PITマニューバ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 02:19 UTC 版)
車両を被疑車両にぶつけてスピンさせるなどし、逃走の継続を阻止する強制停止措置。PITの意味には諸説あり、Pursuit Immobilization Technique(追尾走行阻止技術)、Precision Immobilization Technique(精密走行阻止技術)、 Push It Tough(強く押す)など。いずれにしても、逃走を阻止するために車体をぶつけて被疑車両を押す、という意味が含まれる。なお、スピンさせたからと言って被疑車両が必ずしも走行不能になるわけではないので、態勢を立て直して引き続き逃走するケースも見られる。このようなケースを防ぐ為に、スピンして停止した車両を他の警察車両で取り囲んで銃を向け運転者を降車させたり、場合によっては前後・左右から警察車両をぶつけて完全に包囲する事もある。 PITは以下の三つの過程を経る。 パトカーの前部フェンダーの角あたりを、目標の後部フェンダー辺りに当てる。 当たったらそのまま舵を切り、目標のフェンダーを介して後輪に横方向の力を生じさせる。 目標は後輪に発生した横方向の力により、安定を失ってスピンする。 実行にあっては、管轄機関の当直責任者などの指令に基づく必要があるのが一般的。概ね時速50マイル(約時速80km)以下では致死性の威力行使とはならず、PITの違法性は阻却される。しかし最近では横滑り防止装置の普及により、後輪に外部から横方向の力を入力しても装置が減衰してしまうため、PITの効果が薄れているとの見解もある。 このようにPITは制度として現在は確立されており、警察官が思いつきでぶつけているわけではない。よって、同様のことを日本の警察官がやることはできず、もし場当たり的にやった場合はその警察官及び都道府県警察が刑事・民事双方で、違法性が問われる恐れがある。
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