カリンの類は、東南アジアあるいはアフリカなどで、重要な高級木材の一つとして知られています。どちらかと言えば、ローズウッド類に比べて一段低くみられていたといえますが、現在では重要な高級材となっています。この樹種は熱帯アジアおよびニューギニアなどに分布しています。妙なことに、パプアニューギニアでは、この木材のことをニューギニアローズウッドと呼んでいるのです。 アフリカにはP.soyauxii, P.angolensisなどがあり、それぞれの産地では、高級木材として評価され、家具、キャビネットなどに使われています。とくに前者はアフリカンパドウクと呼ばれ、世界の木材市場でよく知られています。 ■木材 心材の色は、黄褐色、橙褐色ないし赤褐色で、色の濃淡と交錯する木理のため、材面には縞状の模様があります(P.indicus)、また濃橙赤色、帯紫濃赤色(P.soyauxii) のものもあります。気乾比重は0.56~0.67でやや重硬です。P.indicus の面白いのは、この木材を削って試験管に入れ、水を注いで、それを太陽にかざすと、美しい蛍光を出すことです。昔、スペイン人は、これに何か神秘的なことを感じたのでしょうか。薬として飲んだといわれています。加工はとくに難しくなく、よく仕上ります。高価な木材のため、一般には丁寧に取扱われるので、製品にはあまり欠点は出ません。 ■用途 最近では、愛好者が減って以前に比較すると目に触れる機会が減りましたが、三味線の胴にはこの木材が使われています。家具、キャビネット、楽器、内装など、材面の美しさを利用した用途があります。スライスドベニヤ、唐木細工、指物なども重要な用途です。 |