。英語の"Vespers"に対応する、各教派に共通する訳語であるが、教派によって構成はかなり異なっている。

音楽作品についてはラテン語("Vesperae")からそのまま転写してヴェスペレと呼ばれる事がある。聖公会でのイーブンソング(夕の礼拝)に相当する。

東西教会の別を問わず、教会暦日没を一日の区切りとするため、いずれの教派においても、日没後に行われる晩課は、一日の初めの時課となる。

正教会

正教会における、晩課・早課も含めた、広義の時課が行われる大まかな時刻の図解。教会暦においては一日は日没に始まり日没に終わる。但し、このような時刻で全ての時課が行われる事は、大規模な修道院を除き極めて稀である。

晩課は、聖詠讃詞連祷によって構成される。晩課と早課は、讃詞・連祷の占める割合が他の時課に比べて大きい。

日没後に初めて行われる晩課は、正教会の時課の中でも一日のうちの初めに行われるものとなる。天地創造、人類の陥罪(かんざい)、イイスス・ハリストス(イエス・キリストのギリシャ語読み)による救いを記憶する内容となっている。

被造物の数々が歌われる第103聖詠が冒頭に置かれ、これが天地創造を記憶するものとなっている。

また、イエルサリムの総主教ソフロニイによる聖歌「穏やかなる光(聖ソフロニイの祝文)」が、夕暮れの光にイイスス・ハリストスを喩えて歌っており、直接見る事の出来ない神が、藉身して人性をとり、目に見える姿になってこの世に到来した事を歌っている。

基本構造

晩課の聖入の場面。イコノスタシスの王門前にて。右に輔祭、中央に司祭、左(司祭後方)に堂役が二人、写っている。(2009年

晩課には大きく分けて、平日晩課小晩課大晩課がある。

以下は主日前晩(土曜日夕方)に行われる大晩課の形式である。

  • 首誦聖詠:第103聖詠詩篇104)を歌う(または誦読する)。
  • 坐誦経《カフィズマ》:指定された聖詠を誦読する。徹夜祷に際しては歌う。
  • 「主や爾に呼ぶ」に、讃頌《スティヒラ》:第140・141・129聖詠を句とし、間に讃頌を挟む。
  • 聖ソフロニイの祝文「聖にして福たる」:聖入がある場合には歌われる。
  • 提綱《ポロキメン》:この晩課のテーマ。神品詠隊が応答する。(大斎期には「アリルイヤ」を歌う)
  • 喩言《パレミヤ》:祭日には特に、合う旧約の指定個所を誦読する。
  • 誦読「主や我等を守り罪なくして此の晩」
  • リティヤ:祭日などに。熱切なる祈祷。
  • 聖抱神者シメオンの祝文「主宰や、今爾の言に循ひ」
  • 聖三祝文天主経
  • 発放讃詞《トロパリ》:此の日に歌うべきを歌う。
  • 五餅の祝福:リティヤを行なった場合にはこれも。主食への祝福から参祷者の祝福へ。

イエルサリムの総主教聖ソフロニイの祝文

せいにして ふくたる 常生 じょうせいなる てん ちち せいなる 光榮 こうえい おだやかなる ひかりイイススハリストスや  我等 われら りに いた くれ ひかり 神父 かみちち 聖神 せいしん うた ふ  生命 いのち たま かみ や  なんじ 何時 いつ 敬虔 けいけん こえにて うた はるべし  ゆえ 世界 せかい なんじ 崇讃 あがめほ

— 時課經(日本正教会・1884年版、一部の旧字体を常用漢字で代用、振り仮名を一部現代仮名遣いにするなどして引用)
  • 祝文冒頭を用いた各国語での聖歌タイトル表記

カトリック教会

聖土曜日に晩課を歌うベネディクト会修道士達(アメリカニュージャージー州、2009年4月撮影)

他教派の晩の祈り

聖公会に夕の礼拝・夕の祈りがある。

参考文献

  • ミハイル・ソコロフ著、木村伊薩阿克訳『正教奉神礼』日本正教会(明治24年3月)

関連項目

外部リンク


晩課

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/01/09 21:15 UTC 版)

「奉神礼」記事における「晩課」の解説

詳細は「晩課」を参照 英語: Vespers 本来、日没後の祈祷であるが、教区では時間ずらして日中に行うことがある正教会奉神礼上の一日日没からはじまるため、晩課はその日祈祷はじまりである。そのことカフィズマ聖詠の項を参照)の配置サイクルによく現れている。通常のにおいては土曜晩課に週の初めである第1カフィズマ充てられており、土曜早課に第19、20カフィズマ充てられる。

※この「晩課」の解説は、「奉神礼」の解説の一部です。
「晩課」を含む「奉神礼」の記事については、「奉神礼」の概要を参照ください。

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