BDNFの機能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/07/24 15:44 UTC 版)
「脳由来神経栄養因子」の記事における「BDNFの機能」の解説
BDNFは、中枢神経系や末梢神経系の一部のニューロン(神経単位)に作用し、今あるニューロンが維持されるようにサポートし、ニューロンの成長を促し、新しいニューロンやシナプスに分化することを促す。 脳の中では、BDNFは、海馬、大脳皮質、大脳基底核で活性化されている。それらの部位は、学習、記憶、高度な思考に必須の領域である。 BDNFは、網膜、運動ニューロン、腎臓、唾液腺、前立腺にも作用する。 BDNFそれ自体は、長期記憶に重要である。哺乳類の脳にある大多数のニューロンは、胎児期に形成されるのであるが、成人の脳の一部分では、神経幹細胞から、神経発生neurogenesisとして知られるプロセスにより、新しいニューロンを成長させる能力を維持している。神経栄養因子は、神経発生neurogenesisを刺激し、コントロールする化学物質である。BDNFは、最も活性のある神経栄養因子の一つである。 生まれつきBDNFを作ることができないネズミは、脳や感覚神経の発達障害を起こし、通常は出生して間もなく死亡する。このことは、BDNFが正常の神経発達に重要な役割を果たしていることを示唆している。 BDNFに構造的に関係している他の重要な神経栄養因子には、NT-3、NT-4、NGFがある。 BDNFノックアウト・マウスの表現型は重篤であり、出生後、早期に死亡する。BDNFノックアウト・マウスでは、感覚神経が消失し、協調運動、バランス運動、音の聴取、味覚、呼吸運動を行うことができない。BDNFノックアウトマウスは、小脳に異常があり、交感神経のニューロンの数が増加している。 ある種の身体的運動は、ヒトの脳において、BDNFの合成を3倍程度にまで増加させる。この現象は、運動による神経発生neurogenesisや、運動による認知機能改善の仕組みの一つである。 ナイアシン(ビタミンB3)は、BDNFと受容体TrkBを上方制御する。
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