TCAS II
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 10:20 UTC 版)
TCAS II は第二世代かつ現代の TCAS であり、大多数の民間航空機で使われている(下記の表を参照)。監視範囲は半径約40海里である。TCAS I の機能をすべて含み、さらに危険を避けるための「回避指示」(Resolution Advisory : RA)を、音声とディスプレイで操縦士に指示する。鉛直方向に飛行経路の変更を伴う場合はCorrective(是正)RA とよばれ、"descend, descend"(降下せよ)あるいは "climb, climb"(上昇せよ)といった音声で、操縦士に高度を変えるよう指示する。鉛直方向に飛行経路の変更を伴わない場合はPreventive(予防的)RA とよばれ、現在の飛行経路から逸脱しないように "monitor vertical speed"(垂直速度を監視せよ)というような音声で警告が発せられる。操縦士に指示を出す前に、TCAS II システム同士で回避指示の調整が行なわれる。その結果、ある航空機に降下が指示されれば別の機には上昇が指示され、2機の距離間隔は大きくなる。 回避指示の調整は機体に搭載されている TCAS に割り当てられている固有番号の大小によって行われる。例えば大きい方が上昇、小さい方が降下というように。 2006年の時点では、ICAO の ACAS II に適合した実装は TCAS II のバージョン 7.0 のみで、ロックウェル・コリンズ社とハネウェル社の二社から提供されている。 2008年にはTCAS II version 7.1の技術基準が承認され、逐次 version 7.0 からの改修が開始されている。EASAでは2012年3月1日以降の新造機への装着、ならびに2015年12月1日までに既存の機体の改修を義務付ける提案がなされたが最終決定に至っていない。
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