IBOC
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 06:02 UTC 版)
IBOCはIn-band on-channelの略。アナログ放送の同周波数帯に同じ内容のデジタル放送を送出する方式。アメリカのiBiquity社によって開発された方式で2002年に、アメリカ連邦通信委員会(FCC)によって標準規格として認可された。 従来のAM放送にデジタル信号を多重化したり、AM・FM放送の割り当て帯域の両側に新たなデジタル信号を付加(Hybrid伝送)できるのが特徴である。このため従来のAM・FM放送を維持したままデジタルラジオ放送を行える。FM放送では帯域の両側の一部を削ってチャンネルを増やせ(Extended Hybrid伝送)、また帯域の全てをデジタルラジオ放送で使用することも可能(All Digital伝送)。チャンネル数はHybrid伝送で最大2チャンネル、Extended Hybrid伝送で最大3チャンネル、All Digital伝送で最大4チャンネル。伝送符号化方式ははCOFDM、音声符号化方式はHDC(High Definition Coding)。 放送エリアはアナログ放送よりかなり狭いが、デジタルラジオが受信できないエリアではアナログ放送に切り替わる。放送局の投資費用が少ないという利点がある。AM波でアナログFM放送、FM波ではCD並みのクオリティを実現できる。 HD Radio 上記の放送方式名の商標で、iBiquity社によって開発された。アメリカ合衆国で最初に採用された規格でAM、FM両方でFCCから認可されている。現在アメリカ合衆国では1968局以上が使用している。 FMeXtra Digital Radio Expressによって開発された同様の規格。アナログ放送と同周波数帯内の搬送波を使用する。HD Radio方式とハイブリッド伝送方式で互換性があるが、All Digital伝送方式やRBDSとは非互換である。コーデックはaacPlus(HE-AAC)を使用している。限定受信システムや暗号化など有料放送も可能。 DRM+ デジタル・ラジオ・モンディエール(DRM)は音声信号の他に各種のデジタルストリーム信号を同時送出することが出来、DRM+規格で35-185kbit/秒で4本までのストリーム信号でCD並の音質や静止画、動画、HTMLコンテンツ等を送出することが出来る。DRM+は従来のDRM規格の派生で174MHzまでの周波数に対応している。AACコーデックを使用しており、既存の受信機との互換性は無いが、FM周波数帯で使用出来るため将来アナログ放送を停波する国によっては普及する可能性がある。
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