HD 28185
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/26 14:31 UTC 版)
HD 28185 | ||
---|---|---|
星座 | エリダヌス座 | |
見かけの等級 (mv) | 7.80[1] | |
位置 元期:J2000.0 |
||
赤経 (RA, α) | 04h 26m 26.3227027269s[2] | |
赤緯 (Dec, δ) | −10° 33′ 02.945489682″[2] | |
視線速度 (Rv) | 50.35 km/s[2] | |
固有運動 (μ) | 赤経: 84.071 ± 0.045 ミリ秒/年[2] 赤緯: -59.750 ± 0.039 ミリ秒/年[2] |
|
年周視差 (π) | 25.3642 ± 0.0407ミリ秒[2] (誤差0.2%) |
|
距離 | 128.6 ± 0.2 光年[注 1] (39.43 ± 0.06 パーセク[注 1]) |
|
絶対等級 (MV) | 4.8[注 2] | |
物理的性質 | ||
半径 | 1.03 R☉[3] | |
質量 | 1.02 ± 0.06 M☉[3] | |
表面重力 | 27 G[3][注 3] | |
自転速度 | 2.54 ± 1.02 km/s[4] | |
スペクトル分類 | G5[1] | |
光度 | 1.02 L☉[4] | |
表面温度 | 5,662 K[3] | |
色指数 (B-V) | 0.750[1] | |
色指数 (V-I) | 0.79[1] | |
金属量[Fe/H] | 0.23[3] | |
年齢 | 5.36 ×109 年[5] | |
他のカタログでの名称 | ||
BD−10 919, GSC 05317-00733, HIP 20723, SAO 149631 | ||
■Template (■ノート ■解説) ■Project |
HD 28185は、地球から約129光年の距離に存在する太陽に似たG型主系列星である。天球上では、エリダヌス座の方角に位置する。HD 28185という名称は、20世紀初頭に編纂されたヘンリー・ドレイパーカタログにおける番号である。この恒星は、そのハビタブルゾーン内に巨大ガス惑星(太陽系外惑星)を持つことが知られている。
距離と明るさ
ガイア衛星による観測の結果、HD 28185の年周視差は25.36ミリ秒と求まり、これから距離を計算すると39.4パーセク(129光年)と求められた[2]。地球からの距離が25パーセクを超えることから、この恒星はグリーゼ近傍恒星カタログには掲載されていない。恒星の見かけの等級は7.80等で、肉眼では見ることができず、観測には望遠鏡が必要である[1]。
恒星の性質
太陽 | HD 28185 |
---|---|
![]() |
![]() |
HD 28185は、その質量、半径、光度において太陽とよく似ている[4]。主系列星であり、コアでの水素の核融合反応によりエネルギーを生み出している。スペクトル分類はG5で、これは太陽よりも若干温度が低いことを意味する[1]。他の多くの太陽系外惑星を持つ恒星と同様、太陽に比べ金属量に富んでおり、鉄の含有量は太陽の1.7倍にもなる[3]。その自転周期はおよそ30日で、太陽の25.4日と比べると遅い[4][6]。
彩層活動の活発さを測る指標に基づいて、HD 28185の年齢を推定すると、彩層活動が活発でない恒星が誕生から約29億年を経過した場合とよく合っている。一方で、恒星進化論を元とした理論からは、約75億年という年齢が導出されている[4]。
惑星系
2001年、ジュネーブ天文台のグループによる、ラ・シヤ天文台におけるドップラー分光法の観測から、HD 28185の周りを公転周期1.04年で周回する、木星サイズの惑星HD 28185 bが発見された[4]。HD 28185 bの存在は、1997年から2001年にかけて行われたMagellan Planet Search Programによる観測でも確認されている[7]。
それまでに見つかっていた長い公転周期を持つ太陽系外惑星は、多くが軌道離心率の高い惑星で、円軌道に近い系外惑星は少なかったが、HD 28185 bは離心率が低い軌道を持つ惑星であった[8][9]。そのため、HD 28185 bは完全にHD 28185のハビタブルゾーン内に収まっている[5]。この軌道では、日射量が地球と同程度になるため、HD 28185 bに衛星が存在すれば、その衛星は生命が存在可能であるかもしれないと期待されている[10][11]。たとえ衛星が無くとも、小さな惑星がHD 28185 bのトロヤ点に存在すれば、居住可能性は高い、とする考えも提示されている[5]。
HD 28185の観測データからは、さらに長期の視線速度の変化が検出されている。これはHD 28185 bの外側に未発見の伴天体が存在することを示唆している[12][7]。2022年、ドップラー分光法とアストロメトリ法を使用してbの外側を公転するHD 28185 cの存在が確認された。このときに測定された質量は木星の20倍であったため、当初HD 28185 cは褐色矮星とされていた[13]。しかし、2024年のフォローアップ観測により修正され、HD 28185 cは木星の6倍の質量を持つ惑星であり、HD 28185 bと類似していることが判明した[14]。
名称 (恒星に近い順) |
質量 | 軌道長半径 (天文単位) |
公転周期 (年) |
軌道離心率 | 軌道傾斜角 | 半径 |
---|---|---|---|---|---|---|
b | ≥5.85±0.08 MJ | 1.034±0.006 | 1.0566±0.0002 | 0.063±0.004 | — | — |
c | 6.0±0.6 MJ | 8.50+0.29 −0.26 |
24.9+1.3 −1.1 |
0.15±0.04 | 66+11 −9 または 114+9 −11° |
— |
脚注
注釈
- ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
- ^ 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。小数第1位まで表記
- ^ 出典での表記は、
04h 26m 26.3227027269s, −10° 33′ 02.945489682″
「HD 28185」の例文・使い方・用例・文例
- HD 28185のページへのリンク