XEmacsとGNU Emacs
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/10 02:18 UTC 版)
「XEmacs」の記事における「XEmacsとGNU Emacs」の解説
XEmacsの主要な開発者の中には、XEmacsとGNU Emacsとの分断を公言する者もいる。例えば、Stephen Turnbullの両側からの議論の要旨。XEmacsとGNU Emacsとの主な相違点の1つとしては、著作権譲渡の見解が異なることが挙げられる。FSFはGPL侵害に対してコードを守れるようにするために著作権譲渡が必要であるとしているが、XEmacsの開発者は著作権譲渡がないことで、主要な企業が関与することが可能になると主張している。これは企業がコードのライセンスを発行できる場合でも株主の信認義務を気にした慎重な態度のため、企業がコードを全て譲渡してもよいという許可を得るのに苦労するかもしれないためである。 FSFは、XEmacsとGNU Emacsとのマージを試みたり、それぞれのクロス開発を行うにあたって事前に著作権を譲渡されたため、ほとんどのXEmacsコードの著作権を保持している。XEmacsコードの新しい要素がGNU Emacsに加わるかどうかは、FSFにコードを譲渡する寄稿者個人がそれをしたいかどうかに依存することが多い。XEmacsかGNU Emacsのどちらか一方に組み込まれた新しい機能は、遅かれ早かれ他方にも組み込まれることが普通である。さらに開発者の多くはXEmacsプロジェクトおよびGNU Emacsプロジェクトの両方に寄与している。 XEmacsプロジェクトはGNU Emacs APIとの互換性を維持する方針である。その例として、XEmacsはネイティブ部分の機能を媒介するオーバーレイを実装する互換レイヤーを提供する。XEmacsの開発者は、特にLispレベルでGNU Emacsと互換性のあるコードを維持するよう努力している。 XEmacsの開発は遅くなってきている。最も新しいstableのバージョン21.4.22は2009年1月にリリースされた。XEmacsにはGNU Emacsから多くのコードが組み込まれているが、GNU Emacsには以前はXEmacsにしかなかった機能の多くが実装されてきている。これにより、ユーザーの中にはXEmacsの死を宣言し、XEmacsの開発者はXEmacsの代わりにGNU Emacsへ貢献するよう主張する者もいる。 GnusやDiredといった主要なパッケージの多くはXEmacsとGNU Emacsの両方で動作するよう開発されていたが、Gnusの主要な開発者はXEmacsのサポートを中止した他の類似のパッケージを引用して、メインのEmacsトランクの中にGnusのツリーを移動し、XEmacsと互換性のあるコードを削除するつもりであることをアナウンスした。 2015年12月、XEmacsプロジェクトのメンテナであるStephen J. Turnbullは、XEmacsプロジェクトは開発者の減少とGNU Emacsの進化により、将来のGNU Emacsとの互換性に関しては「分岐点にある」というメッセージをXEmacs開発リストに投稿した。将来の方向として、開発を完全に終了する、現在バージョンのGNU Emacsから新しいフォークを作成する、または誰かが将来開発を再開したい場合に備えてXEmacsプロジェクトをメンテナンスモード(英語版)にするなどの選択肢が提示された。そして貢献者個々人からウェブサイトと開発リソースのサポートを最小限提供するという約束を取り付け、最後の選択肢であるXEmacsプロジェクトのメンテナンスモード化が決定した。
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