convex polytopeとは? わかりやすく解説

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凸多面体

読み方とつためんたい
【英】:convex polyhedron, convex polytope

概要

有限個の閉半空間の共通部分を凸多面体と呼ぶ. すなわち, n\,次元実線空間{\mathbf R}^n\,内の凸多面体P\,は, 適当なm \times n\,実行列A\,m\,次元ベクトルb\,用いて



 P=\{ x \in {\mathbf R}^n \mid A x \leq b \}
\,


表現できる. 特に有界な凸多面体は, convex polytope と英語では区別して呼ばれ, 有限個の点からなる集合凸包であり, 逆も成り立つ.

詳説

 n\, 次元ベクトルa=(a_1,\cdots,a_n)^{\rm T} \in {\mathbf R}^n\, 実数 a_0{\in}{\mathbf R}\, により定まる1次不等式 (線形不等式) (a_1 x_1 + \cdots + a_n x_n \leq a_0)\, 満たすx = (x_1,\cdots,x_n)^{\rm T}\, 全体からなる集合を閉半空間(closed halfspace)とよぶ. 有限個の閉半空間の共通部分凸多面体 (convex polyhedron) とよぶ. すなわち, {\mathbf R}^n\, 内の凸多面体は, 適当なm{\times}n\, 実行列A\, m\, 次元ベクトルb\, 用いて


P = \{ x \in {\mathbf R}^n \mid Ax \leq b \}\,     (1)\,


表現できる. 凸多面体P\, が, ある正の実数M\, に対して


x \in P \;\Longrightarrow\; |x_i| \leq M \quad(i=1,\cdots,n)\,


をみたすとき有界である(bounded)とよばれ, 英語では convex polytopeと区別してよばれることが多い. 凸多面体の例としては, 線形計画問題での実行可能多面体, TSP多面体, マトロイド基多面体, ポリマトロイドなどがある.

 凸多面体には不等式表現以外にもう一つ有益な表現方法がある. v^1,\cdots,v^\ell \in {\mathbf R}^n\, に対して, 適当な\alpha_1,\cdots,\alpha_\ell \in {\mathbf R}\, によって


v = \alpha_1v^1 + \cdots + \alpha_\ell v^\ell\,


表現されるベクトル v\, v^1,\cdots,v^\ell\, 一次結合(線形結合) (linear combination) とよぶ. 係数\alpha_1,\cdots,\alpha_\ell\, 非負条件


\alpha_1 \geq 0, \cdots , \alpha_\ell \geq 0\,     (2)\,


をみたす場合には v\, 非負結合(nonnegative combination), 和が1という条件

\alpha_1 + \cdots + \alpha_\ell = 1\,     (3)\,


をみたす場合には v\, アフィン結合 (affine combination), さらに (2)(3)両方をみたすとき v\, v^1,\cdots,v^\ell\, 凸結合 (convex combination) とよばれる. 有限個のv^1,\cdots,v^\ell \in {\mathbf R}^n\, r^1,\cdots,r^d \in {\mathbf R}^n\, に対して, v^1,\cdots,v^\ell\, 凸結合r^1,\cdots,r^d\, 非負結合の和として表される全体, すなわち


 \left\{ x=\sum_{i=1}^\ell \alpha_iv^i + \sum_{j=1}^d \beta_jd^j
 \;\; \begin{array}{|l}
 \sum_{i=1}^\ell \alpha_i = 1 \\
 \alpha_i \geq 0 \;(i=1,\cdots,\ell) \\
 \beta_j \geq 0 \;(j=1,\cdots,d)
 \end{array} \right\}
\,     (4)\,


定義される集合は凸多面体となり, 逆に (1)定義される凸多面体については (4) をみたす有限個のv^1,\cdots,v^\ell \in {\mathbf R}^n\, r^1,\cdots,r^d \in {\mathbf R}^n\, 存在することが知られている. 特に, 有界な凸多面体に対して有限個の点v^1,\cdots,v^\ell \in {\mathbf R}^n\, 凸結合全体, すなわち,


P = \left\{ x=\sum_{i=1}^\ell \alpha_iv^i
 \;\; \right| \left. 
 \sum_{i=1}^\ell \alpha_i = 1,\;\; \alpha_i \geq 0 \;(i=1,\cdots,\ell)
 \right\}\,     (5)\,


表現でき, (5)定義される集合は, 点集合V=\{v^1,\cdots,v^\ell\}\, を含む (集合包含関係の意味で) 最小凸集合 (convex set)として定義されるV\, 凸包 (convex hull) と一致する. 例えば, {(0,0,0),(1,0,0),(0,1,0),(0,0,1)} \subset {\mathbf R}^3\, 凸包である有界な凸多面体は


x_1+x_2+x_3 \leq 1,\quad
 x_1 \geq 0, \quad
 x_2 \geq 0, \quad
 x_3 \geq 0\,


という4本の不等式表現できる三角錐である.

 点集合V=\{v^1,\cdots,v^\ell\} \subseteq {\mathbf R}^n\, について, どの要素も他の要素たちのアフィン結合表現できないとき, すなわち,


\alpha_1v^1 + \cdots + \alpha_\ell v^\ell = 0 \;\Longrightarrow\;
\alpha_1 = \cdots = \alpha_\ell = 0\,


をみたすとき, V\, アフィン独立(affinely independent)であるという. {\mathbf R}^n\, からは高々 n{+}1\, 個のアフィン独立点し取れない. 集合S \subseteq {\mathbf R}^n\, 含まれるアフィン独立点集合要素最大のものをV=\{v^1,\cdots,v^\ell\}\, としたとき, S\, 次元\ell{-}1\, 定義する(次元V\, 選び方に依存しないことを付記しておく). 先の例では, {(0,0,0),(1,0,0),(0,1,0),(0,0,1)}\, アフィン独立であり, この凸包である三角錐次元3\, となる. 凸多面体P \subseteq {\mathbf R}^n\, 次元n\, であるとき全次元的(full dimensional)という.

 凸多面体P \subseteq {\mathbf R}^n\, に対して, 超平面(hyperplane) H\, , すなわち, 非ゼロベクトル(a_1,\cdots,a_n)^{\rm T} \in {\mathbf R}^n\, a_0 \in {\mathbf R}\, 用いて


H = \{x \mid a_1x_1 + \cdots + a_nx_n=a_0 \}\,


表現できる集合


P \cap H \neq \emptyset \,  かつ P \subseteq \{x \mid a_1x_1 + \cdots + a_nx_n \leq a_0 \}\,


をみたすとき, H\, P\, 支持超平面 (supporting hyperplane) とよばれる. 支持超平面と凸多面体の共通部分も凸多面体である. この共通部分を凸多面体の面 (face) とよび, その次元k\, であるときk\, 次元面(k\, -face, k\, dimensional face)とよぶ. 特に多面体より次元1\, 小さい面をファセット(facet), 1\, 次元面を辺 (edge), 0\, 次元面を頂点 (vertex) とよぶ. 先の三角錐を例にすると, 不等式表現の4本に対応する面は2\, 次元面 (ファセット) であり, 他に6個の1\, 次元面 (辺) と4個の0\, 次元面 (頂点) を持つ. 一般に有界な凸多面体は頂点全体凸包一致し, 全次元的な凸多面体はファセット対応した不等式一意的に表現できる (不等式両辺正数倍しても同じものとみなす). 凸多面体自身空集合便宜上面とすると, 面全体包含関係に関して束となり, 凸多面体の面束 (face lattice) とよばれる. 同型な面束を持つ凸多面体を互いに組合せ的に同型 (combinatorially equivalent) とよぶ. 束の順序関係逆にしても束となるが, 任意の凸多面体の面束の順序関係逆にした束と同型な面束を持つ凸多面体が常に存在し, これは, 元の凸多面体の双対多面体 (dual polytope) とよばれる.

 凸多面体は計算幾何学重要な研究対象であるばかりでなく, 組合せ最適化問題実行可能解全体表現あるいは近似的に表現するための有益な道具である. 多面体理論の項目も参照されたい.



参考文献

[1] A. Brondsted, An Introduction to Convex Polytopes, Springer-Verlag, 1980.

[2] G. L. Nemhauser and L. A. Wolsey, Integer and Combinatorial Optimization, Wiley-Interscience, 1988.

[3] G. M. Ziegler, Lectures on Polytopes, Springer, 1995.

「OR事典」の他の用語
計算幾何:  位相優先法  八分木  凸包  凸多面体  凸集合  動的ボロノイ図  区間木



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