Elmerina caryae (Schw.) Reid
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/30 04:03 UTC 版)
「ムカシオオミダレタケ」の記事における「Elmerina caryae (Schw.) Reid」の解説
子実体は樹皮面にべったりと広がり、まったくかさを形成しないか、あるいはごく狭い棚状の反転部を有するにとどまる。子実体の周縁部は子実層托を形成せず、平滑で白色を呈する。子実層托は微細な管孔状で、幼時は帯黄灰色ないし帯褐灰色または帯桃灰色であるが、次第に灰褐色となり、傷つければ暗褐色に変わる。肉はごく薄く、生の時にはやや弾力に富んだ肉質であるが、乾燥すると脆い革質となる。胞子は無色・平滑でソラマメ形ないし腎臓形をなす。スピナを備えるがグレオシスチジアはない。子実体の組織は、かすがい連結を備えた細い薄壁菌糸と、太くてかすがい連結を欠いた厚壁菌糸とで構成されており、菌糸の隔壁孔の構造はヒメキクラゲ型(Exidioid)である。子実体組織の断片あるいは胞子を分離源とした培養が可能で、培地上に這った菌糸は子実体の構成菌糸と同様にかすがい連結を備えるいっぽう、培地の表面から立ち上がった気中菌糸は、かすがい連結を形成しない。高圧蒸気で滅菌したヤマナラシの木片に、あらかじめ純粋培養しておいた菌株を接種すれば、実験室内で子実体を形成させ、成熟に至らせることもできる。マツ属(Pinus)・モミ属(Abies)・フウ属(Liquidamber)・ヌマミズキ属(Nyssa)・カエデ属(Acer)・ハンノキ属(Alnus)・ブナ属(Fagus)・トネリコ属(Fraxinus)・ ヤマナラシ属(Populus)・ユリノキ・ナシなど、さまざまな樹木の倒木や枯れ枝上に発生する。カバノキ属(Betula)の材片に発生することもある。なお、材の腐朽型は白色腐朽である。北アメリカ・ヨーロッパに広く分布するほか、ベネズエラ・アフリカ(エチオピアおよびケニヤ)・ニュージーランドからも見出されているが、日本からはまだ未報告である。タイプ標本は、北アメリカ・ペンシルベニア州のナザレス(Nazareth)において、クルミ科ペカン属の一種(Carya alba)の落ち枝に発生していたもので、種小名も宿主の属名に由来している。なお、本種をAporpium 属に置き、A. caryae (Schwein.) Teixeira & D.P. Rogers の学名のもとに扱う意見や、Protomerulius 属の一員として P. caryae (Schwein.) Ryvarden の学名を用いる見解もある.
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