バンパイアキラー
(VAMPIRE KILLER から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/31 06:14 UTC 版)
ジャンル | アクションゲーム |
---|---|
対応機種 | メガドライブ |
開発元 | コナミ |
発売元 | コナミ |
プロデューサー | 桐田富和 |
音楽 | 山根ミチル |
シリーズ | 悪魔城ドラキュラシリーズ |
人数 | 1人 |
メディア | 8メガビットROMカセット |
発売日 | ![]() ![]() ![]() |
『バンパイアキラー』(VAMPIRE KILLER、北米: Castlevania: Bloodlines、欧州: Castlevania: The New Generation)は、コナミ(現・コナミデジタルエンタテインメント)から1994年3月17日(日本では3月18日)に発売されたメガドライブ用ソフトのアクションゲーム。「悪魔城ドラキュラ」のタイトルは冠していないが、悪魔城ドラキュラシリーズの1作で、唯一メガドライブでの作品。
本作は発売前の時点では、吸血鬼ドラキュラを題材にした世界のイメージと基本的なシステムは悪魔城ドラキュラシリーズを踏襲しているが、その続編ではなく、まったく新しい「コナミのホラーアクション新シリーズ」とされていた[注 1]。また、発売当時には「ドラキュラ外伝」と紹介され、外伝として位置付けられていた。本作はゲーム雑誌上でユーザー参加企画(後述)が行われるなどしていたが、当初予定より延期されて発売され、開発中の画像には製品版には存在しないゲーム画面もあるなど、ゲーム内容の変更もあった。
2019年には『悪魔城ドラキュラ アニバーサリーコレクション』(5月16日配信)[1]や、メガドライブの復刻版ハードメガドライブ ミニ[2](9月19日発売)に収録された。悪魔城ドラキュラ公式サイトで「現在では入手困難なプレミア品」と紹介されたこともある[3]
システム
基本的に従来同様、ジャンルとしてはステージをクリアして最終ボスを倒す、横視点スクロールのステージクリア型2Dアクションである[4]。全6ステージで、ステージによってはちょっとした分岐ルートも存在する。シリーズ定番の鞭を武器とする主人公に、槍を武器とする主人公も加えたダブル主人公選択制を採用し、ゲーム開始時にどちらか1人を選択してスタートする(プレイ中のキャラクター変更は不可)。パスワード・コンティニュー制。オプション画面で難易度などを変更できる。従来のシリーズ作品と比較しての本作の特徴は以下の通り。
- これまでのシリーズ作品では悪魔城内部及びその周辺を各ステージとして区切っていたのに対し、本作は1917年の第一次世界大戦中のヨーロッパを舞台としており、ステージごとに舞台となる国を移動する。
- サブウェポンの使用に必要なアイテムの名称及び形状は伝統的に「ハート」だったが、本作では「ジュエル」という宝石型のアイテムとなっている。
- 従来はメイン武器のパワーアップは3段階(革の鞭 → 鎖の鞭 → 長い鎖の鞭)というのが伝統だったが、本作では更にその上の4段階までパワーアップする。ただし、4段階目の状態でダメージを受けると3段階目に戻ってしまう。また、4段階目でジュエル数が8以上ある状態では、サブウェポンがジョニーは敵を追尾、エリックは画面全体を拡散して攻撃する究極のサブウェポンに変化する。
- サブウェポンの種類が従来と異なる。悪魔城ドラキュラシリーズのサブウェポンと言えば、ナイフ・斧・聖水・クロス・懐中時計の5つが伝統的に使われてきたが、本作ではブーメラン・斧・聖水の3種類である。ただし、各サブウェポンごとに通常使用と、ジュエルを多く消費し強力な攻撃を繰り出す強化使用の2種類があり、主人公ごとの究極のサブウェポン2種も加えると、種類としては全8種存在する。
- 多関節[注 2]で動くボス敵が多い。
キャラクター
- ジョニー・モリス(Johnny Morris[注 3])
- 本作の主人公の1人。1895年12月12日生まれ、アメリカ・テキサス州出身のアメリカ人。22歳。吸血鬼ハンターの名門・ベルモンド一族の血を引くバンパイアハンター。モリス家に伝わる妖鞭バンパイアキラーを武器とする。通常時、鞭は正面に向かってしか振る事ができないが、滞空時のみ斜め上と真下にも振る事ができ、その際に鞭を天井に引っ掛ける「ロープフック」が使える。これを利用すれば通常のジャンプでは届かない遠くの足場まで移動できるうえ、一時的に無敵状態になれる。武器は革の鞭 → 鎖の鞭 → 長い鎖の鞭 → 波動鞭の4段階にパワーアップする。究極のサブウェポンは、渦巻が画面中を暴れて敵を追尾する「水龍」。日本版と米国版ではパッケージイラストのルックス、ファッションともに異なり、日本版ではゲーム内グラフィックに忠実なレザーのベストにサスペンダーを着用しているが、米国版ではフリルシャツにジャケットを着用している。
- エリック・リカード(Eric Lecarde)
- 本作の主人公の1人。1892年5月3日生まれ、スペイン・セゴビア出身のスペイン人。25歳。元は芸術を愛する青年だったが、恋人を吸血鬼に変えてしまったエリザベートに復讐するためバンパイアハンターとなった。妖槍アルカードスピアを武器とする。武器を振る速度がジョニーより遅く(しゃがみ状態の攻撃のみジョニーより速く振る)、3段階目以上になると射程はジョニーより長くなる。しかし槍は刃先にしか攻撃判定がないので、3段階目以上にパワーアップして槍が伸びると手元の攻撃が疎かになる。立ち状態で方向キーを入れながら攻撃ボタンを押すと、左右、斜め上、真上の5方向に槍で突ける(滞空時は横と真下のみ)。横に槍を突いた場合のみ、槍が伸び切った後に反対側の方向キーを押せば、槍を振り回しつつ反転しての全方位への攻撃が可能で、更にその後にまた反対側にキーを入れれば何度でも連続して回転攻撃を続けられる。特殊な移動方法として、一定時間しゃがみ続けてジャンプボタンを押すと、槍を利用して真上方向へ高く飛ぶ「スピア・ハイジャンプ」ができる。これを利用すれば通常のジャンプでは届かない高い足場まで移動できるうえ、一時的に無敵状態になる。武器は槍 → 三又の槍 → 長い三又の槍 → 火炎残像槍の4段階にパワーアップする。究極のサブウェポンは、電撃が画面全体に拡散する「雷電槍」。
開発当初のキャラクターイラストでは髪が緑色だったが、途中で金髪に変更された。ゲーム中ではデモシーンは金髪、プレイヤーキャラクターとしてのグラフィックは緑色の髪のままである。
- キンシー・モリス(Quincy Morris)
- ジョニーの父親で、ベルモンド家の血を引いている。1897年にドラキュラとの戦いに終止符を打ち、永遠の眠りにつかせた。ストーリー紹介に名前が出てくるだけで、説明書のキャラ紹介にもゲーム中にも登場しない設定上の人物。
- ドラキュラ伯爵(Dracula)
- 吸血鬼。エリザベートの叔父にあたる。幾度となく蘇り、人間との長い争いを続けてきたが、キンシーとの戦いに敗れて灰と化した。しかし怨念だけは残っており、今回の戦いの原因となっている。
- ドロテア・ツェンテス(Drolta Tzuentes)
- 魔女。エリザベートの下僕である謎の老婆で、魔物達を操る。ドラキュラ第一形態が倒されると自ら戦いを挑んでくる。雑誌「ビープ!メガドライブ」では「彼女は死神の仮の姿だという説もあるが、真偽はさだかではない」と書かれているが[5]、説明書のキャラクター紹介にそのような説明はなく、ボス戦などゲーム中でもドロテアと死神は別になっている。
- エリザベート・バートリー(Elizabeth Bartley)
- ドラキュラ伯爵の姪にあたる女吸血鬼。300年前に処刑されたが蘇った。邪悪な儀式によってサラエボでのオーストリア皇太子暗殺事件を引き起こし、第一次世界大戦勃発を招いた張本人。ヨーロッパ中の人間の魂を捧げることで、ドラキュラを復活させようとしている。戦闘の途中でメデューサに変身(あるいは召喚?)する。
- 死神(Death)
- シリーズ恒例のボスにして、本作ではステージ6の中ボス。最初は八枚のカードを出し、攻撃したカードに応じた攻撃もしくは回復アイテムを出したり、倒したボスを召喚してくる。カードが尽きると空中を飛びながら、鎌による攻撃を繰り出してくる。
- プリンセス・オブ・モス(Princess of Moss)
- ステージ5のボス。登場時は貴族風の女性の姿だが(説明書のステージ紹介にはマリー・アントワネットの亡霊とある)、一定のダメージを受けると巨大な蛾の正体を現す。なお、エンディングスタッフロールでは上記の英語表記になっているのだが、「蛾」は英語で「moth」であり、「moss」だと「苔」の意味になってしまう。
- ギアスチーマー(Gear Steamer)
- ステージ4のボス。歯車の集合体。体当たりや歯車を投げつけて攻撃してくる。コミカルな動きが特徴。
- ガーゴイル(Gargoyle)
- ステージ3のボス。コウモリのような翼と長い尻尾を持つ巨大な怪物。空中を飛び回る。
- ゴーレム(Golem)
- ステージ2のボス。岩石で構成されたボディを持つ胴長短足のゴーレム。ボスの中で最も巨大だが動きは鈍く、瓦礫を降らせ攻撃してくる。
- アーマーバトラー(Armor Battler)
- ステージ1のボス。巨大な動く甲冑。両手に槍と斧を携えている。最終ステージでは通常の敵として登場する。
開発
1993年に同年末発売に向けて開発が開始され、開発スタッフのはなてんはこれまでのシリーズの雰囲気を活かしながら、屋外ステージを増やし、多関節キャラクターなどメガドライブでしか見られない場面を多く取り入れると語っていた[6]。
同年の東京おもちゃショーに出品するも、この時点で開発率は10%であり、試遊はできたものの途中で止まってしまい、同時期に開発されていたPCエンジン向けタイトルの『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』の方が出来が良かったことで、メガドライブユーザーは悔しがっていたとされる[7]。
東京おもちゃショー出品後、システムとしてはほぼ完成していたが、「ユーザーに満足してもらうため」(はなてん)、「メガドラ市場には半端なものは出せない」(山根ミチル)などの開発スタッフの意向により1993年秋時点で1994年春発売に延期された[8]。また、はなてんからは独自色を出したいために敢えてタイトルに「ドラキュラ」を入れなかった点や槍を使った主人公を登場させたこと、本作がはなてんにとって「ドラキュラ3部作」の内の2部に当たり、従来シリーズに、菊池秀行の影響を受けた自身の解釈を加えた作品になっていることが語られた[8]。山根にとって本作は初めて手掛けた悪魔城ドラキュラシリーズ作品となった[9]。作曲に当たって山根はこれまでのシリーズ作品の音楽を全て聞き直し、クラシック音楽を参考にしつつ、自分の独自色を出すことに注力したと語っている[10]。またメガドライブは搭載しているFM音源の発音は綺麗だが、PCM音源はあまり綺麗に鳴らないため、鮮明に聞こえるように調整したと語っている[10]。
ユーザー参加企画
開発中にメガドライブ専門ゲーム雑誌「メガドライブFAN」誌上にて、ゲームに登場する敵キャラクタとステージトラップのアイデアを読者から募集する「コナミ & メガドライブFAN特別共同企画」というアイデアコンテストが行われ、最優秀賞には金、優秀賞には銀、入賞(3枠)には銅色のオリジナルロムカセットの本作バンパイアキラーが賞品として受賞者に送られた。ゲーム中には下記の最優秀作品が登場している。
- 敵キャラクタ部門最優秀賞: 金賞「フライング・ビートル・ローラー」(ステージ4に登場する甲虫のような敵)、銀賞「首狩りコウモリ」(ステージ5に登場する鎌のような腕を持つ吊り下がった敵)
- ステージトラップ部門最優秀賞: 「シルエット・デーモン」(ステージ5に登場。トロンプ・ルイユの『ルビンの壷』を思わせる柱の中ボス)
スタッフ
- プロデューサー: 桐田富和
- スーパーバイザー: 春木豊
- プログラマー MK1: Hanaten(山村としき)
- エネミープログラム: 武田長
- トラップ & エネミープログラム: 堀尾健一郎
- ワンダリングプログラマー: 古俣浩二
- プログラム: 稲邑秀也
- メインデザイナー: Bunmin(関貞策)
- デザイン: Mamuun(島村信一郎)
- スペシャルデザイン: TAT(高野泰)、Norio Takemoto
- サウンドプログラム: 藤尾敦、笠井治
- サウンドデザイン: 山根ミチル
- パッケージデザイン: M.Yoshihashi(吉橋真弘)、Kaori Sasaki
他機種版
No. | タイトル | 発売日 | 対応機種 | 開発元 | 発売元 | メディア | 型式 | 売上本数 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 悪魔城ドラキュラ アニバーサリーコレクション |
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Nintendo Switch PlayStation 4 Xbox One PC(Steam) |
M2 | KDE | ダウンロード | - | - | 収録ソフトの一つ アップデートにより英語版(Castlevania Bloodlines)が追加 |
2 | バンパイアキラー Castlevania: Bloodlines Castlevania: The New Generation |
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メガドライブ ミニ | M2 | セガゲームス | プリインストール | - | 本体にあらかじめ収録されている42タイトルの中の一つ。 | |
3 | セガ メガドライブ for Nintendo Switch Online |
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Nintendo Switch | 任天堂 M2 |
任天堂 | ダウンロード | - | - |
レビュー
評価 | ||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
|
ゲーム誌「ファミコン通信」のクロスレビューでは、合計で28点(満40点)[12]。「メガドライブFAN」の読者投稿によるゲーム通信簿での平均点は、以下の通りで21.7点(満30点)であった[13]。
項目 | キャラクタ | 音楽 | お買得度 | 操作性 | 熱中度 | オリジナリティ | 総合 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
得点 | 3.8 | 3.7 | 3.3 | 3.7 | 3.9 | 3.3 | 21.7 |
「懐かしのメガドライブ 蘇れメガドライバー !!」(2018年出版)では、ゴシックホラーの世界観の中、したたり落ちる血の表現や、建物のゆらめき、水面に映る建物の表現など、プレイヤーを視覚的に驚かせるギミックが多数盛り込まれている。高難易度でライトユーザーを寄せ付けない雰囲気もあるが、シリーズになれたプレイヤーなら順応できる作品と評された[4]。
脚注
注釈
出典
- ^ “シリーズ初期の8タイトルを収録!「悪魔城ドラキュラ アニバーサリーコレクション」発売決定”. セGAME Watch (2019年4月19日). 2019年4月19日閲覧。
- ^ “メガドライブミニ公式サイト>VAMPIRE KILLER(バンパイアキラー)紹介ページ”. セガ (2019年3月31日). 2019年3月30日閲覧。
- ^ 悪魔城ドラキュラシリーズ総合サイト - ウェイバックマシン(2016年8月12日アーカイブ分)
- ^ a b 株式会社QBQ編 『懐かしのメガドライブ 蘇れメガドライバー !!』マイウェイ出版発行、2018年。ISBN 9784865118704 p70
- ^ [1]
- ^ 「ザ・談会 スペシャルトーク」『BEEP! メガドライブ』第9巻第7号、ソフトバンク、1993年7月1日、85頁。
- ^ 「今年のおもちゃショーは」『BEEP! メガドライブ』第9巻第8号、ソフトバンク、1993年8月1日、84頁。
- ^ a b 「BE-MEGA HOTMENU バンパイアキラー」『BEEP! メガドライブ』第9巻第11号、ソフトバンク、1993年11月1日、91頁。
- ^ ウワーマン (2024年3月18日). “MD『バンパイアキラー』30周年。メガドライブ後期の『悪魔城ドラキュラ』シリーズ作。激レアで数年前まで入手困難だった【今日は何の日?】”. ファミ通.com. KADOKAWA Game Linkage. 2025年7月22日閲覧。
- ^ a b 「BE-MEGA HOTMENU バンパイアキラー」『BEEP! メガドライブ』第10巻第4号、ソフトバンク、1994年4月1日、85頁。
- ^ ““Nintendo Switch Online+追加パック”が本日よりサービス開始。ニンテンドウ64やメガドラソフトが楽しめる! 11/5からは『あつ森』DLCも!!” (日本語). ファミ通.com. KADOKAWA (2021年10月26日). 2021年10月31日閲覧。
- ^ a b “バンパイアキラー [メガドライブ]/ ファミ通.com” (日本語). Gzブレイン. 2015年7月5日閲覧。
- ^ a b 「超絶 大技林 '98年春版」『Play Station Magazine』増刊4月15日号、徳間書店 / インターメディア・カンパニー、1998年4月15日、873頁。
- ^ “Castlevania: Bloodlines for Genesis - GameRankings”. GameRankings. 2013年11月16日閲覧。
外部リンク
悪魔城ドラキュラ (MSX2)
(VAMPIRE KILLER から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/30 04:36 UTC 版)
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|
ジャンル | 横スクロールアクション |
---|---|
対応機種 | MSX2 Wii Uバーチャルコンソール[VC] |
開発元 | コナミ |
発売元 | コナミ |
プロデューサー | 永田昭彦 |
デザイナー | 永田昭彦 |
プログラマー | A.Harima 赤田勲 長江勝也 |
音楽 | 山下絹代 寺島里恵 |
美術 | F.Hayakawa |
シリーズ | 悪魔城ドラキュラシリーズ |
人数 | 1人 |
メディア | 1メガビットロムカセット |
発売日 | MSX2![]() ![]() Wii Uバーチャルコンソール ![]() |
対象年齢 | CERO:A(全年齢対象) |
『悪魔城ドラキュラ』(あくまじょう-、英題: Vampire Killer)は、コナミから1986年10月30日に発売されたMSX2用ソフトのアクションゲーム。
概要
悪魔城ドラキュラシリーズの2作目。タイトルやパッケージイラスト、BGM(アレンジはMSX2用)、キャラクター、基本的なアクションなどは、本作とほぼ同時期に開発され1か月前(9月26日)に発売されていた第1作ファミリーコンピュータ ディスクシステム版と共通しているが、全体のゲームシステムはMSX2版独自のものになっている。ステージ内でのアイテム探索要素があり、アイテムも増えてステージ構成や一部のキャラクター、ストーリーなどもファミコン版とは多少異なっている。舞台は10世紀後半に興ったヨーロッパのゲルマン都市トランシルバニア国の「古城カルパートの塔」であり、古くから「英雄クリストファー伝説」として伝わるクリストファーがカルパートの塔に封じていたドラキュラの復活に際し、主人公シモンが立ち向かう。
コナミが発売した最初のMSX2用ゲームである。
ゲーム内容
システム
老婆からアイテムをハートと交換して購入したり、ステージ内のどこかにあるホワイトキーを取らないと次のステージに進めないなどの本作独自の要素がある。燭台を破壊するとアイテムが出現するのはファミコン版と同様だが、本作では宝箱があちこちに配置されており、小鍵を所持しているとこれを開けてアイテムを入手することができる。
ハードウェアスクロール機能は縦方向しか持たないMSX2の制約のため、画面はスクロールせず、画面切り替え方式を採用している。ステージマップ構成はおおむねファミコン版を踏襲しているが、主に上下方向に大きく拡張され、複雑化している。一部のマップでは穴に落ちても死なずに下の画面に移動できる(渡り廊下ステージのように下画面が用意されていない箇所ではファミコン版と同様に死亡する)ほか、ステージマップが左右方向で(一部のステージでは上下方向でも)無限ループとなっている箇所がある。ファミコン版にはあったTIME(時間制限)が存在しない点も含め、純粋なアクションゲームというよりは謎解き要素を持った探索型アクションRPGといえる。
バイタリティ+残機制であるのはファミコン版と同様。コンティニューは存在しない。また、エクステンドも存在せず、シモンが3人死亡した時点でゲームオーバーとなる。全2周エンド。
コナミから発売されていた「コナミのゲームを10倍楽しむカートリッジ」あるいは「コナミの新10倍カートリッジ」を併用する事で初期残機数や開始ステージを変更したり、好きなタイミングでのディスクセーブ(新10倍のみ)が行える。エクステンドやコンティニューが無い本作では重宝する機能である。
BGMはファミコン版と同じ曲のアレンジ違いだが、エンディングスタッフロールの曲のみMSX2版オリジナル曲である。
アイテム
城内にはさまざまなアイテムが隠されており、これらを入手することでシモンを強化できる。アイテムは、老婆との取引や宝箱から入手できるほか、消費アイテムや即効アイテムは燭台を壊すことで入手できる。ハートやドル袋は雑魚モンスターを倒すことでも入手できる。
所持アイテムは一部を除き、3ステージごとの中ボスを倒して次のステージに進むと失われる(ハートの所持数はそのまま / リトライ開始時はハート5個)。
武器
MSX2版では、初期武器である不思議なムチ以外の武器を主武器とすることができる。性能は以下の通り。
- 射程
- (短) ムチ < ネメシスの鎖 < バトルアックス < バトルクロス < 勇者の剣 (長)
- 威力
- (弱) ムチ = 勇者の剣 < ネメシスの鎖 = バトルクロス < バトルアックス (強)
- ネメシスの鎖
- ムチの威力とリーチが強化されたもの。ファミコン版と異なり段階強化はない。この武器に限り燭台からも入手でき、既に鎖を装備している場合はハート(小)に変わる。
- 勇者の剣
- 投げつけるタイプの小剣。威力は低いが2連射でき、間違って他の武器を入手しない限り武器を失う心配も無い。貫通はしない。
- バトルクロス
- 投げつけ、手元に戻ってくる青い十字架。アックスと比べて速度が速く、y座標の9/16(つまり横幅の半分強)まで到達する。回収し損ねると失い、主武器がムチに戻る。
- バトルアックス
- 投げつけ、手元に戻ってくる斧。ファミコン版と異なり、放物線は描かず前方に真っ直ぐ飛び戻って来る(高次面にいる敵「アックスファイター」が持つ武器と同じ)。高威力だが、到達距離はy座標の3/16と短く速度も遅い。回収し損ねると失い、主武器がムチに戻る。なおバトルクロスとは違い、壊せる壁を破壊すると「その場に落下(正確には、その壊せる壁に接した座標にリポップ)して手放した状態」になるため、使い続けるには都度一定時間内に回収する必要がある。
装備品
これらは全て同時に所持できる。その代わり、中ボスを倒した次のステージでは全て失われる。
- 聖水
- ハート5つと引き換えに、聖水の瓶を放物線状に投げ上げる。ジャンプ中に左右キーで投げる。ダメージはバトルアックスに匹敵し、貫通する上に落下箇所で0.5秒程度だが炎上するため、当たり判定のトータル時間は長いが、ダメージはあくまで単発であるなど、それほど使い勝手はよくない。
- 砂時計
- ファミコン版でいう懐中時計。ハート5つと引き換えに、全ての敵(ボスも例外では無い)と弾の動きを約5秒止める。ジャンプ中に下キーで発動する。
- 取らずに攻撃することで、砂時計が横倒しになる。この状態で入手すると、砂時計としての効力が得られない代わりに全ての時間制アイテムの有効時間が1.5倍に延びる。このときに再度攻撃すると消滅する。
- 地図
- F2キーでステージ内マップを3回まで閲覧できる。中ボス撃破後や死亡しても手元に残る。所持している状態で取得すると、使用回数がリセットされる。
- 盾A(赤)
- 敵モンスターの前方からの体当たりによるダメージを16回まで半減する。盾B(黄)との排他装備。
- 盾B(黄)
- 敵モンスターの吐く弾を16発まで防ぐ。前方以外から受けた弾は防げない。盾A(赤)との排他装備。
以下の装備品は装備欄には常時表示されず、有効期間も若干異なる。
- ロウソク
- 壊せる壁を可視化する。中ボスを倒すまで有効。
- 壊せる壁は「鍵と宝箱、老婆が存在している場合」に限り画面を切り替えても復元し、その場所を理解していないと手詰まりに陥るステージもあるため、ルートを把握していないうちは重宝する。
- ブーツ
- 移動速度が速くなる。効果は次のステージへ持ち越せない。
- 羽根
- ジャンプの高さがわずかに高くなる。敵モンスターを飛び越えやすくなるものの、飛び上がれる高さは2ブロック分のままである。同じく次のステージへ進むと効果が消滅する。
即効アイテム
- 白いバイブル
- 老婆の取引条件が良くなる(ハートとの交換レートが下がる)。
- 黒いバイブル
- 老婆の取引条件が悪くなる(ハートとの交換レートが上がる)。マイナスアイテムであり、白いバイブルを入手するか中ボスを倒した際の全アイテム消滅以外に打ち消す方法は無い。
- 金の十字架
- 画面内の敵モンスターを全滅させる。アイテムが出現していたり、老婆が姿を現している場合も消滅する(#老婆を参照)。
- 銀の十字架
- 飛来するタイプの敵モンスターが一定時間出現しなくなる。
- サファイヤ
- シモンが赤く発光し、敵モンスター(ボスも例外ではない)と弾を一定時間体当たりで倒す。
- 水晶玉(青)
- シモンが白く発光し、敵モンスターと弾の当たり判定が一定時間無くなる。
- 水晶玉(赤)
- シモンの体力がゲージ4分の1だけ回復する。グレイト水晶の小さなもの。
- 体力回復剤
- シモンの体力が全快する薬。老婆との取引でのみ入手できる。
- グレイト水晶
- シモンの体力が全快する。中ボスを倒したときにのみ入手できる。一定時間無視するとそのままステージクリアとなる。
消費アイテム
- ハート(小)
- 99個まで所持できる。このアイテムのみ、ひらひらと漂うように落ちてくる。燭台や雑魚モンスターの落とすアイテムの大半はこれである。聖水や砂時計の使用で消費するほか、老婆との取引に使う。
- ハート(大)
- ハート(小)5つ分。
- ホワイトキー
- 白い大きな鍵。ステージ出口の扉を開けるのに必要で、ステージをクリアするため各ステージごとに探す必要がある。ステージ内に複数存在する場合もあるが、2つ以上は同時に所持できず、扉を開けると自動的に次のステージに進むため持越しもできない。多くの場合、壊せる壁の中に隠されている。
- イエローキー
- 黄色い小さな鍵。城内に点在する宝箱を開けるのに必要。2つ以上は同時に持てない。壊せる壁に隠されているほか、マップの至るところに普通に落ちている。
- ツエ
- イエローキー3回分の代わりとなる。イエローキーとの排他所持であるが、これを持っている間イエローキーは拾うことができない。唯一、入手方法(老婆による取引と宝箱からの入手)で効果音が異なる。
- ドル袋(白・青)
- 得点となる(白は5000点、青は1000点)。このゲームでは得点によるエクステンドが無く、時間制限も無いのでスコアには意味が無い。
- スライム(青・白・赤)
- アイテムの代わりに壊せる壁や燭台に潜んでいる敵モンスター。ステージ4から6までは青、7から9までは白、10以降は赤が出現する。
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この節の加筆が望まれています。
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老婆
城内に棲んでいる謎の老婆。一種のアイテムショップのような役割りで、交渉に応じてハートと引き換えることでアイテムを取得できる。ステージごとに複数の老婆がおり、それぞれ性格(見せる態度のパターン)と所持しているアイテムが決まっている。一部の老婆は、壊せる壁に隠れている。
老婆は、武器で攻撃するごとにさまざまな態度を見せ、全部で4種類ある。
- 白い衣服
- 何も無し。
- 赤い衣服
- アイテムの販売交渉。
- 茶色い衣服
- シモンにハートを5つ差し出す。あるいはシモンからハートを5つ奪う。
- 青い衣服
- ゲームの難易度を一段階上げる、もしくは下げる。説明書では一切触れられておらず、後年発売されたコナミMSXゲーム紹介本「MSX-U」で明かされた。
老婆の態度は基本的には保持されるため、すぐに画面を切り替えれば直近の老婆の態度を維持できる。但し、画面を切り替えずに放置すると老婆の衣服は白に変わり、保持していた態度も復元されなくなる。
老婆は8回攻撃するか、老婆が見えている状態で金の十字架を取得すると消滅(取引も強制終了)する。
販売額
老婆との交渉は、以下の法則がある。
- アイテムの販売額は、バイブルの有無と種類で変動する。
- 老婆の機嫌は保持される。そのため、交渉に応じなかった(あるいはハートが足りずに購入できなかった)場合でも、そのまま手を出さずに画面を切り替えて戻ってくることで再交渉できる。
- 交渉中(アイテムと要求するハートの数が提示されている状態)の猶予は30秒間であり、時間内に決めなかった場合は不成立となる。
- 画面を切り替えないまま放置した場合、老婆の衣服は白に変わり、再交渉ができなくなる。
販売アイテム | 白いバイブル | 通常価格 | 黒いバイブル |
---|---|---|---|
勇者の剣 | 30 | 50 | 90 |
バトルクロス | 10 | 20 | 80 |
盾A(赤) | 10 | 20 | 60 |
盾B(黄) | 10 | 20 | 80 |
聖水 | 10 | 30 | 50 |
砂時計 | 20 | 40 | 80 |
ツエ | 20 | 30 | 60 |
ロウソク | 15 | 20 | 60 |
体力回復剤 | 15 | 40 | 80 |
上記以外のアイテムの取引は行われない。
ステージ構成
全2周エンド。3周目は無く、スタッフロール終了後タイトルに戻る。 2周目は難易度が若干上がるが、敵やアイテム等の配置は変わらない。パッケージ写真にある「画面内にゾンビが3体同時に出現する」状況は2周目でのみ見られる。
ステージ | ステージ名 | 登場する敵キャラ | ボス |
---|---|---|---|
0 | 悪魔城入口 | - | - |
1 | 正面玄関 | ゾンビ、邪俗コウモリ、黒豹 | - |
2 | 地下室 | ゾンビ、邪俗コウモリ、半魚人(水) | - |
3 | ホール | ゾンビ、邪俗コウモリ、黒豹 | 妖魔コウモリ |
4 | 礼拝堂(1) | 邪俗コウモリ、ファイター、メデューサ | - |
5 | 礼拝堂(2) | ファイター、メデューサ | - |
6 | 礼拝堂(3) | メデューサ、ゴースト、パイルバタリー | マミー・メデューサ |
7 | 渡り廊下(1) | せむし男、ホワイト・スケルトン、大烏 | - |
8 | 渡り廊下(2) | メデューサ、ホワイト・スケルトン、大烏、パイルバタリー | - |
9 | 渡り廊下(3) | せむし男、ホワイト・スケルトン、メデューサ、パイルバタリー | ミイラ男 |
10 | 地下洞窟 | 邪俗コウモリ、半魚人(赤) | - |
11 | 中庭 | ゾンビ、せむし男、大鷲、スケルドラゴン | - |
12 | 地下通路 | スケルドラゴン | フランケン & せむし男 |
13 | 牢獄部屋 | せむし男、レッド・スケルトン、ホワイト・スケルトン | - |
14 | 実験室 | アックスファイター、レッド・スケルトン | - |
15 | 額のある部屋 | アックスファイター | 死神 |
16 | 渡り廊下(4) | 妖魔コウモリ | - |
17 | 時計台 | せむし男、大鷲、ホワイト・スケルトン、アックスファイター | - |
18 | カルパートの塔 | せむし男、アックスファイター | 魔王ドラキュラ |
ストーリー
他機種版
No. | タイトル | 発売日 | 対応機種 | 開発元 | 発売元 | メディア | 型式 | 売上本数 | 備考 |
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1 | 悪魔城ドラキュラ | 2006年 | Windows | コナミデジタルエンタテインメント | インターネットレボリューション | ダウンロード (i-revo) |
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2 | 悪魔城ドラキュラ | 2014年7月22日 | Windows | コナミデジタルエンタテインメント | D4エンタープライズ | ダウンロード (プロジェクトEGG) |
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3 | 悪魔城ドラキュラ | 2014年12月17日 | Wii U | コナミデジタルエンタテインメント | コナミデジタルエンタテインメント | ダウンロード (バーチャルコンソール) |
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スタッフ
- GAME DESIGNER: A.Nagata(永田昭彦)
- PROGRAMMER: A.Harima I.Akada(赤田勲) K.Nagae(長江勝也)
- GRAPHIC DESIGNER: S.Iwamoto N.Matsui(松井直樹) K.Mizutani A.Fujimoto
- SOUND EFFECT: K.Uehara(上原和彦)
- MUSIC: K.Yamashita(山下絹代) Satoe Terashima(寺島里恵)
- ART DESIGNER: F.Hayakawa
- PRODUCED: Akihiko Nagata
外部リンク
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