EU全体の政策にかかる負担の分担
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 04:26 UTC 版)
「イギリスの欧州連合離脱是非を問う国民投票」の記事における「EU全体の政策にかかる負担の分担」の解説
EU加盟国は、協調して負担を公正に分担するよりも自らの義務を最小化し他の加盟国に負担を可能な限り押し付けようとしている。この傾向はとりわけリーマン・ショック以降に顕著になってきている。加盟国が負担を押し付け合うようになった結果、EU全体にかかるコストは大きくなってしまう。EUの首脳らはその場しのぎの金銭的・政治的コストに重点を置き、これらの危機に続く長期的な多岐に渡る結果に焦点を置こうとしない。 PIIGS諸国の問題にしても、それら経済危機にある加盟国への金銭支援にかかる負担はEU加盟国で分担される。だがドイツは自らの負担が大きくなることを拒んでいる。ドイツ側は「債務返済は道徳的義務であり罪深き浪費への償いでもある」と主張し、ギリシャの債務減免を拒否している。2010年時点でギリシャ政府債務の減免がなされていればフランスやドイツの銀行への悪影響は小さなものだったはずである。 難民問題にしても、南欧諸国に最初に入国した難民が(質の高い福祉を求めて)ドイツに向かう。ギリシャやイタリアはダブリン規約を無視し、難民が北側に移動するのを止めようとしない。それら南欧諸国は難民にかかる経済的・政治的負担を北側に押し付けるのである。 EU予算への貢献度 イギリスはEUの予算に貢献しているが見返りが少ない。2013年度にはEUには約170億ユーロ支払っており、一日あたり約3500万ポンド支払っていることになる。だがEUからは63億ユーロ分しか支払われない。正味の貢献額はドイツに次いで2位である。イギリス独立党のSuzanne Evansは、イギリスが毎週3億5000万ポンドもの金額をEUに払っているせいでイギリスの学校や病院に十分なお金を回せないのだと述べている。 加盟国がEU予算のために支払う金額加盟国 億ユーロ ドイツ 293.7 フランス 232.9 イタリア 171.6 イギリス 170.6 スペイン 113.6 オランダ 65.5 ベルギー 52.9 ポーランド 42.1 スウェーデン 42.1 2013年度 加盟国にEU予算から支払われる金額加盟国 億ユーロ ポーランド 161.7 フランス 142.3 スペイン 137.5 ドイツ 130.5 イタリア 125.5 ギリシャ 72.1 ベルギー 72.0 イギリス 63.0 オランダ 22.6 2013年度 イギリスは2016年度に約110億ポンドEUに支払うと考えられており、EU年間予算の11%をイギリスが負担することになる。
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