バスモデルとは? わかりやすく解説

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バスモデル

読み方ばすもでる
【英】:Bass model

概要

バス (F.M. Bass) によって提案され新製品, 特に耐久消費財拡散過程模擬するモデルをバスモデルと呼ぶ. バスモデルは, 「時点t \, までの未購入者耐久消費財を期間 (t, t+{\Delta}t) \, 購入する確率は, 他人にまどわされない購入意欲(innovation効果)と既購入者x_{t}\,増えてくると乗り遅れいとする気持ち(imitation効果) との和で表現されるモデル\{ (\mbox{d}x_{t} / \mbox{d}t)/(m- x_{t})=a+bx_t/m,\;\; m: \, 総需要\} \, であり, 新製品拡散モデルとして利用されている.

詳説

 F. M. Bassによって提案され新製品, 特に耐久消費財拡散過程模擬するモデルBassモデルと呼ぶ. F. M. Bassは, 「時点{\it t}\, までの未購入者耐久消費財を期間 (t, \; t+\Delta t)\, 購入する確率h(t)\Delta t\, 他人にまどわされない購入意欲(innovation効果)と既購入者x_t\, がふえてくると乗り遅れいとする気持ち(imitation効果) との和で表現される」と考え, 以下のようなモデル提案した [1].

 {\it m}\, 総需要とする. 時点{\it t}\, までに購入している人の割合を  


F(t)=\int_{-\infty}^{t}f(\tau) \mathrm{d} \tau =x_{t}/m
\,


とし, {\it t}\, まで未購入条件付確率密度関数


\begin{array}{cl}
h(t)=f(t)/ \{ 1-F(t) \} = a+{\frac{b}{m}}x_{t} & (1)\\
\\
\lim_{t \rightarrow \infty}x_{t}=m & (2)\\
\\
m \cdot f(t)=\frac{{\mbox{d}}x_{t}}{{\mbox{d}}t} & (3)\\
\end{array}\,


モデル化して, {\it a}\, innovation効果, (b\cdot x_t/m)\,

imitation効果表わすものとしている. 式(1)は式(2), (3)を使うと



\frac{\mathrm{d}x_{t}/\mathrm{d}t}{m-x_t}=
a+{\frac{b}{m}}x_{t} 
\,      (4)\,


あるいは


\begin{array}{cl}
\mathrm{d}x_{t}/ \mathrm{d}t=
(m-x_{t})(p_{1}+q_{1} x_{t}) & (5)\\
\\
p_{1}=a, q_{1}=b/m
\end{array}\,


表現できる. これを解くと



x_{t}=m[1-c_{0}\exp \{-(a+b)t\}]/[\frac{b}{a} c_{0}\exp \{-(a+b)t\}+1]
\,


ただし, x_0\, 時点0での既購入者



c_{0}=(m- x_{0})/(m+{\frac{b}{a}} x_{0})
\,


である(x_{0}=0\, ,すなわちc_{0}=1\, 標準モデルとすることもある). 式 (5)p_{1}=0\, のとき



\mathrm{d}x_{t}/ \mathrm{d}t=x_{t}(mq_{1}-q_{1} x_{t})
\,


となり, Bassモデルロジスティックモデル包含していると言える.

f(t)\, または {\mbox{d}}x_{t}/{\mbox{d}}t\,



t^{*}=-\frac{1}{a+b}\log \frac{a}{bc_{0}};b>a
\,


最大となり, そのときx_{t^{*}}\, は 



x_{t^{*}}=m(b-a)/(2b)
\,


である.

 本モデルの拡張版として

 1. {\it m}\, 時点とともに変化するモデルあるいは価格関数となるモデル

 2. 式(4)右辺が, 時点{\it t}\, 広告費などの商品対す情報関連する量関数となるモデル

 3. 式(5)右辺価格{\it P}({\it t})\, ペナルティ課して


\mathrm{d}x_{t}/ \mathrm{d}t=(m-x_{t})(p_{1}+q_{1} x_{t})
{\exp \{-k \cdot P(t)\}}
\,

とするモデル

 4. 企業間の競合考慮したモデル

などが考えられている. しかし, Bass自身モデル複雑化することには批判的 [2]である.

 Bassモデルパラメタについては, 微分単位期間当たりの増分としてとらえ, 式(5)右辺展開して定数項およびx_t\, , x_{t}^{2}\, 係数最小自乗法により推定する方法が [1] では提案された. これについては係数推定不安定さがあり, 最尤法なども提案されているが, Bassモデル適用した局面データ数にあまり期待できない時点であり, 最大需要{\it m}\, 別途推定したり, 類似サービスパラメタ参考にすることなどが必要である.



参考文献

[1] F. M. Bass, "A New Product Growth Model for Consumer Durables," Management Science, 15 (1969), 215-227.

[2] F. M. Bass, "The Adoption of a Marketing Model : Comments and Observations," in Innovation Diffusion Models of New Product Acceptance, V. Mahajan and Y. Wind, eds., Ballinger, 1986.

[3] V. Mahajan, E. Muller and F. M. Bass,in Marketing, J. Eliashberg and G. L. Lilien, eds., Elsevier Science Publishers, 1993. 森村英典, 岡太彬訓, 木島正明, 守口剛 監訳, 『マーケティング ハンドブック』, 第8章, 朝倉書店, 1997.




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