恒星系とは? わかりやすく解説

こうせい‐けい【恒星系】

読み方:こうせいけい

いくつかの恒星引力によって結びついて互いに公転している系、または、ある恒星中心に運行している惑星などの天体集団前者連星後者惑星系ともいう。


恒星系

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/28 00:17 UTC 版)

恒星系(こうせいけい、star system, stellar system)とは、少数の恒星重力で結びついてお互いの周りを公転している星系である[1]。多数の恒星が重力で結びついているものは、星団銀河と呼ばれるが、これらも広義の恒星系である。恒星系という言葉は、惑星系を持った1つの恒星について使われることもある[2][3]

連星系

2つの恒星からなる恒星系は、連星系と呼ばれる。潮汐効果や摂動、質量転移がなければ安定であり、2つの恒星は共通重心の周りを楕円軌道を描いていつまでも公転する。(二体問題を参照)

連星系の例としては、シリウスプロキオン、そして恒星とおそらくブラックホールから構成されるはくちょう座X-1等が挙げられる。

多重星系

多重星系は、3つ以上の恒星からなる恒星系である[4][5]。3つの恒星からなるものを三重星系、4つの恒星からなるものを四重星系、5つの恒星からなるものを五重星系等と言う。このような系は、おおよそ100個から1000個の恒星からなる散開星団よりも小さい[6]

力学

理論的には、多体問題カオスになるため、多重星系をモデル化することは連星系よりも難しい。複数の恒星の多くの配置は不安定で、最終的には1つの恒星が他の恒星に近づきすぎ、系から弾き出される[7]。もしこの系が、Evansがいうところの[8]「階層的」なものであれば、不安定さはなくなる。階層的な系では、系の恒星は2つのグループに分けられ、それぞれが系の重心の周りの大きな軌道を横断することになる。またそれぞれのグループの中も同じように階層的になる。この場合は、恒星の運動は系の重心の周りでほぼケプラーの法則に従う[9]

観測

三重星系HD 188753の想像図

既知の多重星系の多くは三重星系であり、恒星の数が大きくなるほど指数関数的に少なくなる[10]。例えば、1999年版のTokovinin's catalog of physical multiple starsでは[5]、728の恒星系のうち、551が三重星系である。しかし観測選択効果により、この統計はかなり不完全なものである[11], §2.

先述の力学的な不安定性のため、三重星系は一般的に階層的であり、隣接する連星と遠くにある伴星の組合せになる。さらに数が多い多重星系も、同様に階層的になる[10]。六重星系までが知られており、例えばカストルは1つの連星系と離れた位置にある2つの連星系のペアとの組合せになる[12]。またADS 9731も六重星系として知られ、ここでは1つの恒星と分光連星からなる三重星系が2つの組合せになっている[13]

連星系

三重星系

四重星系

五重星系

六重星系

七重星系

太陽系型の恒星系

関連項目

出典

  1. ^ "Star system" in Modern Dictionary of Astronomy and Space Technology. A.S. Bhatia, ed. New Delhi: Deep & Deep Publications, 2005. ISBN 81-7629-741-0
  2. ^ Astronomers discover a nearby star system just like our own Solar System Archived 2011年5月8日, at the Wayback Machine., Joint Astronomy Centre, press release, July 8, 1998. Accessed on line September 23, 2007.
  3. ^ Life unlikely in asteroid-ridden star system, Maggie McKee, NewScientist.com news service, July 7, 2004. Accessed on line August 27, 2009.
  4. ^ p. 16, Understanding Variable Stars, John R. Percy, Cambridge: Cambridge University Press, 2007, ISBN 0521232538.
  5. ^ a b MSC—a catalogue of physical multiple stars, A. A. Tokovinin, Astronomy and Astrophysics Supplement Series 124 (1997), 75–84; online versions at VizieR and the Multiple Star Catalog.
  6. ^ p. 24, Galactic Dynamics, James Binney and Scott Tremaine, Princeton University Press, 1987, ISBN 0691084459.
  7. ^ Multiple Stellar Systems: Types and Stability, Peter J. T. Leonard, in Encyclopedia of Astronomy and Astrophysics, P. Murdin, ed., online edition at the Institute of Physics[リンク切れ], orig. ed. published by Nature Publishing Group, 2001.
  8. ^ Stars of Higher Multiplicity, David S. Evans, Quarterly Journal of the Royal Astronomical Society 9 (1968), 388–400.
  9. ^ Dynamics of multiple stars: observations Archived 2006年9月19日, at the Wayback Machine., A. Tokovinin, in "Massive Stars in Interacting Binaries", August 16–20, 2004, Quebec (ASP Conf. Ser., in print).
  10. ^ a b Statistics of multiple stars: some clues to formation mechanisms, A. Tokovinin, in the proceedings of IAU Symposium 200, The Formation of Binary Stars, Potsdam, Germany, April 10–15, 2000. Bibcode 2001IAUS..200...84T.
  11. ^ Statistics of multiple stars, A. Tokovinin, in The Environment and Evolution of Double and Multiple Stars, Proceedings of IAU Colloquium 191, held 3–7 February 2002 in Merida, Yucatan, Mexico, edited by Christine Allen and Colin Scarfe, Revista Mexicana de Astronomía y Astrofísica (Serie de Conferencias) 21 (August 2004), pp. 7–14.
  12. ^ a b Castor A and Castor B resolved in a simultaneous Chandra and XMM-Newton observation, B. Stelzer and V. Burwitz, Astronomy and Astrophysics 402 (May 2003), pp. 719–728.
  13. ^ a b ADS 9731: A new sextuple system, A. A. Tokovinin, N. I. Shatskii, and A. K. Magnitskii, Astronomy Letters, 24, #6 (November 1998), pp. 795–801.
  14. ^ 4 Centauri, entry in the Multiple Star Catalog.
  15. ^ Nu Scorpii, entry in the Multiple Star Catalog.
  16. ^ ナショナルジオグラフィック ニュース 天の川銀河恒星系、15%が太陽系型か

外部リンク


恒星系

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 08:25 UTC 版)

ベテルギウス」の記事における「恒星系」の解説

ベテルギウス一般的に単独孤立した逃走星であると考えられており、現在はどの星団または星形成領域にも関連付けられておらず、ベテルギウスがどこで形成されたかは不明である。 1985年ベテルギウスには2つ分光伴星存在示されている。1968年から1983年までのベテルギウス偏光データ分析により、約2.1年の周期ベテルギウス公転している密接する伴星存在することが示されている。スペックル干渉法用いて研究チーム2つ伴星のうち近い方はベテルギウス対す位置角273度で、0.06 ± 0.01秒(~9 au離れている潜在的にベテルギウス彩層中に位置する軌道持ち、そして遠い方の伴星位置角278度で、0.51 ± 0.01秒(~77 au離れていると推定した。しかし、さらなる研究ではこれらの伴星証拠は見つかっておらず、これらの伴星存在は現在では否定されているが、全体的な流動寄与している密接する伴星存在している可能性は完全には排除できていない1980年代および1990年代時点技術はるかに超えたベテルギウスその周辺高解像度干渉法用いても、そのような伴星検出されていない

※この「恒星系」の解説は、「ベテルギウス」の解説の一部です。
「恒星系」を含む「ベテルギウス」の記事については、「ベテルギウス」の概要を参照ください。

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