4. 月卿雲客僧侶等の朝恩を定めらるべき事
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/08 08:03 UTC 版)
「北畠顕家上奏文」の記事における「4. 月卿雲客僧侶等の朝恩を定めらるべき事」の解説
現存第4条は、「可被定月卿雲客僧侶等朝恩事」(「月卿雲客僧侶等の朝恩を定めらるべき事」)で、公卿・殿上人・仏僧への恩恵を公平にすべきことを主張している。 また、この条項では、公卿と言えども、天皇の側に侍っておべっかを使うだけではなく、実際に働いて自身の職分をこなすべきである、と意見する。同様の、高位の者には格式と能力の両方が求められるとする思想は、親房の『神皇正統記』にも見られる。 その他、貴族・僧侶に対しては国衙領や荘園を与え、功績のある武士に対しては元弘の乱での謀反人(北条氏ら)から没収した地頭職を与えるべきである、とも説く。かつては、両者が厳密に区分されていたのだが、建武政権では例えば東寺に対し若狭国多良荘の地頭職が与えられるなど、境が曖昧となっていた。 また、累代の貴族で不忠な者は確かに憎むべきものではあるが、その官職や所領を没収して武士の恩賞に充てがったのでは、有職故実を知り朝儀を守る者がいなくなってしまうのではないか、陛下個人への忠心ではなく、公務への忠心で功を考えるべきではないか、とも警告する。原文では、不忠の貴族への寛容な対応を意図しているが、佐藤進一はこれを後醍醐天皇が行った(と佐藤が唱える)「官司請負制破壊」政策と結びつけ、貴族累代の特権を奪うのは後醍醐天皇の一般的な傾向であるのではないかと議論した。
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