掃攻効率

掃攻率
【英】: sweep efficiency
同義語: 掃攻効率
掃攻率は、油層からの原油の採収率を向上させるために液体を圧入する二・三次採収において、油層の総孔隙{そうこうげき}容積に対する圧入流体の接触した部分の容積比率として定義される。特に、油層の平面方向についての掃攻率を面積掃攻率(areal sweep efficiency)、断面方向の掃攻率を垂直掃攻率(vertical sweep efficiency)といい、これらの積を容積掃攻率(volumetric sweep efficiency)と呼ぶ。単に掃攻率といえば容積掃攻率を指す。 掃攻率に影響する主な要素としては、圧入流体と原油の比重差による重力分離、有効浸透率と粘度の違いに起因する易動度比、並びに油層内の浸透率分布がある。垂直方向の浸透率が比較的大きな油層では、圧入流体と原油の比重差による重力分離効果が大きく、掃攻率の低下を招く。特に圧入流体がガスの場合には、油層の上部のみ掃攻される傾向が生じる。この対策として、高傾斜の油層では垂直方向の掃攻(油層上部へのガス圧入、または油層下部への水圧入)が行われるのが一般的である。易動度比については、これが 1 より大きい場合、圧入流体が油を突き抜けて流れるいわゆるフィンガリング現象を起こす結果、掃攻率が低下する。逆に易動度比が 1 以下の場合には、油がピストン状に押される結果、掃攻率が向上する。通常のガス圧入法では、易動度比は一般に 10 以上であり、易動度比を小さくする目的でガスと水を交互に圧入する方法がとられることもある。また EOR(増進回収法)の一つであるケミカル攻法においても、易動度比を下げる目的で高粘度のポリマー溶液を使用するのが一般的である。 油層内の浸透率分布については、例えば高浸透率の層が存在する場合、圧入流体がその層を優先的に流れるいわゆるチャンネリング現象を起こす結果、垂直掃攻率が低下する。また平面的にも、ある方向に高浸透率のフラクチャーが存在する場合などには、面積掃攻率が低下する。最近、こうした油層の浸透率の不均質性を改善する目的で、あらかじめ高粘度のポリマー溶液などを圧入し、高浸透率層を閉塞{へいそく}する方法も開発されつつある。 |

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